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隙団SHISOHCAのカフェ「WANDERWALL」のオープン

野口裕一郎

野口裕一郎

隙団SHISOHCAのカフェ「WANDERWALL」のオープン
このクラウドファンディングは達成しませんでした。支援予約はすべてキャンセルとなります。銀行振込みにより支援を行った方には、当社より返金が行われます。

支援総額

800

目標金額 1,160,000円

支援者
1人
募集終了日
2021年6月14日
募集は終了しました
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プロジェクト本文

名刺裏

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▼自己紹介

 

皆様はじめまして。このたびは、隙団(ゲキダン)SHISOHCA(シソーカ)による実験的カフェWANDERWALL(ワンダーウォール)のプロジェクトページをご覧くださって、誠にありがとうございます。私は隙団SHISOHCA代表のyouri nichicough、本名を口裕一郎と申します。▼インスタグラムのプロフィールへ

 

タイトルをご覧になって、隙団SHISOHCAってどう読むんだ?と首をひねった方も少なくないかと思います。上述の通り、隙団SHISOHCAはゲキダンシソーカと読みます。隙団SHISOHCAは私が主催する団体です。またそれ自体が一つの理念でもあります。SHISOHCAがどのようなものなのかは後述するとして(▼隙団SHISOHCAについて)、WANDERWALLとはその隙団SHISOHCAによって運営されるカフェとなります。

 こちらのページの最後に私がSHISOHCAを結成するまでのことをお話させていただいています。やや長い話になりますが、私の思いの丈をすべてぶつけております。お時間の許す限り、最後までご覧くだされば幸甚です。

 

 

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▼目次

 

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WANDERWALLロゴ

 

 

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▼プロジェクトの内容(WANDERWALLのコンセプト)

 

WANDERWALLという名前は、私がある種のカフェを開きたいと考えるようになった時の心の動きから取っています。それは、上のWANDERWALLのショップカードにもあるように、

Wandering there, against a Wall, then found ------------------ .

というものです。自分が今どこにいるのか、暗いのか明るのかも、どこに向かっているのかも分からないどこかをふらふらと彷徨っていて、大きくて立派な、けれど威圧的ではなくて静かにそこにあるような風の、たぶん分厚い壁のようなもののもとに逢着し、途方に暮れてじいっと上を見上げていたら、そこで初めて本当になにかを見ることができた気がした。そういう経験がもとになっています。私の場合はそれは「花」で、WANDERWALLのもとで何を見つけるのかは人それぞれだとは思いますが。

 美しい「花」がある、「花」の美しさといふ様なものはない。 

(新潮社から昭和53年12月25日発行 編集:大岡昇平、中村光夫、江藤淳 新訂小林秀雄全集第八巻「無常といふこと・モオツァルト」p.15「當麻」より)

 

 

そんなふうに名付けられたカフェWANDERWALLを、私は、次のような場所にしたいと考えています。

  • ふと、目的をもって歩くことに疲れて、道端に座り込んでしまいたいような気持ちになったときに、足と気持ちがが自然に向かうような場所。
  •  新型コロナウイルスの拡大によって大きく変化した社会の構造の中で、モノと人間の身体や皮膚感覚の関わり方の一つの基準点になるような場所。
  •  それぞれにとってのそれぞれの場所を、迷いながら、悩みながら歩く人たちにとってのターミナルであり交差点。

 

 人生が、極めて微妙で細かい日常的造作の歴史であり、人間の所作とはその人がどのようなモノと共に在るかで決まってくのだとすれば、どんなモノを使い、身にまとい、共に時間を過ごしていくかを決めるということは、一つの人生を選ぶことだと言えるでしょう。WANDERWALLが実現したい最も重要なことは、貴方が共に人生を積み重ねてきた、或いはこれから積み重ねていくだろうモノたちと向き合う時間と空間を提供することです。WANDERWALLは、そういう時間を過ごすことにそっと手をお貸しする場所です。

 

