第3回「大腸がん予防」のために、毎日できることって?-後編-

 

多少の不摂生も“ちゃら”にできる方法とは?


――お酒の飲み過ぎ、野菜不足……体によくない生活習慣が思い当たる人も多いはず。それでも、「検査」に加えていまから「大腸がん予防」のためにできることとは?ひきつづき、大腸がん予防の専門家である石川秀樹先生におききしました。(連載リンク:第1回第2回

 

石川秀樹(以下、石川) 食生活の話に加えて、「運動」がおすすめですね。少しぐらいがんになりやすい悪いことをしていても、がん化をかなり“ちゃら”にしてくれそうです。とくに直腸以外の大腸にできる「結腸がん」は、運動をするとかなり減ります。

 

堀江貴文(以下、堀江)  よかった、僕、運動はかなりしているほうです。

 

石川 運動をすると健康になって免疫力が高まるから、とかいろんな説明がありますが、そうだとすると大腸以外のがんも減るはずですよね。

 

ところが、運動によって明らかに減るのは、結腸がんだけ。ここからは私の想像ですが……人類は直立2足歩行によって、腸が骨盤の中にすっぽり収まり、動きが悪くなっています。それを運動することで揺さぶってあげると、動きがよくなって便秘が減る。それにともない大腸がんも減るのではないか、と考えています。

 

 

今後、大注目の“大腸がん予防薬”がある


堀江 お酒はなかなか減らせない気がしますが……運動はこれからもアグレッシブにやっていきたいですね。近ごろ、大腸がんの「予防薬」として、新たに“アスピリン”が注目されていているそうですね。

 

石川 はい。本物のアスピリンと偽物の薬を使って2年間の試験を実施した結果、アスピリンを飲んでもらったグループは前がん病変のポリープが、当初予想された数値の0.6、3分の2ぐらいに減った。アスピリンは大腸がんの予防にも働くと分かったのです。

 

堀江 そもそもなぜ、アスピリンで実験をやろうということになったんですか?

 

石川 かなり以前から、動物実験ではインドメサジンなどの抗炎症剤はポリープを抑制することが知られていました。同じ抗炎症剤のアスピリンも大腸がん予防に使えるのではないかと、世界中のがん予防の研究者は考えていました。

 

堀江 アスピリンは血小板が固まるのを抑制して、“血液をさらさらにする”作用を持っている薬でもあるんですよね。

 

石川 ええ、脳梗塞や心筋梗塞を起こして助かった患者さんたちの再発を少なくするために、血液を固まりにくくする目的でも処方します。ただし、アスピリンを飲んでいても、たばこを吸う人は逆にポリープが約3倍に増えてしまいます。

 

そして、酒をたくさん飲む人にはアスピリンが効かない。“ほどほどに飲む人”には効きます。この結果をまとめて論文を発表したら、その後すぐに海外からも「アスピリンを飲んでいても、たばこを吸えば大腸がんは増える」という大規模な試験の結果が2つ報告されました。

 

堀江 僕の場合、お酒をよく飲むのでアスピリンは効果がないかもしれない。

 

石川 そうですね。またアスピリンは、飲めば出血傾向や粘膜障害のリスクは増えますから、いくらアスピリンの値段が安いからといって、全国民が一斉に飲むべきものでもありません。副作用がきわめて少なくて、大腸がん予防効果を大きく期待できるような対象者の絞り込みが必要です。それを明らかにする試験(J-CAPP2試験)を現在おこなっているところなのですよ。(※)

 

(※)「アスピリン」は、臨床試験によってポリープの再発リスク減少に効果があると発表されています。将来的に大腸がん予防法としての確立が期待されていますが、現段階ではまだ研究中で、予防のための内服は一般に推奨されていません。

 


*プロフィール
石川秀樹 (Hideki Ishikawa)
京都府立医科大学分子標的癌予防医学特任教授、医学博士。
1960年生まれ。兵庫医科大学卒業後、大阪府立成人病センター、兵庫医科大学消化器内科、健康保険組合連合会大阪中央病院などを経て現職。
2007年~2009年、内視鏡で摘除できた大腸腺腫・早期大腸癌の患者311人を対象に、低用量アスピリン腸溶錠を投与するプラセボ対症二重盲検ランダム化比較試験「J-CAPP」主宰。現在、大腸腺腫・早期大腸癌の患者7000人を対象に、遺伝子多型や食習慣、アスピリンによる予防効果を調査する「J-CAPP2」を主宰中。
 
堀江貴文(Takafumi Horie)
実業家。SNS media&consulting株式会社ファウンダー。株式会社ライブドア元代表取締役CEO。
1972年、福岡県生まれ。現在は自身が手掛けるロケットエンジン開発を中心に、スマホアプリ「TERIYAKI」「755」「マンガ新聞」のプロデュースを手掛けるなど幅広い活躍をみせる。 自身のwebメディア ホリエモンドットコム でも予防医療の重要性を呼びかける。一般社団法人予防医療普及協会理事。予防医療に関する書籍に『むだ死にしない技術』(予防医療普及協会との共著)、近著に『すべての教育は「洗脳」である』『好きなことだけで生きていく。』『多動力』などがある。

 

 

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