お早うございます。松竹大谷図書館の武藤です。

 

本日8日、公益財団法人松竹大谷図書館ニューズレター3月号を発行いたしました。

 

https://www.shochiku.co.jp/shochiku-otani-toshokan/pdf/newsletter_no252.pdf

当館HPより、上記PDFファイルでご覧いただけます。

 

3月号では、

・新着資料案内

・新規登録資料案内

・資料をご寄贈くださった方々

・「京都映画ノンフィルム資料アーカイブ」セミナー&シンポジウム及び「映画資料特別展」報告

・立命館大学ARC 文部科学省 共同利用・共同研究拠点「日本文化資源デジタル・アーカイブ研究拠点」2018年度 成果発表会参加報告

・第75回展示「初世尾上辰之助」展(※展示は3月18日より始まります)

 

 以上を掲載しております。

 

さて、以前の新着情報でもお知らせしましたが、2月6日に開催された「京都映画ノンフィルム資料アーカイブ」セミナー&シンポジウムを聴講するため、京都大学の楽友会館に行ってまいりました。

 

ノンフィルム資料とは、映画に関わるフィルム以外の資料(台本、ポスター、スチール、小道具、衣裳など)の事を指します。古くから映画撮影所があった京都太秦には貴重なノンフィルム資料が多く存在しますが、いまや散逸・消失の危機にあります。今回のセミナー&シンポジウムは、これらの資料を保存、活用するためのアーカイブの構築や運営、共同利用の促進等を目指した事業【文化庁「アーカイブ中核拠点形成モデル事業(撮影所における映画関連の非フィルム資料)」】の一環として開催されたものです。

 

シンポジウムに先がけ、まずノンフィルム資料の関連展示が行われていた東映太秦映画村へ向かいました。弥勒菩薩半跏像で有名な京都広隆寺の近くにある東映太秦映画村は、撮影所に併設された映画のテーマパークとして多くの映画ファンに愛される施設ですが、実は大量のノンフィルム資料が保存されている事はあまり知られていません。

 

二条城大手門をモデルに設計された映画村の団体入口「東映城大手門」をくぐると正面にある映画文化館に、その大量のノンフィルム資料が収蔵されています。映画文化館は1階が美空ひばりの出演作の資料が展示された「美空ひばり座」、そして2階は「写真で綴る日本映画史」や、各社映画人の関連資料を展示した「映画の殿堂」など、映画好きには堪らない空間となっています。この2階の階段周りの三方の壁と展示ケースに、関連展示として今年度事業で修復された台本やポスターが、修復処置の概要パネルと共に展示され、その他にも映画文化館の所蔵資料の中から多種の所蔵資料が展示されていました。今回は、特別に映画村社長の山口記弘氏のご厚意で、3階の非公開の資料室を拝見させて頂きましたので、詳しくはニューズレターのご報告をご覧ください。

 

続いて午後は、京都大学の楽友会館に移動して、セミナーとシンポジウムを拝聴しました。

 

第一部のセミナーでは、【第6弾】クラウドファンディングで、当館の映画スクラップの保存容器を制作して頂いた株式会社資料保存器材の取締役阿部祐貴氏より、本年度の事業で進めた、映画村のポスター、台本の修復事例について、詳しいご報告がなされました。ノンフィルム資料の保存に関する問題点としては、多くが近現代紙資料であり、酸化劣化が進んでいる事や、量が膨大である、などの課題が挙げられました。そして劣化の進行を防ぐことも重要であるということで、セミナーの最後には、当館のスクラップの保存容器の件も、映画資料の保存事例として取り上げて頂きました。

 

第二部のシンポジウムでは、映画村の資料室をご案内下さった山口社長を始め、国立映画アーカイブ主任研究員・岡田秀則氏、国立新美術館学芸課美術資料室長・谷口英理氏の3人が登壇し、京都大学准教授・木下千花先生の進行のもと、ノンフィルム資料のアーカイブへの理解を深めるための意見が交わされました。

