体験談レポート | 妊娠と同時に子宮頸がんが見つかりました。

 

46歳で出産後すぐ子宮・卵巣を全摘した私が伝えたい、子宮頸がんの怖さと予防する方法

 

46歳を迎える直前に第一子を出産した森田美佐子さん。司会者育成・紹介事務所を経営する会社代表者であり、自身も司会者・ナレーターとして活躍しています。
 
ここまで聞くと、仕事をバリバリがんばってきた大人の女性が、お子さんに恵まれて良かったなぁ、という感想を抱く方も多いでしょう。
 
しかし、森田さんの妊娠・出産は最後の最後まで、危険と隣り合わせの状況でした。子宮頸がんにかかっていて、出産と同時に広汎子宮全摘出術を行ったからです。
 
今回、自身の経験を通じて子宮頸がんの怖さや子宮頸がんを予防する手段を伝えたいと、森田さんは手を上げてくれました。

 

左から森田美佐子さん、稲葉可奈子医師

 

森田さんとReadyforのプロジェクト「『子宮頸がん』で亡くなり子宮を失う女性を一人でも減らしたい。」に関わる産婦人科医の稲葉可奈子さんによる対談をお届けします。

 

 

■妊娠と同時に見つかった子宮頸がん

 

稲葉:「BuzzFeed」に掲載された「妊娠と同時に子宮頸がんが見つかった女性の話」を拝読しました。私も医師として森田さんのような患者さんを見てきた経験があります。ただ、ご自身のつらい経験をああやって、患者さん視点から発信できる方は珍しいです。多くの方に読んでほしい記事だと感じました。
 
森田:ありがとうございます。父がすい臓がんで亡くなっていることもあって、私もがんには気をつけなければと思い、毎年必ず子宮頸がん検診を受けてきました。昨年6月に不正出血があって「あれ?」と思って、かかりつけの婦人科へ行くと「高度異形成の疑いがある」(※1)と言われて……。
 
※1 子宮頸がんになる前段階(前がん病変)のこと。森田さんはクラスⅣと診断された
 
稲葉:子宮頸がんが恐ろしいのは、早期は症状がまったく現れないことです。日ごろから気をつけていても、異形成になっていると気づくことはありません。
 
森田:私がまさにそうで、前年10月に子宮頸がん検診を受けて、異常なしと言われてから1年も経っていなかったのでびっくりしました。大学病院での精密検査では「高度異形成クラスⅤ(上皮内ガンは確定)」であることと同時に、「妊娠していますよ」と伝えられました。

 

稲葉:森田さんとは逆に、妊娠して初めて子宮頸がん検診を受ける方のほうが多いです。というのも、妊娠すると必ず子宮頸がん検診を受けることになっているので。
 
森田:ですよね。妊娠時の子宮頸がん検診で出た結果を受けて妊娠を諦める方もいれば、私と同じように産む選択をする方もいるんだと知りました。20代で子宮を全摘した方もいると知って、もし私がその状況だったら耐えられないだろうと感じて涙が止まらなかったです。
 
稲葉:私も未だに思い出す患者さんがいます。当時30代半ばで子宮頸がんの症状がステージⅣだと発覚。パートナーとの間にお子さんはいなくて、「これから妊娠・出産したい」とおっしゃっていました。でも、がんが進行しすぎていたため、それから1年少しで亡くなられて……。そういう悲しい思いをする当事者の方、周りの方がひとりでも減ってほしい、と強く感じた出来事です。

 

 

■子宮頸がんが進行するなか、無事出産できたのは奇跡

 

 

森田:その若さで、と思うと聞いていてつらくなります。
 
稲葉:森田さんの経過を伺いたいのですが、子宮頸部の一部を切り取る「円錐切除手術」を出産前に受けられたんですよね。
 
森田:はい。その結果、クラスⅤだったこともあり、がん細胞が奥深くに広がった状態(浸潤がん)まで進行していたので。さらに、円錐切除手術の結果、より悪性度の高い「腺がん」も見つかり、これがステージ1b1期だと診断されました。
 
稲葉:そこまで進行していると、通常であれば、子宮嫡出は避けられなくなります。
 
森田:その状況ですぐに私が子宮全摘しなかったのは、45歳で妊娠し「これが最初で最後の出産になる」と自覚していたからです。

 

稲葉:妊娠28週で産むこと、がんが進行した場合は出産を諦めることを覚悟されていた、と記事にも書かれていました。
 
森田:結果的に、子どもが何か後遺症を持って生まれてくるのを避けるために、30週まで妊娠継続しました。担当医には、がんの状態や転移の具合を詳しく見ていただきながら、ギリギリかつ最善の判断をしていただいたと思っています。
 
稲葉:出産と同時に子宮と卵巣を摘出されて。後遺症に苦しまれた時期を経て、私たちのプロジェクトを見て連絡をくださったんですよね。
 
森田:私の事例はあくまで美談。最終的に出産と同時にした広汎子宮全摘で、ガンの大きさは2cm×3cm×2.8cmだったので、1b1期のままでとどまっていました。そこから進行して1b2期になっていたら、間違いなく抗がん剤治療をしていたでしょう。大学病院に入院していた1カ月間で、自分のようにハッピーエンドなケースばかりではないと知りました。子宮頸がんだとわかっても、全員が全員、無事に出産できるとは限らないんです。
 
稲葉:本当にその通りです。
 
森田:いつか子どもを望むなら、子宮頸がんのことを正しく知って、本気で考えてほしいなと思いました。子宮や卵巣を若いうちに取ってしまうと、体はもちろん心へのダメージも非常に大きくなるはずですから。
 

 

■子宮頸がん検診、受診率はわずか4割

 

 

