産科医である私にとって、18トリソミーの子どもさんはとても切ない存在でした。今までにおそらく100名以上の18トリソミーの子どもさんと出会ってきました。つまりそれと同じ数のご家族にも出会ってきたことになります。以前はこの子どもたちは医療の対象となっていませんでした。小児科では受け入れてもらえず、産まれてから亡くなるまで私たちが対応してきました。長良医療センターに産科を立ち上げた当初も、まったく同じ状況でした。その後、一緒に働く助産師たちも対応に参加してくれるようになり、今では新生児科も加わって初期蘇生を行った上で、赤ちゃんの状況を見ながら対応を考えていくadvanced care planと呼ばれる状態ができあがりました。

 

 診断を告げられた両親はとてもつらい思いをします。でも出産までの時間を私たちと一緒に過ごすうちに、少しずつ18トリソミーを受け入れてくださるようになっていきます。帝王切開での出産も増えていきました。最初は帝王切開には消極的だった私も、なんとか生きているこの子に会いたい、という切なる願いを聞いていくうちに、積極的に考えるようになっていきました。結果として、年単位で生きてくれる赤ちゃんが増えてきたのです。両親を見ていると、人工呼吸器をはじめ日々行う医療的なケアは本当に大変です。でも自分たちは不幸だ、とおっしゃる両親には会ったことがありません。みんな18トリソミーで産まれた家族を一生懸命守っています。

 

 2015年に長良医療センターでも写真展を開催しました。場所は病院の玄関ホールと廊下です。大勢の皆さんが足を止めて写真を見てくださいました。どの写真もみんな明るい家族の写真です。なによりも本当に可愛い。こんな子どもたちの写真集が出版されるのは素晴らしいことです。これでさらに大勢の皆さんに18トリソミーを知ってもらえます。私も全力で応援します。

 

松波総合病院 産婦人科周産期医療対策室長

川鰭市郎

 

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