今日は顔料や絵具に関するご質問がありましたので、少し説明します。


本来の伝統的な顔料は自然界のものから作られます。
その顔料から作られた絵具は同じ色でも作られた国やメーカー…各時代や使う画家によっても変化し様々なニュアンスを持ちます。

 

例えば青でも北斎の浮世絵などに使われている青など濃厚でありながら美しい日本的な情緒を感じさせます。琳派の頃の屏風絵などに使われた緑青や…金泥…胡粉や墨なども素晴らしい伝統ある色だと思います。


一方で西洋絵画ではモネやルノアール…ピカソやマティスやボナールなど様々な巨匠たちが美しい色彩の名作を残しました。とりわけ印象派の活躍した頃に開発されたチューブ入り油絵具は画期的でした。絵の具箱に入れて屋外に持ち出して描くことも出来ますし今でも使われているように大変便利です。

 

画家による様々な試みや絵具職人の研究により絵具などの画材もバリエーション豊富になりました。ちょうど楽器とそれを奏でる演奏者のように画材と絵画表現には密接な関係があるように思います。

 

フランス製の絵具を見たいとのご要望に少しお応えします。

一枚目の写真の仏製油絵具は少し古いタイプの絵具です。

これらの絵具は現在は仏国でも販売終了して新タイプに変わりました。

 

そうしてみると一期一会のヴィンテージとも思えます。

しかしながら古い楽器を奏でるように芳醇な色彩を奏でることは間違いありません。

 

2枚目の写真はお気に入りの顔料を3品です。

ルージュ・オングレはモンパルナス付近の画材屋さんで売っていたり売ってなかったりするのですが、これもその年で少し色合いも違ったり手作りの味わいで面白いです。真ん中は最近お気に入りの色です。とても洗練された雰囲気を感じる美しい赤です。そして、右は、コバルト・グリーンですが珍しいですしとても高価な顔料と言えます。写真ではどうしても伝わらない格調高さや深みがあり素晴らしいコバルト・グリーンです。

 

3枚目は 宝物にしているオーレオリンです。

たまたまその年の画材屋さんに置いてあったものです。とても美しい色であり貴重です。この色の顔料は日本では僕ぐらいしか持ってないかもしれません。

 

一つ一つの顔料にはこのように魅力や個性があります。

 

ピカソやモジリアーニなどの巨匠がこれらの色彩を愛したのも実際手にすると解ります。

 

これは、ほんの一例です。それではでまた、後述します。

 

 

 

vintage

 

 

 

 

追記    

 

ベルギーの名門 ブロックス社製 BLOCKX の絵具も近年、輸入代理店の取扱閉鎖に伴い日本でお取り扱いする画材屋がかなり減少した状況です。そのため絵具を画材屋で手にとって見て手軽に購入する事が困難なっている現状があります。

 

ちなみに私もBLOCKXの愛用者ですが、この絵具の素晴らしさ知っているだけにブロックスが日本で入手しづらい現状を大変惜しく受け止めています。

 

日本のこれからを担う未来の画家や絵を愛する人たちは、この絵具の魅力を知らない事になってしまう事も懸念事項です…

 

この絵具はルーブル美術館などで絵画修復などにも用いられるとの事です。

丹念な練り方でオーソドックスな製法から上質な顔料で濃厚な色彩です。

それだけ信頼されているということの証でもあります。

 

私は特にブロックス独特の茶色系等などがとても好きです。

ベルギーの風土で育まれた色彩を内包しており、あの古都ブルージュの街を歩いた時に見た家々のレンガ色や瑞々しい川のせせらぎなどを思い出します。

 

6月8日 

 

↓ ベルギーの古都ブルージュにて 2013年撮影

 

写真中央のコバルト・ブルー・ディープです。とても深みある青です.

ベルギーで育まれたブロックスは大変優れた色彩で素晴らしい絵具だと思います。

 

 

 

 

これはブロックスのウルトラマリンです。したがって本当のラピスラズリで練った絵具である可能性かなり濃厚ですね…フェルメールも愛したラピスラズリです…

 

 

尊敬する岡 鹿之助 曰く油絵の具は「生き物」との事です。

心を反映するものであると言うことです。

 

そうして考えてみると色は侮れないです…色を深く理解し大切にすれば心も豊かになるでしょう。

 

よき人 よき色 よき心 です。

 

美しい色を発見して皆様とその価値を共有できれば本当に素晴らしい事だと思います。色を大切に思う皆様のご支援ご協力を心より願います。

 

 衛藤 壮市 

 

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