コロナと私と香港と⑬

 

香港デモが盛んだった昨年11月、１人の日本人大学生が身柄拘束されるという事件があった。その時のネット掲示板のコメント欄が、いわゆる「自己責任論」一色で絶望的に感じたのを覚えている。

 

私はむしろ若い日本の学生にこそ、香港デモの現場を見てほしい。若い時代の経験は、その後の人生に影響を与えるし、就職後してしまったら、なかなか自由に海外を見る機会もないだろう。

 

ニュースは最前線の激しい部分だけを伝えるが、全土が混乱してる訳ではない。究極の安全を求めるなら、自宅から一歩も出ずにTV・ネットで世界のニュースをあれこれ評論することになるだろう。自己責任論は主にそんな所から発信されていると思う。

 

イスラム国の件では、2人の日本人が酷い目に遭ったが、香港の状況は全く違う。前述の大学生は不十分な装備で最前線にいった行為は軽率だけれど、全面否定は出来ないと思う。物事はケースバイケースだ。

 

香港デモの現場では幾つもの発見があったが、その一つは、病気の後遺症か杖で歩いている人や車椅子に載っている人でさえ、健常者と一緒に街に出て、堂々とデモに参加していた。

 

ある夜、太古駅近くの路上で地元の団地の住民と警察隊が対峙し、睨み合いが続く場面があった。

 

警察寄りの地点に比較的安全と思われる空間があったので、そこでカメラを構えて、双方の動きを観察していると、スーッと脇に車椅子に乗った障害者がやってきた。

 

「こんな所にいちゃ危ないですよ」と思ってみると、マスク・ゴーグルで完全装備していて、プロ用のカメラを持っている。その現場は結局、警察隊が催涙弾を乱射して、住民は散り散りに逃げたのだかが、彼は不自由な身体で一生懸命カメラで記録していた。

 

後にその人・ケビンさんのことが、地元メディアの記事に取り上げられているのを見た。彼の他にも、集会で熱心に写真を撮る車椅子の若者や、杖をつきながらGoproでデモのビデオ記録を撮っている人もいた。

 

警察による急な攻撃があるので、デモの現場は安全とは言えないが、香港の現状に居ても立ってもいられない衝動に駆られて、現場に来ているのだと思う。私は外国人ではあるけれど、自発的に来ている点では近いので、彼らに共感を覚える。

 

#光復香港 #五大訴求缺一不可 #香港デモ #香港デモを風化させない