 デザイナーやブランドの名前、内訳の分からない値段、統計的人間を作るためのデータ、流行、人を煙に巻く理論、よくわからないものを有難がるための芸術的墓場。モノにはいろんな”意味”や”価値”がベタベタと貼り付けられています。モノだけではありません。それは私達自身も同様です。本当だという肌感覚を得られないまま、どこかの誰かが垂れ流す洪水的な”意味”や”価値”や”目的”に押し流され、次第に流れに乗ることを覚え、いつからか流れに乗っていれば上手くやれると知り、それでもわずかに残った体力でかろうじて抵抗してみる。全然スマートではないし、なんの役に立つわけでもないし、まして抵抗することがなにか高尚なことで、抵抗する人間が特別で偉いなどと思い上がるわけでもない。起きて、食事をして、仕事をして眠る、普通の生活の中の振る舞いに、嘘を付きたくない人たち。Wandering there, against a Wall とは、そういう人が流され漂着するみたいにたどり着く場所です。

 

 WANDERWALLはそういう場所で、静かに、開かれた場所でありたい。興味がなければ通り過ぎればいい。定住したいというのは少し難しいかもしれないけど、また来たければ、また来ればいい。ゆっくり休んで、もう一度流れの中に飛び込んでみようという力が湧いてきたならばそうすればいい。たまたま交わった道は、たまたま別れていくのがいい。その意味でWANDERWALLは一種の終点なのです。

 

 WANDERWALLでは、モノを見て、モノを味わい、モノを香り、モノを聞き、モノを感じる。そうやって全身の感覚で、モノの見せる微妙な表情や振る舞いを真摯に見つめることで、剥き出しのモノの姿に到達して、そうやってモノのほうが剥き出しになってくると、まるで地元の祖父母と話している時に少しずつ方言が出てくるみたいに、今度は私達自身も剥き出しにならざるを得ません。

 モノを感じるということを通して、私達は自分の生活を、なんということのない過去を、あるいはこれから出会うだろうモノや人たちとの未来を”思い出す”ことができます。軽薄な”意味”や”価値”や”目的”を放り出して、理解や解釈などでは断じて動じない、そんなものでは近づくこともできない、ありありと其処に在るモノ、それらと過ごす人生を上手に”思い出す”こと。そうやって”思い出す”ことで私達はもう一度力を得て、歩きだすことができる。そういう意味でWANDERWALLはまた始点でもあるのです。それがWANDERWALLをターミナルと呼んでみる所以です。

 

 

 WANDERWALLはゲストにコーヒーやお菓子も提供する業態から便宜的にカフェと呼ばれますが、ここまで読まれた方は、もうすでにWANDERWALLを特徴づけるのにカフェという言葉は当たらないということに気が付いているでしょう。WANDERWALLで主役となるのは、ゲストの方々が、何と共にどのように時間を過ごすかということであり、軽飲食の提供は、それに手を添えるための補助的な手段の一つでしかありません。

 

 

それでは、WANDERWALLの具体的なサービスについてお話致します。

 WANDERWALLのゲストは、なにかを其処に持ち込みます。それはお気に入りの靴でもいいし、むかし好きだったカセットテープでもいいし、仕事で使う商売道具でもいいし、今日思い切って買った新しい服や生活用品や本なんかでも良いですね。あるいはWANDERWALLには私やSHISOHCAのメンバーが制作したり選んだりしたものが少しだけ置いてありますので、全くの手ぶらでも構いません。WANDERWALLではそれらと共に良い時間を過ごすための空間と媒体を提供します。

 

 

このように、自宅や他の場所ではなかなか手が出にくいメディアを用意してお待ちしております。今では再生できなくなってしまった音楽を聴いたり、長く使い込んできた仕事の相棒を丁寧に手入れしたりすることを通して、モノと向き合うという思想を実践に移してしていきます。

 

 また、季節や天気、もし伺うことができればゲストの好みや希望、体調、来店のコンテキストに応じて豆の種類や抽出方法、合わせるお菓子などを丁寧に考えて提供致します。コーヒーの提供はコーヒーサーバーとマグカップで。もしかしたら、お気に入りのマグカップをお持ちになるゲストもいらっしゃるかもしれませんし。それにこれはまだアイデアの段階ですが、コーヒーの価格は、200円から800円まででゲストにお任せしようと考えています。販売管理は、レシートなどのそれに付随するものも含めて普通のPOSシステムではなく、書籍販売におけるスリップのような形でゲストに固有の情報(決して個人情報ではなく、どんなゲストがどんなことをしてどんな時間を過ごしていったかというログ)を蓄積し、それをなんらかの形で公表したり運営に還元してゆけたらと考えています。重要なのは、人間の残す統計的数字ではなく、その人が其処にいて、こういう風に過ごしていたという”思い出”なのですから。

 

