江戸糸あやつり人形結城座ー385年の伝統を次世代へ継なぐー
【クラウドファンディング終了ご報告】
結城座では、2020年のコロナ禍で公演ができなくなり、存続の危機となった状況の中、「385年の歴史をここで途絶えるさせるわけにはいかない」という十二代目結城孫三郎の強い気持ちと、結城座の若いスタッフからの後押しもあり、2020年9月~12月の3ヶ月間クラウドファンディングを実施しました。2020年9月~12月の3ヶ月のプロジェクトについて終了の報告をさせていただきます。
【ご支援者数】
READYFORでご支援いただいた方 429名 7,455,000円
結城座に直接ご支援いただいた方 28名 734,000円
合計 457名の方より、8,189,000円のご支援をいただきました。
初の挑戦で心もとない気持ちでおりましたが、そんな不安は吹き飛ぶくらい多くの皆様よりお心をお寄せいただきました。日々途切れなくいただきましたご支援、応援のメッセージを拝見しながら、本当に結城座は長い間皆様に愛され、現在まで支えられてきた一座なのだということを身に染みて感じ、心引き締まる思いでいっぱいになりました。
改めまして、ご支援いただきましたすべての皆様に心からの感謝を申し上げます。
本当にありがとうございました。
【クラウドファンディング終了後 2021年の結城座】
2021年6月「十三代目結城孫三郎襲名披露公演 「十一夜あるいは星の輝く夜に」
6月に「十三代目結城孫三郎襲名披露公演 十一夜あるいは星の輝く夜に」を上演し、結城座の名跡である「結城孫三郎」が十三代目へと引き継がれました。
このコロナ禍にも関わらず、大変多くのお客様にお越しいただき、心より御礼申し上げます。
この結城座の節目となる大舞台は皆様のご支援なくしては成しえませんでした。
十三代目結城孫三郎はこの公演でシェイクスピアの「十二夜」を下敷きにした新作、「十一夜 あるいは星の輝く夜に」で双子の兄妹を一人二役で演じただけでなく、結城座の古典演目のひとつである、「伊達娘恋緋鹿子 火の見櫓の場(八百屋お七)」を皆様にお披露目し、十三代目結城孫三郎としての大きな一歩を踏み出しました。
若手人形遣いもそれぞれ大役がつき、人形遣いとしての技芸習得のためにとても貴重な舞台であったことはもちろんのこと、人形の動きのかなめである「のど木」(※人形の首の部分)を始めとした、頭をつくるための基本的な技法(張り子、塗装、補強など)の他、糸の細やかな調整などを三代目両川船遊に口伝にて学び、人形製作における技術の継承のためにも貴重な時間となりました。稽古から本番までの2か月間で両川船遊の技を間近で学ぶことができ、人形遣いの技芸及び人形製作の双方で伝統を継承していく厳しさを若手座員一同が感じました。
2021年10月「孫三郎第二回古典小劇場「壺坂霊験記」
約30年ぶりとなる復活公演。結城座の「壺坂霊験記」は9代目より、代々の孫三郎がそれぞれ「お里」と「沢市」を演じることで引き継がれてきました。この度の公演ではお里を三代目両川船遊(十二代目結城孫三郎)、沢市を十三代目結城孫三郎が演じ、十三代目結城孫三郎へとバトンが渡されました。
結城座の古典演目を次世代に継なぐのはもちろんのこと、演出に映像を取り入れるなどの試みにも挑戦し、令和の時代に息づく「壺坂霊験記」となりました。
代々口伝によって伝えられてきた人形と人形遣いの技術や表現は「舞台」という場をなくしては存続は成しえません。
2021年は皆様からのご支援もあり、2つの大きな公演を実施できたことにより、着実に江戸糸あやつり人形の継承が進んでいます。今後も公演活動を通し、結城座の伝統を守り、そして皆様に舞台を楽しんでいただくことで、ご支援いただいた皆様へ御恩をお返していきたいと思っております。
公演活動だけでなく、人材育成事業として昨年に引き続き、人形、能、ダンスを学び新たな舞台芸術のプロを目指す「人形と俳優のクロスオーバーⅡ」を8月から開講し、人材育成、啓発普及活動にも力を入れています。
また、10月後半には文化庁委託事業で学校巡回公演を実施致しました。コロナ禍で中止となる学校もあり、通常より少ない学校数であったものの、北海道、東北をまわり、「東海道中膝栗毛」「八百屋お七」「寿獅子」などの結城座の古典を小中学生に楽しんでいただきました。
感染症対策は万全にしながらになるため、どうしても人数や回数が限られてしまう場面は多いものの、徐々に普及活動もコロナ禍以前のように行えるようになってきています。
2021年3月「結城座パートナーズ倶楽部」の発足
結城座と伴走し、江戸糸あやつり人形を未来へ継ぐパートナーになってくださる方を募集する「結城座パートナーズ倶楽部」を発足いたしました。
