研究支援員配置制度を利用して（体験談）

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吉原 享子（輸血・細胞治療センター、呼吸器・血液内科学 臨床講師）

制度を利用した理由：

血液内科は、その専門性の高さと疾患の複雑性から、慢性的な人材不足に直面しております。

また、患者様一人一人に対して、綿密な診療と高度な専門知識が要求されるため、医療従事者の負担が大きくなる傾向にあります。若手医師の時期であれば、仕事に没頭し、時には私生活を犠牲にしてでも業務に励むことも可能でした。しかしながら、家庭を持つ身となった現在では、子どもたちの健やかな成長と生活の質を維持することも重要な責務となっております。

日々の診療業務はこなせているものの、データ解析や論文執筆などの学術的な活動に十分な時間を割くことが困難となり、専門医としての研鑽や成長に限界を感じておりました。このような中で、研究支援員配置制度を知りました。制度を利用することで、業務の効率化と負担の軽減を図り、同時に学術活動にも注力できる環境を整えることが可能になると考えました。

制度の利用による効果：

当科は、地域における先進医療の基幹病院として重要な役割を担っており、多くの症例の診療に当たらせていただいています。この過程で、膨大な臨床データが蓄積されていましたが、それらのデータに対する十分な解析が行われていない状況でした。研究支援員配置制度を利用することで、何百例にも及ぶ患者データの抽出作業を効率的に行うことが可能となり、これまで数か月かかっても進まなかった解析作業が前進し、研究のスピードが大幅に向上しました。データ解析作業の負担が軽減されたことで、家族との時間を確保できるようになりました。

これらの成果は、兵庫医科大学病院が目指す「医療の進歩をけん引する」という役割に大きく貢献しています。蓄積された貴重な臨床データを有効活用することで、先進医療の効果と安全性の詳細な評価、治療法の改善や最適化、さらには新たな治療法や診断法の開発につながる可能性が高まりました。

このように、研究支援員配置制度の活用は、単に研究効率の向上だけでなく、医療の質の向上と患者さんのQOL改善にも寄与する重要な取り組みとなっていると考えます。

制度を利用した感想：

これまで様々な要因により停滞していた研究プロジェクトが、新たな活力を得て前進し始めました。支援員の協力により、データ解析や資料作成などの作業が効率化され、研究のペースが大幅に向上しました。これにより、長年取り組んできた課題に対して、新たな知見を得られる可能性が高まり、研究者としての使命を果たす上で大きな励みとなっています。

また、業務の分担が可能となり、これまで研究に費さざるを得なかった時間の一部を、家族との時間や自己研鑽の時間に充てることができるようになりました。子育てと研究活動の両立が課題となっていた状況が大きく改善され、仕事と私生活のバランスを保つことが可能になりました。