 以上のように、WANDERWALLでは提供するサービスから運営の方法の細部に至るまで、美しい「花」の思想を張り巡らせていきます。しかしそれは、ゲストに息苦しさを感じさせるようなものではあってはならず、押し付けがましいものであってもいけません。「花」は、静かに私達のまえに咲いているだけです。この均衡を保ち、心地よい空間を提供するための変化と工夫を絶えず続けていくつもりです。

 

 

 さらにWANDERWALLは、SHISOHCAの拠点という役割も担っています。WANDERWALLのスタッフは基本的に私一人ですが、たとえばお店の運営を手伝ってもらうことを条件として、WANDERWALLの店内の一部をSHISOHCAのメンバーの研究・制作・創作、あるいは作品の発表の拠点として開放するということを考えています。

 現在SHISOHCAのメンバーは私一人ですが、WANDERWALLを拠点とした様々な活動を考えています。以下にほんの数例をあげます。

  •  イラストやグラフィックや写真によるインスタレーション 
  • 無償で公開されている、物理や数学についての国内外の優れた小論やまとめを翻訳・再編し再公開する
  • ハンドドリップでコーヒーを入れる場合のパラメータの研究
  • 数学、物理、計算機科学の各立場から見た線形代数学の理解と応用についてのまとめと発表
  • 街歩きのさなかにふらりと立ち寄った人に対してお水と少しのお菓子と席を提供する
  • 学生や社会人がチームとなってゼミを開いたり研究したり制作活動をしたりする場所の提供

 

***

 

 

▼プロジェクトの詳細(運営の計画と将来の展望)

 

大雑把な見積もりですが、WANDERWALLの営業が軌道に乗った状態は次の表ようなイメージでいます。基本的にWANDERWALLのスタッフは私一人でスタートする予定です。もちろん営業計画は一人で十分回せるようなスケールで構成してありますが、このクラウドファウンディングや営業を通してSHISOHCAやWANDERWALLのことを知ってもらうことができればその思想に共鳴してくださる方々は必ずいらっしゃると信じていますので、営業の様子に応じてスタッフを増やすこともあると考えています。また、この見積もりはあくまでカフェ営業のみの見積もりであり、これに加えてイベントや物販による収入も加算される予定です。

 また、開業からしばらくは年末年始以外は無休で営業していきたいと考えています。容易なことではないでしょうが、まずはWANDERWALLという場所のことを多くの人に知ってもらう機会を少しでも増やすことが重要だと考えています。せっかく入ってみようと思ったのにお休みだった、ということほど残念なことはないですからね(笑)。

 

 

 

ここREADYFORで皆様からの支援を募るのには、開業のための資金の一部を集めると同時に、私のビジョンを支持してくださる方がどれほどいるのかということを確かめる、隙団SHISOHCAとWANDERWALLの試金石とする目的もあります。多くの支援や仲間が集まれば集まるほど、皆様の助力を得て金銭面のみならずビジョンまでもがより強靭なものになり、私の背中を押してくれます。ぜひ、応援をよろしくおねがいします。

 

 

また、WANDERWALLの場所を代官山としているのにはきちんと理由があります。代官山を中心として中目黒、渋谷、表参道といった地域は、年齢層や社会的身分に違いはあれど、モノに対して強くこだわりをもち、良いモノを提供し、また良いモノを手に入れ良いモノを大切に使うという文化が息づいている街だと理解しています。

 代官山はそうした街々の緩やかな連続の中心、閑静な立地にあり、街を歩いて五感で楽しむという”アソビ”のターミナルに非常に適した土地として特徴づけられます。そうした場所に開かれることでWANDERWALLに、街の"wander"の拠点および生活とモノの選択の基準点という性格をも持たせることができるでしょう。

「一着の服を選ぶってことは1つの生活を選ぶってことだぞ」

(https://wwdjapan.com/articles/307602「23歳の記者から山本耀司へ37の質問」より抜粋)

 

 

WANDERWALLは、SHISOHCAの拠点となる場所でもあります。WANDERWALLが受け入れられ、成長したならば、東京に限らない別の街にも、SHISOHCAの活動拠点としてその街に適したコンセプトのフィールドを作っていきたいと考えています。

 

 

***

 

 

最後になりますが、ここまで読んでくださった方々、ご支援くださった方々に深い感謝を申し上げます。WANDERWALLは、そして隙団SHISOHCAの思想と実践は、人間の精神活動や感覚の文化における人間の振る舞いの基準点を現示していく拠点になると信じています。どうぞこれからも、応援よろしくお願いいたします。また、一緒にSHISOHCAを育ててゆける人が一人でもお声がけくだされば幸いです。

