地球の宝を守れ|国立科学博物館500万点のコレクションを次世代へ
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地球の宝を守れ|国立科学博物館500万点のコレクションを次世代へ 2枚目
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支援総額

916,025,000

目標金額 100,000,000円

支援者
56,584人
募集終了日
2023年11月5日

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2023年11月02日 19:12

かはくの偏愛研究室 番外編|04 植物研究部・奥山雄大先生が綴るカンアオイへの愛

毎週木曜19:00〜19:30に放送中の、クラウドファンディング特別企画「かはくの偏愛研究室」。


かはくに所属するさまざまな分野の研究者が登場し、かはくに収蔵されている約500万点のコレクションの中から、自身の「推し」をご紹介。資料への愛を語るYouTube番組です。

 

今回はその番外編。配信ではなく、研究者自身が、推しコレクションへの愛を綴ります。番外編・最終回です!

 


 

執筆者|奥山雄大(植物研究部)
 

profile

奥山雄大(おくやま・ゆうだい)
植物研究部 多様性解析 保全グループに所属。幼少期の頃から昆虫が大好きだったが、恩師に植物の進化には昆虫との関わりが重要な役割を果たしていることを教えられ、植物の魅力に目覚める。それ以来、進化のメカニズムが植物の多様性をどのように生み出してきたのかをテーマとし、特に植物と昆虫との関わりの不思議に着目しながら研究している。

 

 

日本で多様な進化を遂げた植物

 

私がご紹介するコレクションは「カンアオイ」という植物です。

 

アオイというと徳川家の家紋の「三つ葉葵」でよく知られています。あれはフタバアオイという種がモデルになっているのですが、カンアオイ類はそのフタバアオイに近い植物です。ただ、フタバアオイは冬になると葉っぱがなくなる夏緑生(かりょくせい)植物であるのに対し、カンアオイ類は冬でも葉っぱが青々と残っています。ですので、カンアオイ類は「フタバアオイに近縁な常緑性(じょうりょくせい)の仲間の一群」ということになります。

 

 

カンアオイ類は世界におよそ62種あるとされていて、日本にはそのうち50種が自生しています。日本に非常にたくさんの種があって、明らかに日本列島を舞台に多様化、進化を遂げてきた植物と言えます。さらに絶滅危惧種も多く含まれているので、保全という意味でもかはくの筑波実験植物園で重点的に仲間を集めているところです。

 

私自身の研究は、まずはカンアオイの自生地を訪れ、その生態を調査することから始まります。関東以西から沖縄、石垣島や台湾だったり、カンアオイの自生地には本当に至るところに行っています。そんなわけで、様々な研究者の方、他の植物園から分譲していただいたような物も含めれば、おおよそ全ての種を保有しています。


完全に揃っているわけではありませんが、かはくのカンアオイは日本でもかなり有数のコレクションなのではないでしょうか。

 

筑波の植物園のカンアオイコレクションは基本的にバックヤードにありますが、2022年4月末から5月にかけて開催した『絶滅危惧植物展』では一挙に全種公開しました。そのような特別な展示の時にまとめて出すこともありますし、花が咲いたものを絶滅危惧植物温室という所で少しお見せするということをしていますので、植物園にご来場の方にも常時コレクションの一部を見ていただくことができます。
 

 

地域によって異なる個性

 

カンアオイ類は、花が咲いてない時はみんな結構似たり寄ったりの姿形をしています。ですが、種ごとに大きく姿の違う花が咲きます。決まった時期ーーだいたい春か秋に花が咲きますが、咲いて初めて「ああ、こんな花なんだ」と分かるのです。

 

また、非常に「移動能力が低い」植物としても知られています。

 

かつて東京大学の教授・前川文夫先生が「カンアオイは1万年で数kmしか移動能力がない」、すなわち1年に換算すると数cmぐらいしか移動しないと推定したのですが、最近私たちの研究でも、その推定値が当たらずとも遠からず言いますか、なかなか妥当な値じゃないかと考えられるようになりました。

 

植物は動かないように見えても、実は種子などがダイナミックに動きます。ですから1万年単位で見てみると、数百kmというスケールで動いていてもおかしくないのです。しかし、カンアオイは、ほとんど動けていない。それはつまり、地域それぞれの地史や環境変化の歴史に合わせて進化してきており、非常に個性的なものが生えているということです。そのため同じ種に分類されているカンアオイでも、採集してきた地域によって少しずつ見た目が違っていたり、「咲いてみるまでどんな花か分からない」というわけです。

 

 

さらに面白いのは、花の見た目の違いだけではありません。

 

私は花の香りの研究もしているのですが、カンアオイ類はこれも種によって違います。

 

