
支援総額
目標金額 1,200,000円
- 支援者
- 218人
- 募集終了日
- 2022年5月27日
プロジェクトメンバーからのメッセージ【岡山泰史】

『ドローダウン』と『リジェネレーション』という2冊の本は、今の時代を生きるすべての子どもやおとなにとって「希望」となる本です。その理由は、温暖化対策や気候危機と呼ばれる問題だけでなく、いま社会にあるさまざまな問題や課題の解決の糸口が書かれているからです。
『ドローダウン』は気候危機を逆転(温室効果ガスの排出量の増加を止め、減少に転じること)するためにもっともよい100の方法を、具体的な効果(CO2換算で○ギガトン)とそれにかかる経済的コスト(○億ドル)とともに紹介した本です。それも、ありとあらゆる選択肢をシミュレーションした結果導き出されたベストな方法であり、誰が読んでも理解できるように、平易な文章と美しいビジュアルとともに伝えています。
この本の何がすごいかというと、著者のポール・ホーケンさんは元々実業界の方で、研究者ではないのに、私財を投げ打って大勢の研究者や協力者を集め、長い年月をかけて「世界初」の研究成果を発表したことにあります。そして、それを専門家向けの論文にするのではなく、一般向けの書籍として出版したのが『ドローダウン』という本なのです。出版後には大きな反響を呼び、たちまち『ニューヨークタイムス』のベストセラーとなり、その後13の言語に翻訳されて、いまや世界中で数十万もの人が読むこととなりました。
『リジェネレーション』は、その『ドローダウン』の続編であり、「完結編」ともいえる本です。『ドローダウン』では伝えきれなかった、温暖化が起こった社会的な背景や、その結果引き起こされた気候危機を止めるための、実現可能で具体的な方法をわかりやすく解説しています。
その方法をひとことで言えば、「さまざま命の力を借りること」です。工業的な方法や開発途上のハイテク技術ではなく、シンプルで無駄のない、40億年かけて築かれてきた「生命の営み」の力を使うことで、危機的な状況を「再生」できること。そしてそのような方法の方が効率的で、効果が明瞭で、現実的であることをこの本は伝えてくれます。
いま、私たちの地球は、危機的な状況に向かって突き進んでいます。あとわずか7年半のうちに、この状況を変えることができなければ、後戻りできないほど悲劇的な状況に陥ることが、世界の科学者によって警告されています。その回避のために世界が協働し、立場や主義主張の違いを超えた協業が始まっているのですが、大きな希望や気づきをもたらすきっかけとなったのがこの2冊の本であり、私たちが不安感や恐怖感に陥らずに済むための道筋を示してくれているのです。
●ベースとなる考えは「エコロジー」
この本のベースとなる考えは「エコロジー」です。その科学的な側面と哲学、そして応用(適応)について、『ドローダウン』と『リジェネレーション』は具体的でわかりやすく伝えてくれます。
そもそも「エコロジー」と聞いて、どんなことをあなたは思い浮かべるでしょうか。多くの人は、エコバックだったり、ゴミの分別だったり、省エネだったり、そういった生活関連の話をいくつか思い浮かべると思います。もちろんそれも「エコロジー」の一部ではありますが、もとは地球上に暮らす全ての生き物(植物・動物・微生物)とそれを取り巻く物理的な環境(海、山、川、草原、そして空気や太陽の光まで)との間の、豊かで多様なインタラクション(相互作用)について、科学的に扱う学問からスタートしたのがエコロジーです。
ちょっと思い出していただきたいのですが、中学理科の教科書の最後の方に、実はエコロジーの基礎が取り扱われています。太陽エネルギーを植物が利用して生長し、それをシカやウシなどの草食動物が食べ、その草食動物を食べるオオカミがいて、オオカミの食べ残した肉を食べる鳥や小動物がいて、やがてその生命全てが土に還っていく。そんなプロセスや循環についての話です。
実はこのエコロジーという仕組みが地球のあらゆる生命を支えていること、そしてこの「仕組み」そのものが損なわれつつあることが、温暖化が原因で危機的な状況になったもう一つの大きな理由でもあるのです。
●自然からの警告に耳を澄まして
僕は登山やダイビングを通じて、自然の素晴らしさ、美しさの恩恵を受け取りながら、これまでの人生を過ごしてきました。そんな愛すべき、そして守るべき自然に今、温暖化が暗い影を落としています。
標高3000メートルを超える「日本アルプス」の山には、世界でも珍しい氷河が残され、その氷河地形に沿ってたくさんの生き物が暮らしているのですが、いまその日本の氷河が温暖化の影響を受けています。日本アルプスにだけ暮らす「雷鳥」という名の人を恐れない鳥が、温暖化のせいで里から高い標高まで上がってきたサルに襲われたり、ヒナが殺される事件が多発しているのです。また山にシカが増えすぎたのは、ニホンオオカミが絶滅したことが一番の理由と言われていますが、暖冬ゆえに冬を越すシカの数が増えすぎたことも一因とされています。