 

 

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▼注意

  • オープンは2022年9月1日を予定しています。
  • 新型コロナウイルスの影響により開業が遅延する場合があります。遅延が決定した場合はご支援いただいた皆様にメールにてその旨をご連絡したのち、後日延期した場合の開業日を改めてリターンのメールと共にお送りさせていただきます。
  • 新型コロナウイルスの影響により開業を中止せざるを得ない場合は、ご支援いただいた資金をSHISOHCAの活動の資金とします。詳細は未定ですが、地方を舞台とした高校生の学び支援イベントを開催予定です。
  • 本クラウドファンディングで実施するプロジェクトでは、履行のために食品衛生責任者の資格と保健所による飲食店営業許可の取得が必要となります。現在、既に資格および認可の手続きを進めており、本プロジェクト実施である2022年9月1日までには、両者取得の見込みが立っております。(2021年4月21日現在)
  •  SHISOHCAは常に開かれています。金銭的支援はできないけれどもSHISOHCAやWANDERWALLの活動に興味のある方、理念に共感してくださった方、一緒に活動していきたいと思ってくださった方は、ぜひ私のインスタグラムのDMまたはメールからご連絡ください。
            instagram :      https://www.instagram.com/youri_nichicough/ 
            e-mail         :      exp.noymann@gmail.com 
     

***

 

 

▼隙団SHISOHCAについて

 

私は大学で4年間、物理学を専攻してきました。物理学を志したのは中学生のときで、ある一般向け科学雑誌でアインシュタインの相対性理論特集を読んだことがきっかけでした。当時の私にとっては、空間や時間が伸びたり縮んだり曲がったりするというのはほとんど空想上の話であって、それを数学という極めて厳密な言語を駆使しながら客観的科学的事実として他者と共有し取り扱うことができるというのは夢のような、あるいは目の醒めるような話でした。

 

 当時私は、誰しもが通る道であるところの思春期特有のあの存在論的苦悩を(おおっぴらに公表したりはしませんでしたが)内に抱えており、なぜ私はこの(基本的には苦しみに溢れてままならない地獄のような様相を呈する)世界に存在していて、存在し続けなくてはならず、またこの先も人生が続いていくのだとしたら自分はどのように生きるべきなのかという問を反復する日々を送っていました。そんな私にとって、自分が内包されまた内包するところの”この世界”についての、時間や空間その他抽象的な事柄についてできる限り厳密に語ることのできる物理学は、実存や人生に対する懐疑から私を救ってくれるような、まさに蜘蛛の糸のようなものに思われたのです。そのようにして私は大学に入って物理学を学び、現在に至ります。

 

 

 この4年間、多くのことを楽しみながら学ぶことができました。その簡潔明瞭な基本法則から驚くほど多様な現象が説明されるMaxwell電磁気学の美しさやマクロな系の熱的普遍的性質を明らかにする熱力学の体系の壮麗さに感じ入ったり、力学はニュートン力学からはじまり解析力学の形式から第一量子化を経て量子力学が構成され、多体系を経由して第二量子化に到達するに至って、量子の世界ではバラバラに引き裂かれてしまったように思われた電磁気学と熱力学と力学が統計性によって再び密接に隣り合うようになるプロセスに驚嘆させられたり。そういう4年間を通して、物理としてまだまだ学び足りない領域もたくさんありますが、物理学という学問がどういう基礎の上に成り立ち、物理学的主張とはどのようなものなのかそれ自体の性質を理解することができてきたように思っています。端的にいえば、物理学とは人間が分節化し説明できる部分だけをこの世界から取り出して加工・改変・編成した、いわば人間向けのテーマパークに過ぎず、いまこの私が存在していると肌で感じるこの世界の、息の詰まるようなのっぴきならない様相に対しては全くの無力であるということが脳裏に焼き付いたということです。

 

(ここをご覧くださっている皆様に関しては心配の用はないかと思いますが、万が一のために注意を記しておきます。ここで私は、決して物理学や物理学に携わっている人を貶めようという意図をもっているわけではありません。世界中のテーマパークや庭園、もっと言えば建築物が極めて大きな文化的・商業的価値をを持って社会に流通しているのを見ればわかるように、人間の人間による人間のための箱庭にそれ自体固有の価値があることは明らかです。物理学という学問の完成度の高さや体系の類を見ない壮麗さは、人類が積み重ねてきた財産のうちでも最も美しいものの一つだと思っています。上で私が述べたいのは、たとえば思春期の存在論的不安のようなものに対しての箱庭の無力ということです。)  