稲葉:日本では今、78人にひとりが子宮頸がんにかかっていますが、検診受診率は40%(※2)と、先進国のなかで圧倒的に低いのが実状です。
 
※2 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター /がん検診受診率(更新・確認日:2017年07月31日)
 
森田:低いですよね……。検診へ行かなかったがために、異変を感じて産婦人科へ行ったときには手遅れで、子宮を全摘して妊娠・出産が望めなくなった20〜30代女性もたくさんいます。若くして子宮・卵巣を失うことで、その先の長い人生、ずっとつらい思いをして、過ごすことになるかもしれません。だからぜひ検診に行ってくださいと心から伝えたいです。ちょっとでも気になることがあったら病院に行く、私のような人でも症状が進行していたくらいですから。
 
稲葉:働く女性が忙しいのはわかります。不正出血があっても「こういうこともあるよね」とさほど問題視せず、時間の経過と共に気にも留めなくなり、半年くらい放ってしまう方も少なくありません。そして、産婦人科に来たときは既に進行している。
 
森田:ステージⅢになると手術もできない、と聞いたときは驚きました……。ステージⅡでも抗がん剤治療や放射線治療は必須だと。

 

稲葉:がんが進行し続けている状態だと、治療効果が望めないだけでなく、体への負担が非常に大きくなるため、手術ができないんです。だからこそ少しでも異変がある場合は、仕事よりも優先して可及的速やかに産婦人科を訪れてください。もうひとつ、特に若い方には、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンについて知ってほしいです。
 
森田:同感です。
 


■子宮頸がんは予防できる。若い方はHPVワクチンと検診をセットで
 

 

稲葉:子宮頸がんの原因の大半は、性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によるものです。さらに、HPVのなかでも悪性度が高い16型・18型による感染が、子宮頸がんの7割を占めています。 HPVワクチンを接種することで少なくともこの2型のHPVの感染を防ぐことができます。森田さんの腺がんは見つかりづらく、進行が速いがんですが、ほとんどが18型を原因とする感染です。それも予防できるというのは、とてもありがたいことです。
 
森田:HPVワクチンで予防できる可能性が高い、ということですよね。もし私が10〜20代でHPVワクチンのことを知っていたら、接種していたなぁ……。ただ、子宮頸がんになる前は、報道を見てワクチン=怖いものだと思い込んでいました。
 
稲葉:「副反応問題」が大々的に報道されてから、日本では2013年6月、HPVワクチン接種推奨が差し止められたのは、多くの方が知るところだと思います。ただ、ワクチン接種と諸々の症状の因果関係は証明されていません。
 
森田:副反応というと、息子が病気の予防などで打つワクチンも、副反応が出る可能性があるというか、どのワクチンでも同じことが言えますよね。
 
稲葉:そうですね。インフルエンザ予防のワクチンは皆、何の違和感もなく打っているのに、と思います。
 
森田:HPVワクチンは悪、という風潮が続いていますが、接種するかしないか、もう少しそれぞれで考えた上で選択するよう、有識者から呼びかけてほしいと願います。
 
稲葉:なかには副反応を訴える方もいらっしゃること、ワクチンと副反応との因果関係は証明されていないこと、ワクチンの有効性、可能性のある副反応等のきちんとした情報が広く行き届いてほしい。私が関わっているプロジェクトページでも、できる限り詳しく伝えています。

 

 

■一次予防としてのHPVワクチン、二次予防としての子宮頸がん検診を
 

 

森田:HPVワクチンで一次予防、子宮頸がん検診で二次予防。これを若い方たちに知ってもらいたいですね。これこそがリスクを最小限にする方法だと。
 
稲葉:子宮頸部異形成だと診断された場合、軽度異形成〜中等度異形成の方であれば、3カ月ごとに受診しなければなりません。異形成はがんになる一歩手前の状況ですから、 当事者の抱える精神的苦痛は相当大きなものです。もしかしたらがんに進行するかもしれない、という不安を抱えながら過ごすことになります。HPVワクチンを接種することで、そのリスクを7~8割予防できるのです。
 
森田:関東近郊の某県に子宮全摘した若い知人が住んでいます。彼女は抗がん剤の治療(入院)で都内まで来るんです。体がつらいのももちろんですが、治療にかかる時間やお金のこと、地元に残した子どもの心配など、ネガティブなものをたくさん抱えてしまうことになります。
 
稲葉:生活が一変しますよね。
 
森田:大学病院へ通院するだけでも1日仕事ですから。自分がやってみてわかりました。私は1月に出産し、2〜3月は毎日、冷凍した母乳を病院まで届けていました。術後の後遺症もあって、本来なら7分ほどで着く駅までの道を20分かけて歩いていました。
 

稲葉:つらかったですね……。
 
森田:息子がいるから続けられました。自分ひとりの治療だったら心が折れていたと思うほどです。身をもってそう感じるからこそ、自分の経験を通じて呼びかけたいです。
 
稲葉:予防できないがんとは違い、子宮頸がんは予防できます。特に若い方にはHPVワクチン接種と子宮頸がん検診を受けていただきたいです。森田さんにはこれからも患者さん視点から、発信していただけたら嬉しいです。本日はありがとうございました。

 

(完) 

 

写真撮影:本城和義


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最後まで読んで頂きありがとうございました。今回のクラウドファンディングでご支援いただいた資金は、子宮頸がん予防の大切さを広めるために使用させていただきます。リターンでは、講演会を実施できる権利もご用意しております。(個人・法人問わずご支援可能です。ご興味がる方は是非メッセージ機能にてご連絡いただけましたら、内容のご相談も可能です。お気軽にお問い合わせください。)
 
残り1ヶ月を切りました。達成目指し引き続き頑張っていきますので、是非応援をよろしくお願いいたします!

 

 

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