カンアオイは、花が咲いてからもその形だけは1〜2か月ほど残りますが、花として役割を持っているのは開花してから1〜2週間程度で、花の香りもその間しかしません。この開花のタイミングに合わせるのが難しいということもありますし、そもそも技術的にも採集地で花の香りを調べるのは困難もあるので、必要に応じて株を植物園に持ち帰って花を咲かせることになります。そうすることでどんな香りなのか自分で嗅ぐことができますし、分析してどんな成分が出ているのかということが分かると、地域や種ごとの特徴も見えてきます。

 

香りに関しては、さらに研究を進めています。

 

カンアオイ類の花は、花粉を運んでもらうために昆虫をおびき寄せますが、一般的な花と違って蜜や餌になる花粉といった「報酬」を昆虫に与えることをしません。いうならば、昆虫をだまして「タダ働き」させているのです。そこで昆虫をだますカギになっているのが花の香りだと考えています。地域や種ごとに香りが違うということは、それぞれターゲットとなる昆虫が違うのではないかと調べたところ、花に誘われてやってくる昆虫、主にハエの仲間なのですが、その種類が違うことが分かりました。

 

フィールドにいくと天気が悪くて、寒い日は虫がほとんど動かないとか、行っても虫が全然取れないということもありますが、実際どういう昆虫が花にやってくるのかというようなことはフィールドでないと分かりませんから、それはフィールドで解明する。一方で、花の匂いを調べるといったことは植物園であれば簡単にしかも均一な条件でできますので、そういったことは植物園で分析する。そのようにして、フィールドと植物園を行ったり来たりで研究を続けています。

 

 

コレクションとは、「フィールドののぞき窓」である

 

植物園の植物はリビングコレクションですので、生きている情報を持っています。例えば、花の香りは押し葉標本にすると失われてしまう情報です。押し葉にして乾して初めて匂う植物もありますが、それは生きているときの状況とはあまり関係ありませんので、やはり生きた状態でこんな香りがする、花だけじゃなくて植物体からもこんな匂いがするということが分かるということがポイントです。


それはつまり、リビングコレクションからしか得られない情報や進められない研究があるということです。

 

また前述の通り、花にやってくる虫について調べるにはフィールドに赴く必要がありますが、まず植物園で調べてどんな香りがするのか、どんな時期に咲くのかという前情報をコレクションから得て、それからその植物が生えているフィールドに行きます。そしてフィールドで実際にその植物がどういう風にして、どういう生態で生きているかを知る。さらにその知識を持ち帰って、植物園のコレクションを使って研究するーー。


植物園と実際のフィールドでの研究そのどちらもすごく大事で、そういう研究のフィードバックサイクルの起点になるのが植物園のコレクションではないでしょうか。

 

 

もちろん植物園では、フィールドで見せているはずの植物の姿の100%を見ることはできませんが、一部分は見える。その部分を覗き込むことで、フィールドで何が起きているかを想像して、それが研究のきっかけになることがある。


足がかりとして重要なのが植物園のコレクションだということで、「フィールドののぞき窓」だと考えています。
 

リターン

15,000+システム利用料


【一押し!】【寄付控除あり】 かはくオリジナル図鑑

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※本コースも、「寄付控除あり」に変更いたしました(10/20変更)

●御礼メール
●かはくオリジナル図鑑
当館の全研究者が、自身の「最推し」標本を選び、解説したものを1冊にまとめた本クラウドファンディングのオリジナル「図鑑」。
●寄付金領収証
--------

※図鑑は、130ページ前後になる予定です。画像は、そのうちの一部(恐竜の専門家・真鍋副館長の担当ページ)のイメージです。最終的なデザイン・内容は変更となる可能性もございます。
※寄付金領収証のみ、2023年12月中にお送り予定です。

>>詳細は「活動報告」欄にも紹介記事がございます。

申込数
39,306
在庫数
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発送完了予定月
2024年3月

5,000+システム利用料


【オリジナルグッズ】【寄付控除あり】 トートバッグ

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※本コースも、「寄付控除あり」に変更いたしました(10/20変更)

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研究者が日々の研究で使用した「研究ノート」の一部をデザインとした、本クラウドファンディングのオリジナル「トートバック(全5種類)」。
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<デザイン>
以下の5種から1つ【ランダムで】お届けいたします。
■モグラの歯の変異原図
■貝のスケッチ
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■ボーリングコアのスケッチ
■太陽黒点スケッチ

※画像は、5種のうち3種のイメージです。デザインや形状などは変更となる可能性もあります。
※寄付金領収証のみ、2023年12月中にお送り予定です。

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