西蓮寺 小西慶信さんからの応援メッセージ

どんな環境に生まれ育ったかで、その後の人生が規定されてしまう。

そうした目に見えない小さな格差は、今も僕たちのすぐそばにあります。

 

今回のプロジェクトが扱う「地方と都市の機会格差」もまさにそうで、

僕がこのプロジェクトを応援したい理由もそこにあります。

 

私ごとで恐縮ですが、僕が20歳過ぎのころ、

自分の将来がグッと開けるような感覚を味わったことがあります。

 

その頃まで僕は、自分のやりたいことや将来を全くイメージできず、心の底に焦りを抱えていました。ところが、焦りながらも様々なところに顔を出し、挑戦し続ける中で、自分の中で「なにあれ、おもしろそう」「あんなふうになりたい」という好奇心が、間欠泉のように湧き上がってくる感覚を覚えました。それまで漠然と感じていた人生に対するモヤモヤが、クリアになるどころか、エネルギーへと変わった瞬間でした。

 

これまでは、さまざまな制約もあって、地方に物やサービスの選択肢を確保するのは困難でした。生まれた環境や周囲の人間を選ぶことが難しい子どもたちにとっては、その格差がそのまま子どもたちの未来の選択肢の幅に影響を与えます。しかし、現代はテクノロジーが発達し、リーダシップを持った大人がそのテクノロジーを社会に還元しようと挑戦を重ねています。

 

今の子どもたちに最も必要なのは、語学や枝葉のスキルではなく、明確な人生観を養い、日々の暮らしに、自分らしいモチベーションを養うこと。これが僕の持論です。

 

寺は、「問い」を持つさまざまな個人が集まる場として機能してきたと言います。

全国に７万以上あるといわれる寺社仏閣が、子どもたちが本来持ち得る小さな好奇心をそのまま育むことのできる場所になれば、私たちの社会は、大きく前に進めるのではないかと思います。

 

どんな環境で生まれ育っても、自分の未来を自由に描ける世の中であってほしいと切に願います。

西蓮寺

小西慶信