2020年9月~12月のクラウドファンディングを受け結城座が実感したのは、本当に多くの皆様に支えられて385年の歴史が守られてきたということです。今後もその歴史を守り、伝えていくためには継続して応援してくださるお客様の存在が必要不可欠です。
いままでも賛助会員制度はございましたが、より皆様と密接に関われるよう制度の見直しをし、発足したのが「結城座パートナーズ倶楽部」になります。
公演の割引のほか、結城座スタジオに皆様をお招きする「感謝の集い」の開催などの特典に加え、より結城座に親しみを持っていただけるよう、結城座の古典の人形の名前をつけた金額別のコースをご用意いたしました。
結城座は現在、十三代目結城孫三郎を中心とした若い技芸員たちが心をひとつにして伝統を継承することに心血を注いでおります。そんな状況の中、「新作と古典の両輪」で動く結城座として座員一同一丸となって前進して参りますので、どうぞ皆様のお心をお寄せいただきますことを心よりお願い申し上げます。
結城座パートナーズ倶楽部詳細→https://youkiza.jp/zaidan/crowdfunding/background
【収支報告】
皆様からのご支援は以下の目的で使用させていただきました。
改めましてこころより御礼申し上げます。
★公演活動継続のために
人形小道具修繕、作成費:1,071,826円
大道具、小道具、人形保管庫管理費:2,131,428円
★結城座の運営維持のために
現在までの運営費補填(一部):3,547,241円
次世代の人形遣いたちの環境を整え、人形づくりを含めた後継者育成費用:1,468,800
【結城座ツアー開催について】
リターンはすでに発送を完了しておりますが、「結城座ツアー」につきましては、感染拡大状況を鑑み開催を見送りさせていただいておりました。
昨今の感染状況が落ち着いてまいりましたので、近日中に開催予定です。大変おまたせして申し訳ございません。
詳細はご郵送、またはメールにてお知らせいたします。
【今後の結城座ー2022年の公演活動について】
フランツ・カフカ原作・シライケイタ演出「変身」を上演致します!
脚本・演出に劇団温泉ドラゴン座付き作家・演出家として、人間の本質に迫る骨太で重厚な舞台を創造する現代演劇の牽引者 シライケイタ 氏を迎え、人形美術には「自身の負の記憶と人間の闇を混淆した美」を描く画家、谷原菜摘子を迎えました。結城座と初タッグの活躍中の若き実力者たちと挑む、人間の心の深淵を描く人形芝居にご期待ください。
結城座旗揚げ385周年記念公演第3弾「変身」
場所:「劇」小劇場(東京都世田谷区北沢2-6-6)
日時:3月26日(土)19:00
3月27日(日)14:00
3月28日(月)14:00
3月29日(火)19:00
3月30日(水)14:00
チケット:全席指定
※DM会員先行予約開始:2022年1月12日/一般予約開始2月1日より
DM会員先行予約:4500円
一般:5000円
ペア:8500円
U30:3000円
学生:2000円
※12月中旬に「変身」の詳細情報公開予定です。
★2022年の公演スケジュール★
5月 結城座スタジオ公演「東海道中膝栗毛~赤坂並木から卵塔場まで~」
構成:三代目両川船遊 弾語り:新内多賀太夫
出演:十三代目結城孫三郎、三代目両川船遊、他結城座人形遣い
場所:結城座スタジオ(東京都小金井市貫井北町3-18-2)
2020年に「ザムザ阿佐谷」上演し、人気を博した「東海道中膝栗毛」他、「伊達娘恋緋鹿子 火の見櫓の場」「寿獅子」など十三代目結城孫三郎を中心とした古典の名作を結城座スタジオで上演します!
9月「瞼の母」
原作:長谷川伸 演出:流山児祥
出演:伊藤弘子/十三代目結城孫三郎、三代目両川船遊、他結城座人形遣い
場所:ザムザ阿佐谷(東京都杉並区阿佐谷北2-12-21)
昭和の人気作「瞼の母」を流山児祥の演出で上演致します。エネルギー溢れる令和版エンターテイメントを是非お楽しみください。
【むすび】
結城座は現在、十三代目結城孫三郎の襲名が象徴するように、大きな世代交代の過渡期にあります。江戸糸あやつり人形の伝統を確実に次世代につないでいくために、大変重要な時期だと座員一同が感じております。そのような大事な時期に多くの皆様からご支援いただけたことは、結城座にとって大変大きな糧となりました。本当に何度感謝を申し上げても足りないくらいではございますが、この御恩は結城座の公演を末永く続け、皆様にお楽しみいただくことでお返ししていきたいと思っております。
十三代目結城孫三郎を始めとした、若手人形遣い、結城座の全スタッフが今後も結城座の伝統を継なぐために尽力して参りますので、引き続き結城座にお心をお寄せいただけましよう、何卒よろしくお願い申し上げます。