2/17第75回袴田事件がわかる会での講演

西村カリン (Karyn NISHIMURA)さん
フランスの公共ラジオグループ「ラジオ・フランス」及び日刊「リベラシオン」紙特派員。1970 年フランス生まれ、1997 年に来日。2004年末から 2020 年まで AFP 通信東京特派員。

 

袴田再審を傍聴するフランス人特派員は、何を語ったか?

① 袴田再審に見られる日本の裁判の異常性、 フランスの裁判とは大違い

 あらかじめシナリオができていて、その通りに進められること。意外性は全くない。しかも、あらかじめ用意された原稿を棒読み、熱が感じられない。裁判官は検察官や弁護士の弁論や証拠提示に対して、一言も質問をしないし証拠の実物が提示されても近寄って見ようともしない。

 

② フランスでは死刑制度は廃止されている。

1970年代、21歳の被告が死刑宣告後数週間で執行されたが、その後ジャーナリストが独自に捜査して無罪を証明したラヌチ事件が全土を揺さぶり、それを契機に死刑制度の問題が浮かび上がった。1981年の大統領選挙で、ミッテラン候補が死刑制度の廃止を公約に掲げて立候補。当選を果たす。その4か月後、国民の6割は死刑存続支持だったにも拘らず、死刑を廃止する法律が成立した。

ミッテラン大統領が指名した法務大臣、ロベール・バタンデール氏は弁護士。自分が弁護した被告がえん罪なのに死刑執行されたことが始まりで死刑廃止を訴えていた。バタンデール法務大臣は国会で演説し、死刑制度の残虐性を訴えて両院の議員を説得、死刑制度廃止にこぎ着けた。

 

筆者は強く思う。日本でも、死刑えん罪事件(袴田事件や死刑が執行されてしまった飯塚事件、戦後の再審無罪となった死刑えん罪事件)が注目され、死刑制度廃止の流れが作られなければならないと。イギリスでも死刑えん罪事件がきっかけで死刑制度廃止に行きついた。日本も英仏に続け!

また、筆者も傍聴して、裁判が決まりきったお役所仕事のように流されていく実態を見て、日本の裁判に絶望する。これでいいのか?

カリンさんの講演、映像をご覧ください。