 

 

 その一方で私は読書と音楽鑑賞と珈琲と街歩きを趣味とし、その過程で多くの”思想家”から影響を受けてきました。その”思想家”は小説家であったり、デザイナーであったり、写真家であったり、哲学家であったり、音楽家であったり、或いはブティックのスタッフであったりしました。

 

 

 大学での4年間はまた、私の内的精神にも大きな影響を与えました。物理学を学ぶことはとても楽しい時間でしたが、それと同時に、物理学を専門とする自分の「上限」のようなものをはっきりと思い知らされる時間でもありました。  

 

 

\  自分が他の誰かよりも優れていて役に立つと証明しつづける作業に疲れた。\  勝ち負けじゃないなんて嘘だ。\  自分が誰かより上だと確認して、次の瞬間には別の誰かより下だと確認する。 \謙虚なふりして、なにもかも分かっているつもりの無自覚な神様気取り。\ どこにいっても、いつになっても、どこまでいっても僕は”半端”にしかなれない。

 

 

これは憶測でしかありませんが、たとえば数理科学という分野の厳密さが私のあまりに過剰な自意識に拍車をかけたというのもありましょう。いつからか、黒くて重い水に濡れた着物を引きずっているような感覚から逃れられなくなってしまいました。

 

 体のパーツを組み立てる順番を間違えてしまったみたいな違和感で優しくなりたいと願っているのに、人と接するたびに臆病な劣等感と下劣な優越感とがますます鮮烈になって、隣にいた太陽みたいな人の光で目を潰しかけて、階段で足がもつれて”隙間”に転落し、深くて暗い底で憧れと呪詛が綯い交ぜになったままもがいている、そんな半端者が私でした。あるいは、今もそうです。そういう意味で私は「スキマ者」なのです。

 

 ただ、幸か不幸か、私の体は、まだ腐るわけにはいかないというのです。頭と精神が死に体だとしても喉は乾いて腹は減るし、夜になれば瞼は重くなるのだと知りました。そうして身体に引っ張られるようにしてどうにかこうにか”スキマもの”の生き方を模索しているうちに、予てから知識として溜め込んでいたいろんな”思想家”たちの”思想”が、彼等彼女等の作品や仕事を通して私の皮膚感覚の上に輪郭を取り始めたのを感じるようになりました。 

 美しい「花」がある、「花」の美しさといふ様なものはない。 

(新潮社から昭和53年12月25日発行 編集:大岡昇平、中村光夫、江藤淳 新訂小林秀雄全集第八巻「無常といふこと・モオツァルト」p.15「當麻」より)      

 はっと目が開いてみると、彼等彼女等は皆”思想家”でした。思想を語っているのでもなく、また逆に思想を軽んずることもなく。媒体や形式さえ異なれど、彼等彼女等は自身の感覚が捉え喰ったこの世界ののっぴきならない断片を、あたかも口に入ったものを咀嚼するか如く自然に噛み砕き、味わい、消化し、吸収し、代謝し、排泄しているのでした。言ってしまえば彼等がしているのはただそれだけでした。創作活動とか、価値を生み出すとかそういうことでは一切なく、ただ身体の振る舞いに則って生活をしているだけでした。そして”スキマもの”の私にとってただそれだけが唯一の健全な”思想”の在り方にして僕と世界を和解させる方法なのだと直観しました。

 

 そんなふうにして、隙団SHISOHCAの基礎が形成されました。隙団SHISOHCAは、”スキマ者”の団体です。団体という言葉は当たらないかもしれません。むしろ一種の雰囲気であるというのが正確かもしれません。SHISOHCAは新しい価値を生み出すことやイノベーションを与えること、社会に影響を与えること目的としません。

 

 物理、哲学、仕事、音楽、倫理、絵画、金、服、個性、価値、小説、数学、詩、成績、料理、哲学、etc... 列挙するのも馬鹿らしいほどたくさんでっち上げられた言葉の、その隙間にどういうわけか転落してしまった”スキマ者”の集まりですから。隙団SHISOHCAという空気のもとに集った”スキマ者”たちが、傷をなめ合うのでもなく競い合うのでもなく、またメンタルケアなどといって治療の対象にするのでもなく叱咤激励の言葉を掛けるのでもなく、必要なときにただ隣り合って座り無言の内にお互いの振る舞いを認め、それらを参照点としてSHISOHCA的”思想”を鍛錬し、然るべきときに離れていく。そういう振る舞いがまたSHISOHCAという空気を濃くする。SHISOHCAとはいわば、吸収と代謝のフィールドを塗り重ねていくような振る舞いの歴史そのものなのです。

