【地域と共に歩む文化拠点】全国の小劇場の「再開」にご支援を

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2020年06月05日 12:00

全国小劇場ネットワーク会議「はじまり」をふり返る【1】

 

Text:尾上そら

 

しれっと届いた一通のメール。差出人を知ってはいたが、それは私個人に宛てた内容ではなかった。「12月最初の週末に沖縄で開催される催し」についての、主に、舞台芸術に場を提供する人々への案内。だが読み進むうちドラマでよく見るような、関心を強く引かれた人間がする動作、ちょっと腰を浮かせ前のめりになって文面を読む自分がいた。

 

全国小劇場ネットワーク会議」。国内各地の民間劇場、地域演劇を牽引する関係者が、那覇に集結するという。2017年12月1日(金)~3日(日)まで、札幌演劇界の歩みを語る北海道演劇財団・平田修二氏の基調講演から、こまばアゴラ劇場35年の歴史を語る青年団・平田オリザ氏のビデオインタビュー、各地民間小劇場を運営する方々からの地域の事例報告、参加者を数グループに分けて行うグループディスカッション、開催地・沖縄の劇団による公演の観劇などなど、舞台芸術の、どの部分に携わる者でも食指を動かさずにはいられないという充実&豪華なプログラムが並んでいる。

 

当時、月刊演劇誌において国内各地の文化芸術まわりを取材し、発信する小さな連載を持っていた筆者にとっては垂涎の企画、報せれば何某かの記録になると思われたのか(だとしたら光栄だが)。まぁ、まんまと10年以上ぶりに沖縄の地を踏むこととなった。

 

とはいえ報せが届いたのは会議の10日程前で、諸々調整の結果、参加できたのは最もプログラムの多い2日(土)のみ。それでも十分過ぎる気づきと学び、出会いが得られた。

 

実り多き講演、劇場情報、地域事例報告、新たな出会いと対話、議論。でも一番興味深かったのは、この集まりの契機となった、一つの劇団が自前の小劇場を沖縄で誕生させるに至る経緯だ。

 

演劇経験の有無に関わらず、それぞれに生業を持つイイ大人が集まり、スローガン「大人が夢を見、実現できなくちゃ、子どもと夢を語れない」を掲げて2010年に旗揚げした劇団・劇艶(げきしょく)おとな団。公演を重ねるうち、メンバーが「自分たちの劇場をつくろう!」と思い立ち、2015年に「劇場という“公の場”をつくる際には、何か公的助成が受けられるのでは?」と訪ねた先にいたのが、事を動かした男で、今は全国小劇場ネットワーク代表を務める野村政之だ。当時(公財)沖縄県文化振興会(沖縄アーツカウンシル)に在籍していた野村は、おとな団の当山彰一(主宰、演出、俳優)、安和朝彦(団長、俳優)、安和学治(座付作家、俳優。朝彦の弟)らの相談を受け、劇場づくりの第一歩として“国内各地にある民間小劇場の視察”を提案する。

 

沖縄視察隊の平田修二さんへのヒアリング@ことにパトス (2015.8)

 

旅に先駆け、おとな団は朝彦を代表理事とする「一般社団法人おきなわ芸術文化の箱」を同年4月に設立。8月の札幌を皮切りに、一行は青森、仙台、三重、京都、大阪、神戸、鳥取、福岡、長崎などをめぐる小劇場行脚の旅を敢行。面白アツい出会いと対話が満載という旅程は、それだけで何本か作品がつくれそうな、そそる逸話満載という。後に取材した朝彦曰く「各地の劇場・劇団の方々に合うたび、その熱量に僕らのボルテージも上がっていく反面、劇場運営の過酷さも知り、旅先でようやく自分たちの甘さに気づいた」とのことだが。

 

その後2017年夏、おとな団が稽古場として使っていた倉庫を改装した「アトリエ銘苅ベース」をオープン。第一回会議は、この小劇場が世に生まれるため舞台劇場への愛情と情熱という栄養を、惜しみなく分けてくれた全国の協力者へのお披露目と御礼の意味合いもあったのだ。

 

劇艶おとな団『9人の迷える沖縄人』 @アトリエ銘苅ベース ※開演前
作:安和学治・国吉誠一郎 演出:当山彰一 (2017.12.2)

 

銘苅ベースは初日プログラムの会場に加え、二日目はおとな団がオリジナル作品『9人の迷える沖縄人(ウチナーンチュ)』を上演し、その劇場っぷりを披露。今作は、最初の視察地の「札幌演劇シーズン」(夏と冬に一カ月ずつ、毎日札幌の小劇場でなんらかの作品が上演され観劇できる企画)で観た、イレブンナイン『十二人の怒れる男』にインスパイアされ、2カ月かからずに学治が書き上げたオリジナル作だという。1972年の沖縄で、間近に控えた本土復帰をめぐり、陪審員さながら様々な市民が議論を交わす会議と、その様を芝居にする現代の劇団の稽古をメタ構造で描く本作は、間違いなくこの土地でしか紡げない生々しいドラマ。深みと苦み、それらを俯瞰するユーモアがまぶされた胸を突く芝居で、観劇後も長く頭の中を様々な思考が止まず、めぐった。

 

終演後は劇団員、観客の区別なく舞台装置をバラし、劇場の仕様を変えて宴会席を設け、大交流会を開催。全国15都市から集まった参加者らが、地域も世代も経歴も関係なく行き交い、それぞれの想いと「夢」を声高に語り合う様の豊かさと言ったら! それまでの自分にとって、各地の民間小劇場は行く先々の地域を照らす小さな灯台のようなもので、その灯を繋ぐようにたどっていくことで、自分なりの「形」を発見し、それを言葉にして伝えるのが生業だと考えていた。だがその日の光景は、個々に独立した灯台を繋ぎ合う細くも確かな糸があることを示し、ただの点だったそれぞれの灯が星座の、あるいは星雲のごとき巨大な像を結ぶ可能性があるのだ、と気づかせてくれたのだ。と、酔いに頭が曇る前に思ったのか、二日酔いの倦怠の中で悟ったのかは、もはや記憶に定かではないのだが……。

 

 

一日だけの沖縄取材旅には、実は少し後日譚がある。劇艶おとな団は朝彦らの視察先であり、その後ワークショップなどで代表・畑澤聖悟が沖縄へも足を運び、会議への参加者でもあった青森・渡辺源四郎商店との合同公演『ハイサイせば』(太平洋戦争末期、うちなーぐち=琉球語と津軽弁を暗号に使うという軍事作戦に召集された人々の物語)で翌2018年1,2月に沖縄、東京、青森の三都市ツアーを敢行。その東京公演時に野村と朝彦の対談を依頼し、改めて事の全貌を聞かせてもらったのだ。

 

その時、野村は会議を発端に国内の舞台芸術シーンに起こしたいと考える「流れ」を、当時は2年後に控えていた2020年夏の東京オリンピックを引き合いに「スルー2020」と位置づけて語った。「あらゆることの照準が五輪に合わされ、その後のことが考えられていない現状に、2020年の先に貫ける基盤を沖縄から立ち上げる。キーワードは“自治”。これが2020年代の演劇界、文化的環境の基準になることもあり得ると思っています」とは、この対談での野村の言葉だ。

 

この国の未来を見通すための視座、その基盤が地域から築かれることの意義と豊かさに気づかされた瞬間の高揚、取材の中で感じていたことを肯定された感激を、私は多分、一生忘れないだろう。

 

けれどその後、当時の展望は全く異なる、予期せぬ状況の中で枝葉を伸ばすことになる。が、それはまた、別の機会に。

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