READYFOR?「北海道紋別でアイヌとともに野生サケを守る調査をしたい!」プロジェクトにご支援いただいた皆様へ

 

さっぽろ自由学校「遊」の小泉です。
さて、大変遅くなってしまいましたが、プロジェクトの実施期間がすでに終了しましたので、これまでの経過をご報告したいと思います。

 

1.モベツ川水系水質調査について
 2014年12月7日に、モベツ川本流2ヶ所、支流の豊岡川2ヶ所、元丘川2ヶ所の計6ポイントで水質調査を行いました。この水質調査は、2011年7月以降、継続して行っているもので、今後も継続していく予定です。
 この調査を始めたきっかけは、豊岡川上流部に建設された産業廃棄物最終処分場が2012年4月より稼働したことで、豊岡川およびモベツ川を遡上するサケをはじめとする生物に与える影響が懸念されたためでした。
 もちろん、こうした影響はすぐに現れるものではないため、今後も長い期間にわたって調査を継続していく必要があります。現在は、地元メンバーが中心になって調査を進めています。

 

 

2.モベツ川における野生サケの遡上について
 さて、このプロジェクトは紋別におけるモベツ川の「野生サケを守る」ことを目的としていますが、そもそもモベツ川には野生サケがどの程度遡上しているのか、そして、それは本当に野生サケなのか、ということが問われるかと思います。
 これについては、独自の実態調査をするには至っていませんが、さけます・内水面水産試験場が2010年から2012年にかけて実施した「野生サケの資源動態に関する研究」のデータを入手することができました。この調査は北海道内で野生サケの存在が確認されている複数の河川において、ウライまたは目視調査によって遡上数を確認したものです。モベツ川については三年度を通じてウライによる調査が行われており、推定野生サケ遡上数は2011年度で739尾、2012年度で1289尾となっています。この調査では、放流河川からの迷入に関しても調べられていますが、モベツ川に関しては迷入率はいずれの年も1%を切っており、遡上するサケのほぼすべてが野生サケであることが確認されています。実際に、研究所を訪問し、調査に携わった研究員の方のお話も伺いましたが、放流事業の陰であまり注目をされてきませんでしたが、北海道の河川では意外と多くの野生サケが遡上しているようです。こうした野生サケの管理・保全を、元々河川でサケを獲りながら、サケと共に暮らしてきたアイヌ民族の参画のもとで行えるようにしたいというのが私たちの考えですが、研究者の方もその考え方には理解を示していました。生物多様性保全の必要性が広く認知されるようになってきた今日、野生サケの管理・保全の意義については、日本でも今後注目を集めてくることと思いますが、先住民族の権利回復という点においても重要な意義を持つ問題ではないかと思っています。

 


 

図:平成24年(2012年)の各河川でのサケ遡上数

 

3.野生サケ保全の阻害要因~周囲の森林開発の問題など
 私たちが注目しているモベツ川は、過去には上流部の鉱山開発(鴻之舞金山)の鉱毒被害によって魚が死滅したことがあります。自然の治癒力によって、今では野生サケが遡上する豊かな自然環境が保たれていますが、現在でも様々な脅威となる要因が存在します。私たちは、そうした生物多様性保全に対する阻害要因についても調査・監視をすすめていきたいと思っています。
 ひとつは、1.で触れた豊岡川上流部に建設された産廃処分場の処理排水の影響ですが、他にも周囲の森林伐採などの影響が懸念されます。紋別市では、大型の木質バイオマス発電事業が計画されており、2016年より発電所が稼働予定となっています。発電には大量の木材が必要となりますが、果たしてその供給が間に合うのかなど、森林に与える影響が懸念されています。また、この事業とは直接関係ありませんが、私たちは先日、森林に詳しい専門家と共に、モベツ川流域の裏山における森林伐採の跡地を見学してきましたが、見渡す限り禿山となっており、こうした伐採が河川におけるサケなどの生物の生息に影響を与えることが懸念されます。

 

 

写真:モベツ川流域部における伐採跡

 

 今回、ご支援をいただいたプロジェクトの実施期間はとりあえず終了いたしましたが、私たちは、今回出会うことのできた方々と協力し、今後も引き続きこの調査を継続し、野生サケの生息する豊かな河川環境を守っていきたいと思っています。ご縁がありましたら、引き続きご支援、ご協力いただければ幸いです。

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