子宮頸がんは他人ごとじゃない。25歳で、異形成(子宮頸がん前がん病変)の疑いがあると診断された私が伝えたい、若いうちから自分の「体」を考える大切さ。

 

HPVワクチンの接種歴がありつつ、現在、子宮頸がん前がん病変の疑いがあり経過観察中である新井美月さん(25)。

 

検査でひっかかったからこそ、「HPVワクチンを打っておいてよかった!」と感じた実体験を、より多くの方に知ってもらいたい、子宮頸がん予防の啓発に役立てたい、とご連絡を下さいました。

 

今日は、そんな新井さんと、Readyforのプロジェクト「『子宮頸がん』で亡くなり子宮を失う女性を一人でも減らしたい。」に関わる産婦人科医の稲葉可奈子さんによる対談をお届けします。

 

 

右:新井美月さん、左:産婦人科医の稲葉可奈子さん

 

 

■原因不明の腹痛で、たまたま見つかった「異形成の疑い」

 

稲葉:新井さんからご連絡を頂き、特に若い方に聞いてもらいたいエピソードだと思いました。まず、子宮頸がん検診を受けようと思われたきっかけを教えて頂けますか。

 

新井:きっかけは、原因不明の腹痛でした。動けないレベルの腹痛が2日ほど続いて会社も行けず、とにかく原因を知りたくて消化器・婦人科であらゆる検査を受けました。結局、この腹痛は婦人科とは何も関係がなかったのですが(笑)、その時に、たまたま子宮頸がん検診も受けていて、そこで引っかかり、「ASC-US」という検査結果で、精密検査を受けることになりました。

 

稲葉:「ASC-US」というのは、子宮頸がん検診の細胞診の分類で、「異形成の疑い」という意味ですね。異形成というのは、子宮頸がんの前がん病変のことです。その疑い、という結果なので、次に行う検査は、子宮頸がんの原因であるHPV(ヒトパピローマウイルス)の有無を確認する検査で、その検査を受けたのですね。

 

新井:そうです、その検査で、HPVウイルスの16・18型以外の型に感染していることがわかりました。それで組織診(生検)を受けたところ、幸い異常はなかったのですが、今は定期的に経過観察中です。

 

稲葉:組織診というのは、子宮頸部の組織を、昔の切符切りのような器具でほんの数ミリ、パチンととる、いわゆる生検です。病変を見定めて組織をとるのですが、必ずしもちゃんと病変をとれているかは分からない、もしかしたら生検したところと別の部位に異形成があるかもしれないので、一度異常がなくても、必ずその後経過観察をします。

 

新井さんは幸いにも、異形成ではありませんでした。
しかし、疑いがあり、HPVは陽性なので経過観察中です。

 

 

新井:この事がきっかけで、他人事じゃないんだなーと思い、自分で色々調べました。こわいので、定期検診はしっかり受け続けようと思います。

 

稲葉:経過観察をきちんと受けて下さることはとても大事です。時々、自己判断で通院を中止してしまう方らいらっしゃいますが、それではせっかく検診で前がん病変(異形成)の段階で見つけた意味がなくなってしまいます。進行していないことを確認するためにも、ぜひ経過観察はしっかり受診してもらいたいです。子宮頸がんのこわさが伝わっていないと、危機感がわかないんですよね、きっと。

 

新井:私も、検査でひっかかりはじめて知りました。自分で情報を入手し知識をつけたので、子宮頸がんのこわさも知りましたが、それまでは、ほぼ何も知りませんでした。

 

 

■自覚症状がないからこそ、定期的な検診が重要

 

稲葉:腹痛ではからずも婦人科を受診するまでは、子宮頸がん検診を受けたことはなかったのですか?

 

新井:なかったですね。母に言われた気がしなくもないですが、普通に聞き流していました。正直、30代後半くらいになってから気にすればいいと思っていました。

 

稲葉:誤解されやすそうなのでもう一度確認しておきますと、受診のきっかけの『腹痛』は、あくまで全く関係のないことが原因で、たまたまそれをきっかけに受診しただけで、「異形成」の段階では自覚症状はありません。不正出血などの症状がでる頃には、すでに浸潤がんに進行していることがほとんどです。症状がないのがこわいところで、だからこそ、子宮頸がん検診が大事なのです。たまたま子宮頸がんの検査を受けることができた新井さんはとてもラッキーです。

 

新井:本当にそう思います。あのまま全く検診を受けず、その間に進行していたら…と思うとおそろしいです。

 

 

 

 

■HPV16型、18型の感染を予防し、子宮頸がんのリスクを70%以上さげてくれる、ワクチン接種。しかし、それ以外の型に感染する可能性はあるため、定期検診も大切です

 

稲葉:新井さんは、HPVワクチンを接種していらっしゃいますよね?

