今でも私を犯人だと思ってるんですか？はい、思ってます。

東住吉事件の青木惠子さんにインタビューをしました。（この写真は青木さんが多田謡子反権力人権賞を受賞したときの1枚です。）この事件は、自宅のガレージに7Ｌのガソリンを撒いて火をつけ、保険金目当てに入浴中の娘を殺した、とされた事件。しかし、出火原因はＨＯＮＤＡの軽自動車からガソリンが漏れ、それが風呂釜の種火に引火したというものでした。そのことが科学的に証明され、青木さんは20年の獄中生活を経て、2016年８月に再審無罪となり、同年12月には国と大阪府を相手取って国家賠償請求訴訟を起こしました。

青木さんは取り調べで「お前が娘を殺したんや！」「娘に悪いと思わんのか！」と連日脅され、狭い取調室の壁に亡くなったお嬢さんの写真をべたべたと貼られ、精神的に追い詰められました。日本の法律では、無実を勝ち取った後も、そんな拷問のような取り調べをした刑事に責任を取らせることができません。そこで国や都道府県を相手に訴訟を起こすことになります。

今年の2月、青木さん自身が坂本元刑事に尋問をする機会を得ました。青木さんは法廷で「私を覚えていますか？まだ私を犯人だと思っているんですか？」と訊きました。すると坂本は「はい、思ってます」と答えたそうです。すると傍聴席から「えええええ～！」「なんでや！」と声が上がったそうです。こうなると普通は裁判長が「傍聴席の方は静かにしてください」と注意するのですが、まったくしなかったそうです。それどころか、警察が「傍聴席を静かにしてください」というと「それより青木さんの質問にきちんと答えてください」とたしなめたそうです。

青木さんを犯人だと思っていると答えた坂本に「私が無実だと判断した裁判所を侮辱するんですか！」と問い詰めます。すると坂本は「供述証書に書いてあることが全てです。あそこには真実が書かれています」と返したそうです。青木さんは（取り調べでやられたように）机をぶっ叩いて、「あんたが作ったものを無理矢理書けって言ったんやないの！」と怒鳴り返したそうです。それでも裁判長は青木さんを注意しなかったそうです。

悪いことをしたら謝るのが社会の常識。ところが謝らなくて良いことになっているのが警察と検察。警察と検察の言い分を追認してしまう裁判官も同様です。（政治家もなかなか謝りませんけどね･･･。）

無罪の人を嘘や捏造・証拠の隠蔽などで犯人にしてしまった警察や検察を処罰できるようにするためには再審法の改正が必要です。それが私たちの活動の大きな目的の１つでもあります。