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一家族から写す中国朝鮮民族の「今」。映画『血筋』劇場公開へ

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2020年03月15日 13:14

インタビュー⑤ 波田野節子先生《人生における変数》

 

(2020年3月15日更新)

 

 

波田野節子先生。朝鮮文学研究者。僕が大学生だったときのチューターでもあった。早々と退職して、現在は朝鮮の引き揚げ問題などについて研究なさっている。

映画を作り始めた6年前から人脈的にも経済的にもサポート頂いている。


 

 

 

〇遂に完成しました。作品をご覧になってどう思いましたか?

 

 大学でも何度か上映したじゃない?最初は確か卒論研究発表会だったわね。半分しか出来なかったけど。あれがこんなふうになるのかあ、映画ってこうやってできるんだなあと思いましたね。私は知らないことだったから、むしろ教えて貰った感じだね。

 

 私は中国朝鮮族のソウルへの出稼ぎ問題に興味があったから、初めはその視点だけで観てたんだよね。でもそのあと中国朝鮮族にも興味を持ち始めたタイミングだったから、あなたの映画を通して知ることができて良かった。

 

 それと登場人物の「父親」の個性が良かったわね。昔、長璋吉*の著書で、映画の「父親」に似たキャラクターが読んだことがあったけど、小説の中だからなんだろうなあくらいに思ってた。でも研究者の仲間内で『血筋』の’’品評会’’をしたら、「ああいうタイプって一族には一人いるんですよね」って言ってる朝鮮族の人もいて、本当に実在するんだなあと思ったね(笑)。

 

 作っている角田くんはそれをわかって作ってるのかな。それと角田くん自身がどれほど中国朝鮮族を知っているのかなというのも気になった。

 

 *長璋吉(1941-1988):東京出身。日本の朝鮮文学者。(『私の朝鮮語小辞典 ソウル遊学記』,『韓国小説を読む』)。

 

 

 

 

〇「父親」のキャラクターについてはもちろん自覚はしています。他人だったらまず関わらない種類の人ではありますけど(笑)。

中国朝鮮族に関しては映画完成後にひと通り勉強しました。撮影中は全く無知の状態です。

 

 やっぱりそうなんだね。まあ生い立ちからみたら当然かもしれないね。それが逆に、朝鮮文化にあまり馴染みの無い人が観ても、スムーズに入れる良さがあるかなあとは思う。でもどれくらい日本人に現地の雰囲気が伝わるかしらね。


 

〇登場人物の魅力で持っている作品ではあります。たまたま良い被写体に巡り合えて、運が良かったです。

 

 なるほどね。何というか…あなたは’’猪突猛進’’型だと思ったのよ。全然、後先を計算していない。自分の行動によって相手がどう受け取るのか全く読まずにやっているのよね。とにかく、やり切るという感じ。

 

 結果的には’’猪突猛進’’がそれなりに良いものがあったから作品が完成したんだと思いますよ。まあ、ある意味’’たまたま’’とも言えるかもしれないけどね。



 

〇研究者目線で作品を観るといかがですか?

 

 本当のことを言うと、作品に関してはわからない点が多かったね。家族関係図がいまいちわかりづらい。

 「文化大革命*」に関しても、あの頃は下放*で農村部へ行かされていた人が山ほどいたから、登場人物たちはどういう位置づけなのかとか。私は研究者だからどうしてもそういうのが気になっちゃうのよ。

 

 

 中国朝鮮族のアイデンティティの問題でもあるんだけど、朝鮮人の移動は清朝時代から始まっていて、特に日本の植民地時代には沢山いた。日本の政策で日本移民が朝鮮へ行って、中国へ移った人もいるしね。

 年代としては最終期の人のようだから、終戦後に朝鮮に戻るかどうか迷ってた人達かもしれないね。せっかく中国で耕した田んぼがあるんだし、中国に残ろうって思いながら。

 


 

