志すすべての者たちへ、スペードの3解禁ッ。

千葉大の院生の頃、相模女子大学にてレクチャーをした際、

講義後のアンケートにこんな感想がありました。

「面白く思うか無駄と思うかもまだ後でいい。向き合って真剣になっていれば、誰に認められなくてもいい。という『志』の一言、今後の私自身の目標にします。学校だけじゃなく、人間も辞めようかなって思っていた私に素敵な講義をありがとうございました。」

この言葉が、高くそびえる壁に直面したとき、いつも行くべき方向を示す存在となっています。

そしてこのカードを作ろうと決心したいくつかの物語は続きます。

 

大学の後輩でM.M.さんという私と真逆の
「どこに出しても恥ずかしくない人」どころか「どこに出しても立派な人」がいました。

彼女が大学進学を決めなければならない頃、お父様から
「お母さんの調子が良くない、万が一のこともあり得ると医師の方から言われた。申し訳ないが大学は地元の場所へ通ってくれないか。」
と家族会議でお話があったそうです。

高校三年生だった彼女はしばらく考えました。

そしてお父様にこう話したそうです。

「私はお父さんのように好きなことを一生懸命研究する大学の教授になりたくて背中を追いかけてきました。言われるとおりに努力をし、今日まで来ました。お母さんも世界で一番愛しています。だからお父さんの言うとおりにしようと考えました。けれども地元の大学では好きなことを学べる学部、学科がありません。私のやりたいこと、つまるところ私が追いかけてきた夢をかなえるにはどうしても千葉大学の理学部しかありません。万が一のことがあれば何が何でも駆け付けます。もしものことも肝に銘じてここを出ていくつもりです。お母さんもお父さんも大好きだから、だから今回だけは『わかりました。』とはどうしても言えません。私ができる親孝行は、私の夢をそばで見守ってくれたお父さんお母さんに、好きな学問の研究に勤しむ教授としての姿をいつか見せることです。だから、この大学への進学を許してください。」

そう話したそうです。

そしてもう一つ、私自身の話です。

転校ばかりしていた挙句、体も弱かった幼いころの私は常にいじめの的でした。
そんな中、常に私を守ってくれていたのが一つ上の兄です。

例え自分より大柄な人間が相手でも私がいじめられていることを知ったらいつでも立ち向かい闘ってくれました。

だから私は無敵でした。
私が負けたとしても結果的に悪に負けはしないのですから。
今日私があるのは間違いなく兄のお陰です。

そんなことを繰り返すうちに思うのでした。

それをいつまで兄に任せて平和ボケをしているのだろうかと。
正義が来るのを、七色の光を唯々じっと待っているのが正しい行いなのかと。

拳を握らなくてはならないときに、人生の決断をしなければならないときに、本当に助けを求める人を目の前にしたときに、

私は今まで受けた正義以上の正義を分け与え、示せるのだろうかと。

 

助けられて「はい、おしまい。」

なんて人生ならそんなもの、いらない。

 

なぜなら、沢山の正義を私は見てきたのだから。

いつか必ず生物は亡くなります。この星ですらも。
何も起こらないのが平和なら、誰もがその平和を必ず迎えます。

 

例え短い時間でも生きているから闘えます。自分自身とも。
永遠ではないから闘う価値があるのだと私は強く思います。

そして拳を握れなかったことを後悔するのなら、
かっこいい生き方を選び続けている人たちを目の前にして気づかされたなら、
誰かに生きる道筋を示したいのなら、

今こそ拳を握り、そのひと振りを示そうと思うのです。

私のマジシャンとしての誇りを教えてくれたあの学生が、もしもまた道に迷ったとしたならば、

必死に自分の信じる道を手探りでも探しだしてきたMさんが、もしも疲れ果てたとしたならば、

兄がまた私を昔のように案じることがもしもあるとしたならば、

その暗がりを打ち破るのは言葉ではありません。

示すべきは生きてきた証。

見せてやる　俺が生きてきた拳を

 

そんな思いをこのカードに込めました。

 

まだそこには行かない

 

生きている間、信念を貫くことをいつか帰る月に誓うパン様です。

 

このカードを見て、また今日も進化を求めるために、

自分自身と闘うこと、

拳を握ることの大切さを伝えられたらなと思います。