始まりのお話

始まりはある日のメールでした。

概要にも書かせていただいたのですが、ある女性Aさんがネットで女性カメラマンを探し、私にたどり着きました。

健康診断では見つけてもらえずにリンパ節に転移してしまい全摘になってしまったため、手術前に今の姿を残したいという文面でした。

 

私の中で乳がん、まして全摘の前の撮影という事も一度も考えたことがありませんでした。

このメールを読んだ瞬間、衝撃というかショックでした。

 

すぐに返信して電話でお話をしました。とても落ち着いたお話ぶりで私の方が動揺していたと思います。

 

普段の仕事は商業撮影というジャンルで、クライアントからどのターゲットにどんなイメージを伝えたいというお題が出てそれに合うライティングやイメージを考えます。

 

今回はどう撮影したらいいのか、私の今までの頭の中の引き出しを色々探しても見つけられませんでした。

 

それも撮影当日が初対面となります。

 

どんな方なのか？どんな好みなのか？どんな写真を求めているのか？何もわからないのです。

 

胸を失うという悲しみを持ってカメラの前に立たれるのですが、それはなるべく表現しないようにしよう

とは思いとにかく光は多くというイメージだけでした。

 

でも悲しくないというのも嘘だし。そのまま、今のそのまま。

 

悲しみも覚悟も持った表情でした。

メイクさんやアシスタント含めて皆でワイワイと現場は色々話しながら進んでいたのですが

ファインダー越しでお顔を見ると色々な覚悟を感じて、私はとても胸が締め付けられました。

 

撮影中にこんな気持ちになったのは初めてで何と表現していいのかわからないです。

 

この後Aさんからできるだけ検診に行ってください！と言われて探した乳腺科のきむらクリニックで初期の乳がんが見つかりました。

Aさんの撮影をしていなければ、忙しいという理由で多分1~2年は検診に行かなかったと思います。

 

Aさんから色々な情報を聞いていたのでマンモとエコーで怪しいと言われて、その日すぐに穿刺吸引細胞診してもらいました。

結果が出た時に手術しますか？ときかれて、（希望する）病院で手術がしたいので予約とってくださいと答えることができました。

ご自身も術後だったにも関わらず、その後もAさんは手術の流れや準備などのアドバイスをくれました。

Aさんには本当に感謝しています。とても心強かったです。

 

そこから半年後くらいに、またメールが突然ありました。

やはり手術前に残したいというBさんから撮影依頼でした。やはり女性のカメラマンをかなり探したとのことでした。

 

他にもそう思う人がいるならば、この撮影をしよう！と気持ちが一気に動きました。

 

ヘアメイクの誠野さんに相談したら是非やりましょうと賛同してくれました。

またコピーライターの浦山さんにも相談したら快く参加してくれたのです。

 

そこからとりあえず３名無料で募集してみようということになったのですが...

 

何とその時、ヘアメイクの誠野さんにも乳がんが見つかってしまったのです。

まさかと思いました。こんなに身近なところでまた...

誠野さんも初期で無事手術も終わりました。

 

その間も３名の方の撮影をタイミングよく調整できたのは奇跡です。

 

 

そして今、このクラウドファンディング挑戦に繋がっています！