 

映画は完成品としてフィルムの存在があげられますが、ノンフィルム資料とは映画ができる過程で作られるもので、映画が作られるためにはどのようなものが必要か、各段階で何が作られたか、といった映画の総体をつかむための資料である、という解説がここで改めて示されました。

 

また、アーカイブズとライブラリーはどう違うのか、という当館にとって大変興味深い話も出ました。ライブラリーで扱っているのは大部分が冊子体で同じものが複数存在し、目録を作成するときは、その資料に記載されている書誌情報(例:図書の奥付など)を記録。一方、アーカイブズは主に非図書資料を収集、手稿や原稿など唯一無二のものが多く、複数ある資料でも個々に重要性があり希少性が高い、資料自体に書誌情報が記載されていない、など意見が述べられました。

 

シンポジウム後の質疑応答では、聴講者より熱心な質問があがりました。国際標準の目録があるのか、といった興味深い質問もありましたが、現在は存在していないとの事でした。また利活用における著作権の質問に関しては、映画自体の著作権が長年明確化していないままであり、ノンフィルムの資料についても利活用を難しくしているという話がありました。今後はフェア・ユースに関するルールを整備しないと死蔵になる、という事で法を守ると同時に活用にむけて研究者が動く事が必要という話で、シンポジウムは終わりました。

 

今回のセミナー&シンポジウムでは、資料の保存・修復に関する実践的な知識の他、ノンフィルム資料を取り囲む様々な問題が挙げられました。ノンフィルム資料について学ぶ場は大変少ないので、今後も一般参加が出来るようなこうした機会に、知識や理解を深めていきたいと思います。

 

 

続いて、2019年2月22日・23日の2日間、立命館大学アート・リサーチセンターで行われた【文部科学省共同利用・共同研究拠点「日本文化資源デジタル・アーカイブ研究拠点」/研究拠点形成支援プログラム研究プロジェクト2018年度成果発表会】に参加してきました。

松竹大谷図書館は、国内の研究機関の一つとして、アート・リサーチセンターとの共同研究プロジェクトに参加しています。今回は、「演劇上演記録データベースを活用した、演劇資料画像検索閲覧システムの構築に関る研究」という研究課題について、今年度の上演記録データベース考証作業の進捗状況と、公開運用中のデータベース(松竹大谷図書館HPより利用できる検索閲覧システム)を活用した事例について発表しました。

今年度の成果としては、ジャンルを「新派」に限定した戦後の新派上演年表

http://www.dh-jac.net/db/nenpyo/search_shinpa.php

を公開することができました。また、昨年の藤澤浮世絵館での展覧会「松竹大谷図書館所蔵3D浮世絵歌舞伎組上燈籠の世界」の開催や、組上燈籠絵をデザインしたブックカバーの商品化も実現したこと、さらに、ハワイ大学マノア校が所蔵するGHQ検閲関連資料“Stanley Kaizawa Collection”の公開により、当館が所蔵するGHQ検閲台本との関連性もデータベース上で研究できる環境が整ったことなどを報告しました。

期間中には、日頃各プロジェクトを支えてくれているアート・リサーチセンターのサポートボードメンバーによるワークショップも開催されました。会場には、各プロジェクトの成果をデジタル展示するコーナーも設置され、参加者間でアドバイスや情報交換も行われるなど大変充実した2日間となりました。

立命館大学アート・リサーチセンター外観
プロジェクト別展示ブース

 

 

■春期特別整理休館のお知らせ■

松竹大谷図書館は平成31年3月2日(土)より  3月17日(日)まで資料整理のため休館いたします。3月18日(月)より通常通り開館いたします。

くわしくは、こちらのカレンダーでご確認下さい。

https://www.shochiku.co.jp/shochiku-otani-toshokan/pdf/2019_calendar.pdf

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