京都府綾部市志賀郷町でおじいちゃんの古民家を復活させたい！

ヤマカミ計画に関わってくれている若者の想い、 志賀郷との思い出などなどを発信していく、「しがさとstories」

2人目は 山崎千智 （ちっち）ちゃん！＊

今回10月に彼女の風景画と友達のふとんバックを展示する企画展「志賀郷の風景画とふとんバック展」をこーば（旧ふとん縫製工場）にて開催しました。
 

一緒に展示してくれた梶原絵美（えみちゃん）のふとんバック。

旧ふとん縫製工場に余った白い綿布を、「裂き織り」と呼ばれる技法を用い、愛情がたっぷりそそがれた作品。

ふとん生地で丁寧に丁寧に織られた帆布は、しっかりしているのに柔らかくて、ぎゅっと抱きしめていたくなるのです。

さすが、そんな彼女の作品は大人気。あっという間に品薄に。

でもそれ以上に、うれしかったことがあります。

それは、彼女の心境の変化のこと。

「わたし、やっぱり、かばんが好きなんです～!　卒業制作でやっぱりかばん、つくります!」

えみちゃんは現在大学 4 回生。

芸大生の 4 年間の集大成、卒業制作展が間近にせまります。

もちろん卒業制作でも、ふとん生地を扱います。

でも、染織でかばんをつくる人なんてたくさんいます。
すぐそばにいる先輩のなかにもそういう方がいらっしゃいました。

「見せ所はあくまで【裂き織り】なので、卒業制作では大きな布を織ろうかな」
ほんの1週間前までそう言っていた彼女。

きっとこれまでも作り手本人にしかわからない、
いろんなきもちがあったんだろうなぁと思います。

わたし自身の心境にも、変化がありました。

「モチーフは限定しなくてもいいんだ、風景画、描いててもいいんだ。何を選んで描いていても、扱っていても自分らしさを大切にすること。自分の持ち味の模索なんだ」
わたしも現在、芸大の大学院に在籍しています。

風景画とは別に、学部生のころからすでに自分の色が決まり、これからはそれを追求してゆく、という段階だったのです。

でも、入学早々に壁にあたります。

息をするように、無心になって機械のようにそれを描く、ということはわたしにはまだまだむつかしいことでした。

勝手に「自分の色はこうだ」と決めつけて、そこからの新たな展開の模索に、身動きが取れなくなってしまっていたのかもしれません。

ちょっと寄り道してこよう。

そんなきもちで志賀郷の風景画を描きはじめたのでした。

旧ふとん縫製工場には、わたしの絵が2枚あります。

1枚は今回の風景画。
そしてもう1枚は春待ちココカラ市で墨で描いたライブペイント。
「墨の作品のほうが、おれはすきやなぁ。風景画は、温度が感じられん。あたたかさが。」
ロビー展最終日、地元のひとにがつん、とひとこと。

美術史も、時代性も、なんの知識や裏打ちもない。
だけどずっとずっとながくこの町の風景を見てきた人の、まっすぐな言葉。
「何描いてても、何しててもええけど、あんたらしさとか、芯は忘れんなぁよ」

そう言われたような気がするのです。
トライ & エラー って本当に大切だな、と。

わたしは普段、ダンサーさんをモデルに絵を描いているのですが、プロの方からこんな話を聞いたことがあります。

「頭と心(心臓)は30センチしか離れてないのに、頭だけで考えちゃうのはもったいないよ頭と心、 そして体全部をつかっていったり来たりを繰り替えして考えて表現するんだよ」

今回のロビー展は、まさに「頭と心、そして体全部」を使って考えた企画展。

頭で考えていても分からない。

やってみて、初めて気が付くことばかりでした。

絵美ちゃんも、そしてわたしも、自分ができることを通してこの町に、そして人に出会い、新たな1歩に気が付けた、踏み出せたのだと、感じています。

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