皆様 こんにちは。稲場雅紀です。皆様の支援のおかげで、本案件は無事成立し、合計151万8000円をいただくことになりました。本当にありがとうございました。おかげさまで、私を含め「市民ネットワーク for TICAD」としてTICAD VIに参加することができ、本会議の分科会での発言や提言、また、サイドイベントなども無事に開催することができました。

 

以下、アフリカ・日本の市民社会がまとめた、TICAD VIの評価に関する共同声明です。若干、辛口の部分も多いのですが、これは偽らざる心境というところです。「市民社会が指摘しなければ、誰も指摘しない」という論点は多くあります。よりよいTICAD、よりよいアフリカ・日本の関係を目指すために、指摘すべきところは指摘する、というのが、市民社会の役割だと任じて取り組んでおりますので、その点勘案しつつ読んでいただければ幸いです。また、ご質問などありましたら、御気軽に私宛てにお送りください。(稲場雅紀:masaki.inaba@gmail.com)

 

TICAD VIに関する共同声明

 

アフリカおよび日本の市民社会

ケニア共和国ナイロビ

2016年8月28日

前文

 

私たちアフリカと日本の市民社会は、日本がTICADプロセスを通じてアフリカのインフラ改善や社会経済・能力開発に果たしてきた役割に深く感謝します。TICADプロセス開始以降、アフリカは日本から470億ドルの直接投資を受けてきました。私たちは、TICAD VIに向けたプロセスにおいて、私たちが自らの生きた経験や知識をもって宣言の起草プロセスに参加できたことを歓迎します。私たちはTICAD VIによって日本の民間セクターが活性化し、その知識や技術的専門性、産業能力を示したことに感謝します。

 

また、TICADは保健をプロセスの心臓部に置きました。私たちは「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」(UHC)が、質の高い保健サービスへの公平なアクセスを保障し、健康保険や税ベースの保健医療保障などの方法を通じて、高額な医療費支出へのクッションを提供する概念として提唱されたことを歓迎します。私たちは世界銀行と世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)がUHCのアフリカに置ける実施に240億ドルを投資すると表明したことを歓迎し、また、UHCのリーダーシップをとるとした日本の表明にも感謝します。私たちはまた、ケニア政府がグローバルファンドの増資に際して500億ドルを拠出するとしたことに拍手を送ります。私たちは、「社会的安定」がTICADプロセスの優先領域となったことについても認知します。これは持続可能な平和と開発の保障となるからです。

 

しかしながら、私たちはTICADの実施、モニタリング、評価のプロセスへの市民社会の参画の在り方について懸念を表さざるを得ません。私たちは、以下のことについて指摘いたします。

 

1.産業化

 

いまこそ、アフリカは自ら直面するインフラや産業化の課題に正しく取り組む必要があります。アフリカは、どんな種類の経済的パートナーシップや互恵関係に参加していくかを決定する枠組みを有しているかどうか、自らに問わねばなりません。また、それらは「経済連携協定」等の形で明確に定義されなければなりません。

 

私たちは、安倍総理が表明した、3年間で5万人に職業訓練を提供するとか、千万人の人材育成を実施するといったイニシアティブに感謝する一方、そのイニシアティブがどのように実行に移されるのかについて述べられていないことにも気づいています。市民社会は、安倍総理が演説の中で、ジェンダーや女性についてまったく述べなかったこと、日本の民間セクターの発言者がすべて男性であったことに愕然としました。現在、アフリカの人々の食を保障しているのは小規模農民ですが、総理はそれについて述べませんでした。私たちは、TICAD VIの下で行われるであろう巨額の農業投資が、土地収奪といった形で小規模農民の土地を奪ったりすることがないように願っています。TICAD VIにおいて、日本とアフリカの市民社会組織はTICAD共催団体と良好な関係を発展させましたが、総理は市民社会についても言及しませんでした。

 

安倍晋三総理は、「質の高いアフリカ」について熱弁をふるいました。その「質」が、総理が一言も口にしなかった「人権」を脅かすことがないことを願います。栄養や「カイゼン」等々について、私たちはその援助に感謝しますが、私たち市民社会組織は、このような、アフリカ以外のところで作られた物事が、アフリカに持ち込まれる際に、アフリカの環境や文化にとって適切な形で適用されることを願います。総理は、周縁化された人々のTICAD VIの枠組みへの参画をどのように保障するか、日本が「誰も取り残さない」というSDGsの精神をどのように実現するか、ということについては口を閉ざしたままでした。

 

私たちはMDGsの教訓に照らし、TICAD共催者たちが、TICAD VIの実施メカニズムをなるべく各国別のSDGsプログラムに調和化させることを希望します。各国の市民社会組織を国レベルの実施プランに参加させることが不可欠であり、また、TICADへの政策提言に取り組むアフリカと日本の市民社会のネットワーク「アフリカ市民協議会」(Civic Commission for Africa: CCfA)と「市民ネットワーク for TICAD」(Afri-Can)がTICAD VI実施プランのモニタリングおよび評価を担えるようにしなければなりません。

 

2.強くしなやかで持続可能な保健システム

 

私たちは市民社会として、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を効果的に実践するために、人間の行動やコミュニケーション、例えば治療リテラシーやアドヒアランス(治療への主体的呼応)、差別やスティグマの課題、排除されがちな人口グループの包摂といった、社会的な要素を積極的にその対象として位置づけることを求めます。

 

アフリカの市民の健康に第一義的に責任を負うのはアフリカ各国の政府ですが、UHCの効果的な実施のためには、アフリカの保健状況の改善のための国際的な連帯と投資が不可欠です。アフリカ各国政府は、最低限、国家予算の15%を保健医療に投資するという「アブジャ宣言」の達成に向け、保健予算を増額しなければなりません。また、プライマリー・ヘルス・ケアやコミュニティの保健への取り組みをサポートする仕組みを作ることに資金を振り向けることが必要です。

 

もしTICADが、生活の質の向上のための強くしなやかな保健システムの構築を目指すなら、TICADは安全な水へのアクセスや衛生への取り組みの向上を焦点化しなければなりません。特に、保健施設に置ける安全な水へのアクセスの保障は重要です。アフリカにおいては、保健施設の42%において安全な水へのアクセスがないのです。

 

3.社会の安定

 

安定と持続可能な平和の実現を保証するために、TICADプロセスでは以下の3つのレベルで行動すべきです。まず、社会・経済のレベルにおいては、TICADは周縁化や排除と闘い、社会的な公正の実現に取り組むべきです。特に失業(特に若者における失業)と闘う必要があります。また、その中で、特に女性、ユース、身体に障害を持つ人々の個別性に配慮すべきです。

 

政治のレベルにおいては、TICADは法の支配を促進し、強力な法執行機関の確立、自由で透明で信頼のおける選挙の実施、人権と自由の尊重、グッド・ガバナンスの確立、腐敗やその放置への取り組みを促進する必要があります。また、意思決定プロセスに女性や若者を参画させる必要があります。

 

文化のレベルにおいては、TICADプロセスは教育システムの改革を促進し、市民意識の確立と寛容性を促進するプログラムの導入に取り組む必要があります。また、芸術、文化、スポーツ、余暇活用を促進する必要があります。

 

TICADプロセスにおいては、市民社会が対等なパートナーとして、コンセプトの形成、実施、モニタリングのすべてのプロセスに参画することが不可欠です。

 

以上

 

連絡先

アフリカ市民協議会(Civic Commission for Africa)議長 マウンゴ・ムーキ mtnyams@gmail.com

市民ネットワーク for TICAD 世話人・事務局 稲場雅紀 masaki.inaba@gmail.com

 

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