プロジェクト概要

【藝大アーツイン丸の内 2017 学生自主企画】

 東京藝術大学と三菱地所株式会社が丸の内からアートを発信するイベント「藝大アーツイン丸の内2017」が10月16日(月)~10月29日(日)に丸の内エリアにて開催されます。第11回目を迎える今回は、開催期間・エリアを拡大し、ライヴ感のある魅力的なプログラムを用意しています。本プロジェクトでは、学内公募により選出された斬新な学生企画をイベントで実現することで、東京藝術大学が放つ若い芸術の力を丸の内から広く社会へ発信します。

 

建築という芸術に思いを馳せて... 東京藝術大学の学生が「未知なる住宅」を共同制作

 

はじめまして、私は東京藝術大学美術学部建築科に在籍しております、阿部文香です。日本の大学の建築学科が主に工学系に属している一方で、私の学ぶ東京藝大の建築科は美術系に属しています。「数ある大学の中でなぜ藝大を選んだのか」と聞かれることもある私ですが、そもそも工学系の建築科に進学する選択肢はありませんでした。建築に面白みや興味を抱いた時には既に、建築は私にとって芸術作品

だったのかもしれません。「表現すること」に情熱をかける学友たちの中で建築を学ぶ毎日。それはとても刺激的で、多様な価値観や新たな視点に出会う毎日です。

 

歴史の中で築かれ、今日の主流となった建築のあり方、アプローチ方法は大変優れたものです。しかし私は、これまでに淘汰されてしまった建築様式を見直したり、新しい建築の姿を見据えたりして、建築の幅を広げていくことに意味があると感じております。その中で私は、設計・施工・機能だけに留まらず、文化的・芸術的要素を重視する視点から建築にアプローチしたいと考えるようになりました。

 

そこで「藝大アーツイン丸の内」にて開催する展示に向けて企画したのが、東京藝術大学美術学部・音楽学部2年生を中心とした「チーム優美な死骸」です。

 

展示場所となる新丸ビルを見学するメンバー

 

 

新たな要素から作られる住宅を建設したい

 

「建築を構成しているのは柱・壁・屋根といった設計的・機能的な要素だけではない。目に見えないものの要素も加わるはずだ。」と考えた私はまず建築分野の中から「住宅」をテーマに取り上げ、目には見えない、しかし確かに存在するはずである要素(住む人の生活・思い出・愛着など)から形作られる住宅を建設したいと思いました。

 

このように抽象的要素を重要視するにあたり「夢」や「超現実(sur=超えるréalisme=現実)といったイマジネーションを特徴の一つに掲げるシュルレアリスムの視点を参考にしました。シュルレアリスムは夢や幻想、不可思議なものを主題としながら、現実と考えられているものの根拠の脆弱さを明るみに出しているとの解釈があります。目に見えないものの要素で住宅を構成することで、建築を構成しているのは柱・壁・屋根といった設計的・機能的な要素だけではないという考えを確かめる今回の企画に共通する部分があると考え、シュルレアリスムにおける「優美な死骸」という実験的手法を用いることにしました。

 

建築科の学生の製図室での制作風景

 

 

シュルレアリスムの実験的手法を用い、建築の概念を再発見したい

 

「優美な死骸」とはシュルレアリストらが始めた文章の遊戯であり、のちにデッサンの領域などで実践された手法です。紙をたたみ、前の人が記入した言葉が見えないようにしながら一人一つ「⑴いつ、⑵どこで、⑶何をした」という句を分担し、最後に紙を開いて偶然出来上がった文を楽しみます。最初の実験で「優美な死骸が新しい葡萄酒を飲むだろう」という奇想天外な、しかし美しい文章が生まれたため、異和・未視・偶然性を生む手法として使われるようになりました。

 

建築の概念を見直す意識を持っていても、普段から建築を学んでいるが故に固定概念を捨てきれない部分や、何かを見落としてしまう可能性があるかと思います。そこで建築という分野に明るくない人にもこの企画に参加してもらうことで、よりフラットな視点で建築を見つめ直し、建築における常識に疑問を投げかけ、新たな発見を呼びこむことが期待できると考えたのです。

 

油画科の学生の制作風景

 

 

丸ビルを舞台に工具ではなく、感性で設計したい

 

「チーム優美な死骸」に携わるのは建築科・油画科・デザイン科・工芸科・先端芸術表現科・作曲科・声楽科・ピアノ科の学生です。例えば、作曲科の学生が制作した生活音を利用した音楽作品のように、さまざまなバックグラウンドを持つ学生たちが個々に住宅について考え、その住宅から何らかの要素を抽出し、それについてあくまでも個々に作品を制作しました。そして、出来上がったそれぞれの作品を丸ビルの展示空間にて初めて1つの住宅に構成します。


その展示空間は、配されてすぐは、いびつな物であるかもしれません。もはや住宅とは言い難い物かもしれません。しかしそもそも我々にとって、住宅の定義とは何だったのでしょうか。この展示空間ではよそよそしく配された、しかし個々の学生にとっては確かに「住宅の1要素」であった作品たちが釘でも柱でもなく、生活という営みによって一つの住宅としてのまとまりを持ち始めます。我々は住宅を芸術作品として、工具ではなく感性で設計したいのです。

 

生活音を利用した音楽作品を制作するピアノ科の学生

 

 

建築物である「住宅」に芸術性を感じて欲しい...生活に潜む芸術のかけらに気づくきっかけをお届けしたい

 

丸の内という場所に皆さんはどのような足取りで訪れ、どのような足取りでご自分の住宅にお帰りになるのでしょうか。どんな人でも、住宅から「どこか」を訪れ、「どこか」を訪ねては住宅に帰ります。「どこか」ではない「ここ=住宅」に芸術性を感じられたらどんなに豊かな生活になるでしょうか。私たちがこの展示を通して、皆様の生活を豊かなものにする気付きをお届けできたら幸いです。

 

私たちは普段から制作費用・運搬費用は自費で賄っています。資金の面で展示の質を下げることなく、普段ギャラリーや美術館に足を運ぶ機会のない方々にも「藝大アーツイン丸の内」にて最高の芸術体験をお届けしたい。そのため、皆様にご支援をお願いしたいと思っております。

 

工芸科の学生による制作中の作品

 

 

リターンについて

 

今回展示する東京藝大の学生が制作した個々の作品、加えて「優美な死骸」の手法で共同制作した「住宅」全体の様子をフォトセットにしてお届けいたします。

 

■Thanksメール

 

■参加メンバーの手作り額縁

 

■展示写真10枚セット(L版)

 

■藝大美術館で展示中の「素心伝心」展のチケット

 

■作品の壁の絵の一部(L版、手描きの絵)

 

■製作者へのインタビューつき、変化の過程の報告書

 

■作品の壁の絵の一部(B5サイズ目安、手描きの絵)

 

■展示終了後の懇親会にご招待

 

■展示期間成長していく展示を踏まえて、展示終了後新しく描いた絵