日本を取り囲む海にも異変が起こっています。伊豆の海に南太平洋の熱帯魚が流れ着き、そのまま越冬したり、近海の漁場が北に移動してしまったり、「磯焼け」といって昆布など海藻類が高い海水温が原因で大打撃を受け、その結果、海中の生き物が減るなどの現象が起こっています。これらはみな、海水温度の上昇が原因です。
そして、この海水温度の上昇を引き起こしたのが、僕たちが産業革命以来、300年弱にわたって排出し続けてきた二酸化炭素が原因の「地球温暖化」なのです。海水温度の上昇は、台風の激甚化や線状降水帯の巨大化などを通じて、日本にも大きな被害の爪痕を残したことはまだ記憶に新しいでしょう。
●今この本を学校に届ける理由
僕たちが今すぐこの厳しい状況に対処しなければならい理由は明白です。でも何をすれば良いのか、どうすれば良いのか、それが明確ではなかったのも事実です。だからといって思考停止に陥ったり、「問題ないふり」をするのではなく、あるいは国や行政、企業を糾弾するのでもなく、自分たちにできることを積み上げていくことが、実は最もスピーディーで現実的であり、クリエイティブな方法であることを、この2冊の本の著者ポール・ホーケンが教えてくれます。
いま、何かすごい技術を発明したり、誰も思い付かなかった素晴らしい方法を誰かが編み出して、一瞬で問題が解決する!というようなことは期待しない方が良いでしょう。そういう期待感が経済活動を促しているのも事実ではありますが、僕にはそれが、今までの古い考え方に縛られているように思えてなりません。
これからの時代は、工業と経済の時代が終焉を迎え、自然とエコロジーを最も大切にする時代へと転換していくでしょう。もちろんその中には、人権、労働問題、ジェンダー、紛争や戦争といったあらゆる社会問題も包含されています。なぜなら、そういった数々の社会課題・問題を引き起こしたのが工業と経済優先の社会だからです。
今起こっている世界の紛争の多くは、資源や経済をめぐる争いが根本にあります。そして気候変動が自然災害や干ばつを引き起こし、それが原因で、大量の「気候難民」がより安全な土地を求めて故郷を追われたり、近隣諸国との紛争を引き起こしてもいます。
僕たちが日々排出している温暖化の原因物質、二酸化炭素。それは元来、悪者でもなければ、困り物でもありません。生きている限りすべての生命が酸素を吸い、二酸化炭素を排出しているのですから。ただ、いまなにかを変えなければならないことも事実です。それがなにか。そして、どう変えるべきか。
そんな大切なことを考えるきっかけに、ポールの書いた2冊の本がお役に立つのなら、編集者としてこの本に関わる機会を得た僕自身にとっても幸いです。
岡山泰史
編集者・プロデューサー・日本環境ジャーナリストの会理事
中学理科の授業で生態学のおもしろさに目覚める。高校は山岳部、大学はワンゲルに所属。大学院で保全生態学を学んだ後、専門出版社で図鑑や生物多様性に関わる書籍を多数企画・編集してきた。気候危機関連では『ドキュメント豪雨災害』『脱プラスチックへの挑戦』『「再エネ大国 日本」への挑戦』『脱炭素革命への挑戦』『ドローダウン』『リジェネレーション』など。
リターン
20,000円+システム利用料

【1校】に出張授業を届ける
出張授業の依頼があった教育関連施設のうち【1校】へ授業(1回)を寄贈します。
・支援者が所属する学校への寄贈も可能
・感謝の気持ちを込めたお礼メール
・WEB会議用オリジナル背景画像プレゼント
・ホームページにお名前掲載
・寄贈時期は9月を予定
- 申込数
- 7
- 在庫数
- 3
- 発送完了予定月
- 2022年9月
5,000円+システム利用料

ワンジェネレーションの活動を応援(5,000円)
このコースは、リターン費用がかからない分、いただいたご支援金はReady forサービス手数料を除いたすべてを『リジェネレーション』を通した活動に充当させていただきます。また、感謝の気持ちを込めたお礼メールをお送りいたします。
- 申込数
- 37
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2022年6月
20,000円+システム利用料

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- 7
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- 3
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- 2022年9月
5,000円+システム利用料

ワンジェネレーションの活動を応援(5,000円)
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- 申込数
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- 在庫数
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- 2022年6月

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