
プロジェクト本文
▼自己紹介
アメリカ合衆国でアルコール飲料の醸造および品質管理技術に関する紹介を高等教育を通じて行っています。本年度は対面授業の必要のある実験科目を次年度に延期し、日本酒ならびにワイン醸造に関する講義科目のみオンラインで実施予定です。また日本の教育研究機関からご支援いただきながら米、酵母、麹菌、アサガオ、メダカなどの日本に特徴的なモデル生物や日本の食文化を題材とする科学教育を初等および中等教育を対象として展開しています。
昨年、著名なワイン評論家であるMs. Jancis Robinson氏らによる「Wine Grapes」の翻訳をおえて共立出版社から日本語版を出版することができました。同書では世界中でつくられる約99%のワインの原料として栽培されている1,368品種のブドウが紹介されています。この中には同国おいて将来を期待されているネグル・デ・ドラガシャニ(Negru de Drăgășani)などのルーマニア原産の12品種も含まれています。
▼プロジェクトを立ち上げたきっかけ
日本酒のセミナーの開催のために東欧のルーマニアを訪れる機会がありました。ルーマニアはフランス、ボルドーやイタリア、トスカーナとほぼ同じ北緯45度に位置し、ワイン用ブドウの栽培には最適の自然環境にあります。首都ブカレストから車ですこし郊外にでれば、家々の裏庭にはブドウのつるが覆い茂っており、ブドウがたわわに実をつけている光景が見られます。各家庭では裏庭のブドウから毎年数十リットル単位のワインがつくられています。発酵をおえた11月頃、家族や親戚があつまりホームワインの栓をあけて飲む日は、クリスマス、イースターにつぐ大切な日だそうです。こうして各家庭の裏庭で栽培されるブドウには、EUがその栽培を推奨しないイサベラ (Isabella)などヨーロッパ品種以外に分類される品種も多々見られます。ルーマニアの人たちにとってホームワイン作りは自然や親類とのつながりを実感できる感動の瞬間であるとのこと。
ご両親が小学生だったころに遡って家庭料理の変遷を話してくださったある女性は、小学生の頃から今日に至るまで毎日夕食時にはグラス一杯の赤ワインを飲んでいるそうです。こうしてルーマニアではごく日常の生活の中にワインが深く根付いていることを実感しました。私も、毎日グラス一杯のワインを飲むようになって久しいですが、そんな私にとってもワインはまだまだ異文化の域を出ないような気がしています。
カベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワールワイン以外はあまり飲んだことがなかった私ですが、ルーマニアで耳慣れない地方品種から作られたワインを口にしたとき、その美味しさにとても驚かされました。小規模で地方品種を栽培して地元でしか買えないワインを作っている小さな作り手や、ささやかな家庭の営みとしてハイブリッド品種からホームワインを作り続ける光景は、そこに暮らす人々はもとより、私のような旅人の心さえも豊かにしてくれたような気がしました。
ルーマニアに特徴的な地方品種から作られるワイン生産の様子を通じて同国の歴史や文化さらには多様なワインの素晴らしさを紹介することができればとの思いで出版の準備を進めています。
▼プロジェクトの内容
本プロジェクトは、ブドウ栽培およびワイン生産の視点からルーマニアを紹介する書籍の出版です。
各国のブドウ畑の60%で栽培されるブドウ品種の数に注目しますと、世界2位のギリシャや3位のイタリアを大きくリードしてルーマニアが世界第1位となっています。これなどはルーマニアではワイン生産に用いるブドウ品種が特定品種に集中することなく、多様な品種からワインがつくられていることを示すデータの一つです。
この要因の一つとして同国は、有名国際品種を多く生んだ西ヨーロッパ起源のブドウ品種が生まれるよりも以前からバルカン半島からジョージアにかけて分布したブドウ品種が栽培されていた地域に立地するということが考えられます。また同国のハイブリッド品種の栽培の多さ、オスマン帝国の影響を受けていた時代からの同国の農地政策なども同国の栽培品種が多様性に富んでいる要因になっていると考えています。さらに各家庭でワインが日常的に親しまれているという文化的な背景もこうした同国の多様なワイン生産を支えています。
これらの多くの要因によって同国で栽培されるブドウ品種は多岐にわたっており、統計に表れているものだけでも80種類を超えています。本書では同国で栽培される品種数が豊富な理由を考察しつつ、同国で栽培面積がもっとも多い、フェテアスカ・レガラ (Fetească Regală) 、二番目に多いフェテアスカ・アルバ (Fetească Albă)など耳慣れない品種を含む栽培面積が多いブドウ50品種、これらから優れたワインを生産する30のワイナリーおよびこうしたワイナリーでつくられる良質のワインを紹介しています。これらのワイナリーの中には地方品種にこだわることで、かつて時代遅れだと周りからささやかれたワイナリーもいくつかありますが、今ではルーマニアワイン新時代に向けての先進的な試みであったと再評価されているようです。
あわせて同国の家庭料理の変遷を50年前、30年前そして現在の食卓の様子を見ながら紹介しました。さらに同国のワイナリーのオーナーやワインの専門家の方を対象に、私が実施した日本酒とワインを用いたフードペアリングセッションを通じて同国の人々の食とアルコール飲料の相性に関する感性についても考察を加えながら同国の食文化についても紹介してあります。
▼プロジェクトの展望・ビジョン
今後、編集、印刷、製本の予定です。今後も継続してルーマニアにおけるワイン生産の様子を追跡調査し、最新の情報を加えた改訂版の作成に随時対応するためにプリントオンデマンド方式で出版予定です。
バルカン半島から東に向かって、ワイン生産の発祥地の一つと考えられているジョージアにかけての地方は、後にフランス北東部からスイスにかけての地方で起こった交配により誕生した多くの西ヨーロッパ系の品種とは異なる、古いブドウの品種グループが育まれてきた地域です。本書記載の50品種の中にもこれらのグループの遺伝子を含むプラヴァーイエ (Plăvaie) などの品種が含まれています。同国の公式栽培統計には記録されていない小規模栽培の地方品種の調査を続けるとともに、調査対象地域をバルカン半島からジョージアにむかって拡大し、順次紹介できればと考えています。
プロジェクト終了要項
製作物
電子書籍版およびペーパーバック版
出版完了予定日
2020年9月15日
著者
北山雅彦・Alina Iancu
発行部数
・電子書籍:150部
・ペーパーバック:100部
※ペーパーバック版は、オンデマンド印刷にて随時印刷製本
プロフィール
アメリカ合衆国の中西部においてアルコール飲料の製造に関わる遺伝資源の教育研究に取り組んでいます。米、酵母、麹などによる日本酒の製造、品質管理および味に関する科学的な教育プログラムの構築を行っています。またブドウ、酵母などの遺伝資源に関わる科目開発も行っています。 バルカン半島からワインの誕生の地だと考えられているジョージアにかけての地方には、早くからワイン生産に用いられてきた興味深いブドウ品種が現在も広く栽培されています。その中で今回は、世界有数のワイン大国、ルーマニアで栽培される多様なブドウ品種に焦点をあてて同国のワイナリーとワインをめぐる旅にでてみました。
リターン
3,000円

