現代にあってフリーペーパーの特徴とは、何にも増して「あえて紙媒体でいく」ということだと思います。今回インタビューに応じて頂いた、協友印刷の菊地登志雄さんのお話は紙媒体の可能性を教えて下さるものでした。理想や希望を語るのとは違う、紙媒体を扱う現場の冷静な意見から学ぶことはたくさんありました。

(その1も公開してます。是非下の方のリンクから、前回の記事も見てみて下さい!)

 

フリーペーパーだから出来ること

 

――フリーペーパーがほかの印刷物と異なると感じられる点があれば教えて下さい。


 通常の印刷物は仕様が決まってる場合がほとんどですけど、学生さんのフリーペーパーなんかだと、企画はあるんですが印刷物の仕様がそれほどまとまってないことがあって、予算の枠内で作るという話になります。それでいろいろと金額の話などもしながら、試行錯誤をして作られていた印象があります。色数とか部数とか、そういうことからいろいろ考えてらっしゃったみたいです。

 

――1から作っていた印象が強い?


そうですね。そこは学生さんだったからそうだったと思うんですけど。

 

――個人的に好きなフリーペーパーはありますか?


特定のものはないんですが、旅行に行ったときにフリーペーパーなんかあると手に取っちゃいますね。駅とかホテルとかに置いてあると取って、食事するところを探すときなど、観光する際の情報として役立てます。WEBでもいろいろ検索できますけど、フリーペーパーに載ってる情報のほうが深い気がするんですよ。書いてる人が取材したりとか、それなりに時間がかかってると思うので。そういうのが読みたいですね。飲食店を調べるにしても、調べ物をするのにも、紙媒体の方が信用や期待があります。

 

 

印刷所の役割

 

――普段どのようなお仕事をされるんですか?

 

何でも広く浅くやります。例えば営業のお仕事の場合は、お客様とコミュニケーションをとって、ニーズを聞き出して、満足を与える。お客様は印刷物制作についてすごく詳しいわけではないので、制作上何が出来るのかのラインがわからない部分があります。こちらの方から、お客様の希望よりも上のご提案が出来ればより喜んでもらえるわけですから、そういう点に気をつけていますね。あともう一つの主な役目は問題解決。お客様の抱えてる問題は何かなという関連で、それを一緒に解決していく姿勢が重要ですかね。お客様によって品質と価格と納期、その3種類のどれに関して問題を抱えているかを理解します。すごく予算が全然無くて困っているという方もいますし、逆に忙しくて手一杯なので高くてもいいから全部制作のプロセスから全部お任せしたいっていう方もいますし。同じ印刷物にしてもお客様の動きに合わせて、価格とか品質とか納期があって。それにマッチした形で動くということですね。

 

 

 

印刷業の紙媒体の見方と可能性

 

――印刷業界に入って、メディアの見方が変わったことはありますか?

 

印刷業って刷るだけじゃなくて、中身の方、制作の役目もありますので、印刷物のレイアウトとか構成なんかがどういうふうに作られてるのかなっていうのは気にして見るようにしてます。具体的にはレイアウト的に詰め込みすぎだなとか、印刷的なことを言ったら、写真が目一杯インク盛ってるなとか。職業病みたいなものですけど。印刷の場合はインクを盛れる、つまりインクをたくさん乗っけることができるんですね。インクの量を調整しながら印刷する。例えばNumberに載ってるような全面写真っていうのは、すごいインクを盛っインクをたくさん載せてかなきゃいけないと思うんですよね。そういうのを見ると、すごい盛ってるなーって思うことがあります。

 

――すみません、不勉強なんですが、インクを盛るっていうのは色が濃いってことですか?

 

濃いのとは違うんですけど、インクの膜っていうものがありまして、紙だったら、インクの量をたくさん流し込むのと、薄く刷るのとで、ちょっと見え方が変わってくるんですよ。本当はそんなに盛らないほうが綺麗なんですよ。盛りすぎるとかえってベタベタしちゃうので。普通の人はちょっとわかんないかもしれないですけど。この印刷物はインクたくさん使ってるなっていうときがあります。写真が多かったりするとたくさんインクを使わざるを得ないんで。でもデータの作り方によって、印刷機も今はコンピュータ化してるんですけど、数値でインクの量を変えられるんですね。それで何回か刷りだして、一番良いところを採って、印刷開始するんですよ。内容にもよりますし、印刷者の腕にもよるんですけど、インクをたくさん使ったりとか、使わなかったりっていうのはあります。

 

――おお、そういうところが気になるんですね……!

 

ほんとに職業病です。(笑) ちょっと違った観点から見てしまうっていうのがありますね。
他に雑誌とか見ていて気になることといえば、最近中吊り広告が無くなるって話があって、最近はバス停なんかでも、ディスプレイ広告になってるところが結構多くなってる。ああいうの気になりますね。紙媒体がディスプレイになったんだなって。実際そのディスプレイは紙の代わりになってるのかなと。良いところと悪いところがあるんですけどね。わざわざ電子版だとわざわざ紙を入れ替え変えなくてもいいんで。仕事を受注する印刷会社にとってみたら広告は紙で出して、替えられていくほうがいいんですけど。(笑) 広告の目的は見てもらうことだったり、買ってもらうことだったりするわけですから、ディスプレイ広告がそれにつながってるかどうかっていうことが大事だとは思うんですけど。

 

 

――将来的に、広告が全部デジタルになることはあると思いますか?
プッシュするメディアに関しては、紙は残ると思いますね。例えば自宅の方に送らせて頂くものとか。知ってもらうために、こちら側から送らせて頂くというものに関しては残ると思いますね。自分で探すっていうことに関してはネットの方が早いと思うので、そういうものに関してはネットの方がいいんじゃないかと思いますけど。

 

――じゃあ、全く新しいものを顧客に提案することに関しては紙の方がいいかもしれないですね。

 

その通りですね。お客様の知らない新しいものをお届けするのであれば、その方が買ってもらえる確率は上がるかもしれないですね。

 

 

 

○取材協力○
協友印刷株式会社
専務取締役 菊地登志雄(きくち・としお)
 

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