膵臓がん早期発見へ、診断内容をAIソフト化する為の画像を作成したい

私たちは　「小さな病変も見逃さない」ことを心がけて　画像診断を行っています。

これを実現するためには、様々な工夫と準備＝診断環境を整えることが必要です。
診断環境＝どんな画像で診断を行うかは、AIソフトウェアを開発する上でも大変重要なファクターになります。以後4回にわたり、どんな画像を準備して診断を行うか、それを主治医の先生にどのようにお届けするか、当院の取り組みをご紹介いたします。

１．MRI/CT画像とレントゲンの違い

（１）断面の相違

画像診断と言えば皆さんがすぐに思い浮かぶ画像はレントゲン写真だと思います。
レントゲン写真は、撮影時に決めた体の断面が透しのような形で画像化されています。
当院で行っている　MRI/CT　検査は、体の断面を3次元的に様々な方向から断面を作り出せて、病変を正しく捉える精度を向上させることが可能です。

（MRI/CTで見ることが出来る基本的な断面）

オブリーク＝斜めの画像も病変によっては有用な見方になります。

（２）画像枚数
レントゲンは1枚だけの写真ですが、MRI/CTは断面ごとに複数の画像を撮影することが出来ます。この枚数を何枚撮影するかは撮影範囲とスライス厚で決定します（10㎝の範囲をスライス厚1㎝で設定すると撮影枚数は10枚、0.5㎝で撮影すると撮影枚数は20枚になります）。
スライス厚を厚い値で設定すれば、逆に小さい病変が断面と断面の間に入ってしまい、検出できなかったり、病気の画像がぼやけてしまい見逃されたりします。
スライス厚を薄い値で設定するとより小さい病変も見逃さないことにつながるのですが、薄く撮影をすることで画質が悪くなって行きますので、それに耐えられるハイスペックな機器が要求されます。

２．画像検査を実施する上でのコンフリクト

（１）撮影枚数を増やしたり、見る角度を増やすことのメリット
「小さな病変も見逃さない」ためには　薄いスライス厚による多くの画像を見たり、病巣部分に最適な見やすい角度からの画像も見比べながら画像診断を行なうことは大変重要です。当院ではこの手間を惜しまないでスライス厚を薄くし、見なければならない様々な角度の画像も撮影（CTの場合には再構成）しています。
（２）撮影枚数を増やしたり、見る角度を増やすことのデメリット
画像をつくる断面の種類　と　スライス厚　を薄くすることは、画像診断を行う際に結果として、見る画像枚数が大変多くなる＝画像診断を行う際にかかる時間が多くなることになります。
また、病院によっては画像を保管するコストも上昇する為、アキシャルだけしか撮影しない等、制限を設けている病院もあります。

この点、診断を行う際の一般ルールとして、スライス厚は薄く、多断面を必ず評価しなければならないという決まりはないため、検査を行う施設においての裁量に任されているのが現状です。
しかし、当院では、前述の通り、「小さな病変も見逃さない」ためには　この手間暇を惜しんではならないと考えています。

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