ルーマニアにゆかりの日本文化コース・3000円ご支援いただいた方々に
①出版物電子書籍版「ワインをめぐる旅・ルーマニア(仮称)」
および
②さるぼぼストラップ(岐阜県・高山市(シビウ市との友好都市)民芸品)
または
③桧山うめ吉さん絵はがき(桧山うめ吉さま・ルーマニア・アメリカン大学で日本文化のご公演をなさいました)
高山市および桧山うめ吉さまにご協力いただき、今回のリターンをご用意いたしました。
(写真は高山市)
- 支援者
- 26人
- 在庫数
- 24
- 発送完了予定月
- 2020年12月
3,000円

ルーマニアのホストタウンコース・3000円ご支援いただいた方々に
①出版物電子書籍版「ワインをめぐる旅・ルーマニア(仮称)」
および
②ルーマニアのホストタウングッズ(クリアファイル)
(東京都・武蔵野市(ブラショフ市との交流都市、2021年に東京にて開催の、四年に一度の国際的なスポーツの祭典におけるルーマニアのホストタウンです)
写真:「ルーマニアホストタウンムサシノ(武蔵野市のホストタウン啓発用ポスター画像)」
(武蔵野市にご協力いただき、今回のリターンをご用意いたしました。なお、グッズの名称や画像の権利については武蔵野市に属します。)
- 支援者
- 3人
- 在庫数
- 24
- 発送完了予定月
- 2020年12月
3,000円

ルーマニアワインのあるワインバルコース・3000円ご支援いただいた方々に
①出版物電子書籍版「ワインをめぐる旅・ルーマニア(仮称)」
および
②グルテンフリー&オーガニックのワインバルかくれん穂゛
(東京都荒川区町屋2-2-20 (斎藤ビル2F))
赤白グラスワイン2種(各約125 ml)無料クーポン
(有効期限:2021年1月~3月末まで)
※ワインの種類はお店で選ばせていただきます。
※1チケット1回とさせていただきます。
ワインバルかくれん穂゛様にご協力いただき、今回のリターンをご用意させていただきました。
どなたもが同じ食卓を囲み笑顔になれる自家製の米粉と有機・無農薬野菜を使用した食をご提供させていただくワインバルです。
書籍の中で、推奨できるワイナリーとして紹介しているワイナリーがつくるルーマニアワインも同レストランでお楽しみいただけます。
- 支援者
- 8人
- 在庫数
- 11
- 発送完了予定月
- 2020年12月
5,000円

ルーマニアワインコース・5000円ご支援いただいた方々に
①出版物電子書籍版「ワインをめぐる旅・ルーマニア(仮称)」
および
②レストランYUKI(Str. Putul Lui Zamfir 5, Sector 1, ブカレスト, ルーマニア)赤白グラスワイン2種 (各150 ml) 無料クーポン(有効期限:2021年1月~6月末まで)
- 支援者
- 10人
- 在庫数
- 18
- 発送完了予定月
- 2020年12月
7,500円

アカデミックコース・7500円以上ご支援いただいた方々に
①出版物電子書籍版「ワインをめぐる旅・ルーマニア(仮称)」
および
②環太平洋大学(ルーマニア・アメリカン大学の学術協定大学)グッズ(スポーツタオルおよびトートバッグ)
または
③安藤忠雄先生 環太平洋大学・IPU作品集(同大学に安藤先生の設計による5つの建造物があります)およびポストカード
- 支援者
- 16人
- 在庫数
- 11
- 発送完了予定月
- 2020年12月
プロフィール
アメリカ合衆国の中西部においてアルコール飲料の製造に関わる遺伝資源の教育研究に取り組んでいます。米、酵母、麹などによる日本酒の製造、品質管理および味に関する科学的な教育プログラムの構築を行っています。またブドウ、酵母などの遺伝資源に関わる科目開発も行っています。 バルカン半島からワインの誕生の地だと考えられているジョージアにかけての地方には、早くからワイン生産に用いられてきた興味深いブドウ品種が現在も広く栽培されています。その中で今回は、世界有数のワイン大国、ルーマニアで栽培される多様なブドウ品種に焦点をあてて同国のワイナリーとワインをめぐる旅にでてみました。