 

新井:はい、高校1年生の時にうちました。でもHPVワクチン接種のきっかけは何も覚えていません(笑)。当時は国が推奨していたので、その流れで普通に親が受けさせてくれたのだと思います。当時の私は「子宮頸がん」や「自分の健康」、「ワクチン」などに全く興味がなかったので、ただ受動的にワクチン接種をうけました。

 

稲葉:ご両親や学校からも、HPVワクチンや子宮頸がんについての説明はなかった、もしくはあっても記憶に残るほどではなかったのですね。もしそこで、多少なりとも印象に残る説明が聞けていたら、大人になったら子宮頸がん検診を受ける、ということが頭の片隅にあったかもしれないですね。

 

新井:そうですね、今でこそ、自分で調べたりしてある程度の知識がありますが、当時は本当に何も考えていませんでした。

 

稲葉:HPVワクチンで感染を予防できるのは、子宮頸がんの原因としてリスクの高いHPV 16、18型なので、それ以外のHPV型が原因で子宮頸がんになってしまう可能性はあるため、HPVワクチンを接種していても子宮頸がん検診を受けることは重要です。(ただし、HPVワクチンにより70%以上リスクが下がるため、検診間隔を長くしてよいのでは、という検討が他国では行われています。)ただ残念なことに、その大事な情報が、HPVワクチンを接種した人たちにちゃんと伝わっていないんですね。

 

新井:私が感染しているのは16・18型以外のHPVウイルスでした。その結果が出てはじめて、母にHPVワクチンの記録を送ってもらって調べたら、そのワクチンが予防するのはHPV16・18型だということを知りました。婦人科の先生から、HPVの16・18型が最もリスクが高いと聞いていたので、この型に感染しなかったのは前に受けたHPVワクチンのおかげだろうなぁと感謝しています。

 

稲葉:本当にその通りですね。でもここまで理解して、HPVワクチンの効果を理解してもらえるケースは稀だと思います。新井さんがご自分でしっかりと学ばれたからこそ、そう思ってもらえたのだと思います。HPVワクチンを打っていたからこそHPV 16, 18型には感染しないで済んだ、という経験談は、ぜひ定期接種対象の中学生やその保護者の方にも聞いていただきたいです。

 

 

■ワクチンを「受ける」「受けない」の選択ができる知識を。

 

新井:ワクチンを受けるか・受けないかの判断は自分でしたらいいし、もしかしたら私と同じように、その年頃の娘さんがいるお母さんが判断するのかもしれません。ただ、その「受ける」「受けない」の選択ができる状態になっていてほしいと思います。

 

稲葉:現状は、HPVワクチンの存在すらしらない保護者の方も少なくないと思います。知らないと、接種するかしないか、選択することすらできない。まずはHPVワクチンとはなにか、子宮頸がんをなぜ予防した方がよいのか、を知ってもらいたいですね。そして、恐らくほとんど知られていないと思うのですが、予防接種の通知はこないけれどHPVワクチンは今も定期接種なので、自ら保健所に申請すれば対象者は無料で接種できるのです。自費だと3回接種で計5~6万円かかるのが、無料で接種できるというのは、ものすごくありがたいことです。

 

新井:当時は何も考えずに予防接種を受けましたが、高校生の時に無料でうてて本当にラッキーだったんですね。私は今回の件がきっかけで子宮頸がんというものを「自分事」にできました。今年25歳ですが、今のタイミングでその重要性に気づけて、手遅れにならずにすんで本当によかったです!もし、いつまでも「他人事」でいたら、知らぬ間に手遅れになっていて、今の生活や大好きな仕事などを諦めないといけなかったかもしれない。ぜひ、中高生とそのご両親が「選択」ができる状態まで関心を持ってくれればと思います。


(完) 


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最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

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残り3週間を切りました。現在、達成率71%。

 

引き続き、達成目指し頑張っていきますので、応援をよろしくお願いいたします!

 

 

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