 

 

 おそらく多くの人にとっては、私の世界観は陰惨なものように映るのかもしれないと思います。しかし、こうした価値観が私にとっては他のなによりもリアルであったということが事実であり、またそのことを悲観しているわけでもありません。平熱の生活をどのように積み上げていくべきかという問のもとに、日常の振る舞いのいたるところ微細な所作にまで思想を広げ纏わせることに熱意と誠意を以て取り組んでいます。    

 

***

 

 

▼プロジェクト終了要項
運営期間    
2022年9月1日〜2023年7月1日

運営場所    
東京都渋谷区代官山

運営主体    
隙団SHISOHCA代表 youri nichicough(本名 野口裕一郎)

運営内容詳細    
隙団SHISOHCAがカフェ「WANDERWALL」を開業・運営する。

その他    
<カフェのオープンについて>
実施予定日:2022年9月1日
実施内容:カフェ「WANDERWALL」をオープンする。

本プロジェクト実行のために必要な金額のうち、クラウドファウンディングの目標金額との差額分に関しては、自己資金、借り入れ、助成金で賄う予定です。(2021年4月19日現在)
 また、クラウドファウンディングが成立したにも関わらず上記計画通り差額分を確保できなかった場合、規模の縮小や場所の変更などで対応する予定です。

 

 

 

 

 

 

プロフィール

野口裕一郎

野口裕一郎

野口 裕一郎(ノグチ ユウイチロウ) 2021年4月現在、東京大学理学部物理学科4年在学。 インスタグラムのプロフィール 〜> https::www.instagram.com/youri_nichicough/ :写真、音楽、グラフィック、物理、服、小説、数学、詩、珈琲、哲学...etc.を愛する。:愛とはなにか?:影響を受けた”思想家”たち〜カミュ、芥川竜之介、ジャン・ボードリヤール、大坊勝次、ニーチェ、ソール・ライター、サルトル、山本耀司、ドストエフスキー、ハヌマーン、andymori、dodo...etc.〜:存在許可証を紛失した:自分のことを”スキマもの”だとし、隙団(ゲキダン)SHISOHCA(シソーカ)を結成:物理と数学を専攻しながらWeb開発の技術を勉強:写真やグラフィックの制作:

リターン

800

WANDERWALLの、READYFOR限定ショップカード

WANDERWALLの、READYFOR限定ショップカード

ここREADYFORでご支援またはご購入くださった方のために制作したWANDERWALLのショップカードをお送りいたします(上の図案は裏面)。ご来店なさった際にこちらのショップカードをご提示くだされば、一度限り、珈琲一杯を無料で提供させていただきます。カード裏面に記載された日付から6ヶ月間が有効期間です。

※WANDERWALLについて
場所:東京都渋谷区代官山
営業時間:定休日以外毎日営業 8:00~22:00
定休日:年末年始(12月30日〜1月2日)

※カード裏面に記載された日付から6ヶ月間が有効期間となります。
※ショップカードのデザインは変更になる可能性があります。
※店舗にご来店いただいた際に珈琲一杯と引換させていただきます。

支援者
1人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年9月

プロフィール

野口 裕一郎(ノグチ ユウイチロウ) 2021年4月現在、東京大学理学部物理学科4年在学。 インスタグラムのプロフィール 〜> https::www.instagram.com/youri_nichicough/ :写真、音楽、グラフィック、物理、服、小説、数学、詩、珈琲、哲学...etc.を愛する。:愛とはなにか?:影響を受けた”思想家”たち〜カミュ、芥川竜之介、ジャン・ボードリヤール、大坊勝次、ニーチェ、ソール・ライター、サルトル、山本耀司、ドストエフスキー、ハヌマーン、andymori、dodo...etc.〜:存在許可証を紛失した:自分のことを”スキマもの”だとし、隙団(ゲキダン)SHISOHCA(シソーカ)を結成:物理と数学を専攻しながらWeb開発の技術を勉強:写真やグラフィックの制作:

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