 「中国朝鮮族」として、いまは定着しているけれど、彼らは自分たちは「朝鮮人」なのか、「中国人」なのかアイデンティティが問われた時代があった。90年代から中国から韓国への出稼ぎが増え始めたとき、韓国では最初は「同胞が帰って来た」と歓迎していたムードもあったのよ。でもいざ中国朝鮮族と話してみると言葉の訛り方が全然違う。同族だけれど「自分たちとは違う」だとか、色んなことを言われて、次第に歓迎されてるとは言い難い状況になる。いまは互いの違いを認識してはいるけど、やっぱり些末なところで、わだかまりは見え隠れするわね。例えば尹東柱*は韓国の人にとっては自分たちの詩人として認識しているけど、本当の出身は朝鮮族だとかね。


 

 *文化大革命:中国共産党中央委員会主席毛沢東主導による文化運動である。名目は「封建的文化、資本主義文化を批判し、新しく社会主義文化を創生しよう」という文化の改革運動だった。

 *下放:上山下郷運動。文化大革命期の中華人民共和国において、中国共産党中央委員会主席毛沢東の指導によって行われた青少年の地方での徴農(下放)を進める運動のこと。特に文化大革命以後、都市部の青年層に対して、地方の農村で肉体労働を行うことを通じて思想改造をしながら、社会主義国家建設に協力させることを目的とした思想政策として進められた。

 *尹東柱:当時の間島(現・中華人民共和国吉林省延辺朝鮮族自治州)生まれの朝鮮族の詩人。『空と風と星と詩』


  ↑中華人民共和国吉林省延辺朝鮮族自治州「龍井市」にある尹東柱の生家

 

 

〇確かに研究者やドキュメンタリストたちには物足りなさを指摘されることは多いです。

 

 物足りない部分もあるけど、色んな点で発見もあって面白い。中国朝鮮族は世界中に散り散りになってて、外地で稼いだお金を故郷に送っているという話はよく聞いていたけど、それが現実ではどうなっているのか気になってた。登場人物の「従兄弟」の暮らしから、その様子が何となく見えてきて、やっぱり大変なんだなあと思った。

 

 以前初めて延吉*へ行ったとき、空港で泣きわめく小さな子どもを見かけたのよ。そうしたら現地の方が「出稼ぎにいくお母さんと離れたくないから、見送りに来ては必ず泣くんですよ。空港に来る度に似たような光景を見るんです」って説明してくれたのを思い出した。でも最近は延吉に行ってもそういう風景をほとんど見なくなったから、延吉も変わってきてるんだなと思った。

 

 韓国からの仕送りによって、中国国内で高水準の教育を受けた若い中国朝鮮族たちは上海や北京に出る人が多くなったみたいだね。

 でもこれからはどうなるんだろうね。中国朝鮮族がいまより散り散りになってしまう気がしてならない。そもそも中国が少数民族に優しい土地柄だとは言い難い部分もあるしね。

 

 

 延吉ではハングルと中国語両方で書かれている看板を見るけど、よく見ると意味を成していないハングルもあって、形骸化してるなあと思った。体制的な差別は無い分、軋轢が生じないような環境だからこそ逆に、中国朝鮮族の存在がうやむやになりそうだなあと思った。何だか矛盾している話だけど。

 

 *延吉:中華人民共和国吉林省延辺朝鮮族自治州に位置する県級市。『血筋』の舞台でもある。漢民族と朝鮮族が混在して生活してる。

 

 

〇元々は朝鮮研究がご専門では無かったですよね?

