膵がん早期発見のための新規血液マーカー創出に向けて
<プロジェクトの概要と御礼>
2023年5月15日から6月30日まで、「膵がんを治るがんへ!早期発見を可能にする血液マーカーを見出す研究へ」というプロジェクトを行わせていただきました。お陰様で目標金額の278%を達成する大きなご支援を賜り、晴れて膵がんの早期発見のための新規血液マーカーを見出す研究を開始することができました。当初は、膵がん・健常者合わせて40検体を解析する予定でしたが、皆様からの多大なご支援のおかげで、膵がん・健常者に膵良性疾患を加え、計56検体を解析することができました。 これも一重に、膵がんの早期発見という目的にご賛同頂き、快く温かいご支援をくださった皆様のおかげです。改めて感謝申し上げます。
<検体の収集から網羅的解析へ>
今回のプロジェクト達成後、まず本研究に参画している共同研究機関のバイオバンクより膵がん、健常者検体を収集し、膵良性疾患に関しては東京慈恵会医科大学で収集しました。
計56の血清検体をエクソソームタンパク質の解析を目的として専門業者へ輸送しました。まず血清からのエクソソーム抽出、ついでエクソソームが内包するタンパク質の抽出を行いました。エクソソーム内に含まれるタンパク質の量はナノグラム単位とごく少量のため、抽出はとても慎重を要するものでしたが無事に全検体からタンパク質を抽出することができました。そしてタンパク質の質量分析(LC-MS)による種類・量の網羅的解析を行いました。
網羅的解析により、56人それぞれの血清に含まれるエクソソームタンパク質が5197種類同定されました。ここから、早期診断に有用な可能性のあるタンパク質を統計解析の手法を用いて絞り込み、24種類が候補としてピックアップされました。今後の研究や社会実装までのルールを鑑みて、具体的なタンパク質名は公開できませんが、これまでに膵がんのマーカーとして報告されていないエクソソームタンパク質も多くあり、膵がんの病態へどのように影響するのかという点も含めて非常に興味深いです。
<費用の使用状況とリターン>
皆様から頂戴したご支援金は全額無事に網羅的解析の費用として使用しました。2月中旬に解析が終了して結果を受け取り、3月上旬には支払いを終了した次第です。また、リターンに関してはご芳名(ご希望された方のみ)を内視鏡医学講座のホームページに掲載させていただきました。
<今後について>
ピックアップされた候補エクソソームタンパク質に関して机上実験による検証によりエクソソーム上での発現状況の裏付けを行います。また、膵がんの成長にどのような役割を持つタンパク質かを検討することで、膵がんの進展メカニズムに新たな検知を見出すことができればと考えています。
早期診断マーカーとしての検討に関しては、新たな血清検体を用いて候補エクソソームタンパク質による膵がん早期診断の精度を検証します。現在、東京慈恵会医科大学と国立がんセンター中央病院にて新たに血清検体を収集しており、約300検体での検証となる予定です。
<最後に>
Ready forでの活動はこれで終了となり、この終了報告書を持って皆様への最終報告となりますが研究は今後も続きます。
膵がんで苦しむ患者さん、ご家族や友人を膵がんで亡くされて悲しい思いをされた方、そのような方が一人でも減るように、「膵がんと言われたけど早期だからよかった」と言える世の中になるように、皆様の想いを力に変えて、鋭意取り組んで参ります。最後に、本プロジェクトをご支援くださったすべての方に改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございました!