クルー募集

『海賊の学校』には、大阪のデザイン会社さんが、関わってくれています。
サンデザインアソシエーツ（ＳＤＡ）といいます。
http://www.sundesign.co.jp/
出会いは、一昨年の夏でした。

一人の移住者がきっかけです。

弓削島を含め、瀬戸内の島々に移住する方は、僕が島で活動を始めた９年前に比べて明らかに増えました。
この数年の傾向として特筆すべきは、20～40代の若者世代の移住者が増えてきたことです。
もっとも、増えたといっても元々がほぼ皆無だったわけで、今でも人口減少のスピードを補うには程遠いのですけれど、それでも現役世代が家族を連れて島で仕事に就き（もしくは仕事を持ち込み、または仕事を起こし）次の世代を島で育てるということは、人口減少社会における過疎高齢化地域にとって、どれだけありがたいことかというのは、自分自身も移住者であるので手前味噌かもしれませんが、地域の中にいれば切実な問題として実感するところです。

『海賊の学校』は、生粋の島人ばかりではなく、そういった移住者雇用の受け皿にもなりたいと思うのですが、ともかくも、Ｓさんは、そんな移住の流れの中で、２年近く前にパートナーと二人で弓削島へ移り住んだわけです。

彼女は、20代前半。大阪出身で、前述ＳＤＡ社に一定期間務めたのち、会社を辞めて島へやって来ました。
驚いたのは、Ｓさんの将来に期待していたＳＤＡ社。
競合他社に引き抜かれたならまだしも、瀬戸内の小さな島だというじゃありませんか。
引き抜きどころか、これからの仕事も何も決まってない。仕事があるのかどうかすらわからない。
一体、何がＳさんにそうさせたのか。

謎を解き明かしたいのが半分、あわよくば連れ戻したいのが半分。
その夏、ＳＤＡ社のＩ社長以下、コアメンバー数人が連れ立って、弓削島へやって来ました。

別の移住者のＫさんを介して僕にも声がかかり、その日の夜（『海賊の学校』の海賊先生の一人でもあるＮさんの営む）民宿で、ＳＤＡ社の皆様と出会うことになります。
獲れたての魚を食べながら、島のこと、Ｓさんのこと、ＳＤＡ社のことなどを語り合いました。

翌日は、若者チームは、Ｋさんのガイドでカヤックで海を体感する一方、Ｉ社長は、Ｓさんと連れだって、僕の案内で誰もいない静かな入り江を訪れました。
Ｉ社長は波の音しかしないその浜辺でしばらく静かに佇んでおりました。
つまらなかったかな、心配になりましたが、無事全ての行程を終え、島を後にしました。

色々お手伝いしたいというお言葉を頂き、社交辞令だとしても有難いことだし、ともかくも無事でお見送りできたことが何より。めでたし、めでたし。
のはずでした。

ところが年の瀬も押し迫ったころに、Ｓさんから連絡がありました。
「ＳＤＡが早く島おこしに関わりたいと言ってます。デザインで出来ることは、無償でも構わないとまで言ってますよ。」という内容でした。

「無償でも」という言葉に反応したのも事実ですが(^^;)、本気で一緒にやりたいと考えてくれていることに内心驚き、その思いに応えなければ「しまオトコが廃る」と、Ｋさんを誘って今度は大阪へ乗り込み、改めて両者の思いやこれからのビジョンを確認し合いました。

その後、お互いに何度か行き交って『海賊の学校』のアイデアを一緒に形にしていくことになったのです。

彼らは、島に住んでいるわけではありませんが、その道のプロであり、地域の自立へ向けた歩みを共に歩まんとしてくれています。
彼らもまた同じ船で未来を目指す仲間（クルー）。
いわば「デザインの海賊」です。

『海賊の学校』は、仲間とともに実現していきます。
ＳＤＡさんがそうであるように、地域の中だけでなく、地域の外へも仲間の輪を広げていきたいと思っています。

皆さんも、未来へ向けた船旅の仲間に加わりませんか？
お待ちしております。

兼頭一司