 

元々は私は日本文学専攻だったのよ。でも副専攻で仏文学を学んでて。あの頃の私は文学少女だったのよ(笑)。文学と言えばやっぱりサルトル、ボーヴォワールでしょ?だからフランスまで留学に行ったりして。

 

 そのあと家業の不動産業も営んでたけど、ふと韓国語を学ぼうと思ったの。それで新潟の民団の韓国語講座に通って「아야어여」って覚え始めたのよ(笑)。私の子どもが幼稚園だったときかしらね。何となく学び始めてたけど韓国語通訳資格とかも取ってたから、始まったという感じかな。

 

 

 

<人生における変数>

 

 

〇凄いですね(笑)。日本文学、仏文学、そして不動産業を経ての韓国語習得…。凄すぎます。韓国語を’’ふと’’学ぼうと思ったきっかけをもう少し詳しく教えて頂けますか。

 

 昔、私の母が自分は朝鮮半島から引き上げて来た人だということを私に教えてくれたのよ。今思うとそれが潜在的なきっかけじゃないかなと思うの。

 

 私が大学一年生のとき、母と二人でひと夏だけの旅に出ようってことになったのよ、思い出にって。母が「四国巡礼したい」って言うから、言われるがままついて行った。

そしてら道中、母が突然自分の過去を私に語って聞かせてくれたのよ。戦前自分が朝鮮半島に渡っていたことや、朝鮮で敗戦を迎えて大切な人を亡くしながらも命からがらで日本へ戻ってきた話とかね。

 

 私は18歳そこらの女の子だったからものすごくショックを受けて、残りの旅路をずっとムスッとしてしまったのよ(笑)。母もそんな私を察したのか、以来二度と同じ話を持ち出すことはなかった。3年後に亡くなるまで一度もね。

 

 あの時代「戦争を知らない子どもたち*」って歌が流行ってて、自分は戦争から遠く離れている存在だと思ってたのよ。でもまさか戦争が自分の身近にあって、暗に自分という存在の運命を決めていたのかと思うと、すごくショックだった。以来、出来事そのものをずっと忘れていたんだけど、ハングルを学んだことがきっかけで思い出され始めた。

 

 

 だからもしかしたら、母との巡礼が、私の運命を決めてたのかもしれないなって思う。

 3年前、四国に訪れる機会があったから、タクシーで同じ場所に寄ってみたのよ。でもダメだったわ。来たはずの場所だけど全然思い出せない。ふとした瞬間に微かに見たこともあるような道もあって…あの時、私は何を考えてたんだろうって、一生懸命思い出そうとしてたんだけど、やっぱりダメだった。

 

 

*戦争を知らない子供たち:1970年に発表された、北山修が作詞し、杉田

二郎が作曲した楽曲。

 

 

 

〇研究を通して自分を探していることに近しい部分がありますね。

 

 そうね。それに気がつくまでかなり時間がかかったわね。ハングルを学んで、李光洙*をずっと研究していて、最近ようやくね。残された時間も無いというのに…(苦笑)。

 

 でも映像はいいわね。一度撮ったら忘れることが無いからね。

 

 *李光洙:朝鮮の文学者・思想家。「朝鮮近代文学の祖」とも言われる。『無情』(平凡社)(波田野先生が翻訳している)

 

(注釈はWikipedia参照)

 

 

 



 

僕は数年前から『血筋』の’’次’’を計画している。いつもは他言しないけれど、波田野先生とお食事する機会があったので思い切って、その’’次’’について話してみた。お酒が回っていたのもあるかもしれない。

若さ故の大言壮語に違いない僕の話をじっと聞くと、一笑してから

「人生とは変数が多いですからね」と話していた。

 

波田野先生とお話していると、いつも’’残された時間’’を意識する。26歳の僕が言うと大袈裟に聞こえるかもしれない。でも『血筋』に6年もの歳月を費やしているという事実がやはり僕を焦らせる。少なくともスピルバーグのような映画人生にはならない。

 

「人が一生涯でできることってそれほど多くは無いのよ」とでも言いたげに波田野先生はいつもせかせかしている。70歳迎えてもなお、野心と好奇心に溢れている姿を見ていると自分もこんなふうになれたらなあと思った。

 

 

インタビュー・文 角田龍一

 

 

【インタビューアーカイブ】

④平野博靖さん《悪名高き配給人》

③郷古廉さん 《音楽と恋》

②山賀博之さん 《僕らは幸せの缶詰売り》

①篠田昭さん 《前新潟県新潟市長》

 

 

 

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