去年亡くなった歌人、蝦名泰洋さんの歌集を出版したい
去年亡くなった歌人、蝦名泰洋さんの歌集を出版したい

支援総額

699,000

目標金額 600,000円

支援者
86人
募集終了日
2022年12月2日

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2022年12月01日 02:02

詩「カムパネルラ忌」

カウントダウンがはじまっています。111パーセントになっています。本当に、本当にありがとうございます。駆け込み応援、大歓迎です。あと1日、よろしくお願いします。
蝦名さんの詩をひとつ紹介します。蝦名さんは詩も書く人で、伊丹イタリアの筆名で、私家版の詩集も出しています。

 

「カムパネルラ忌」という詩は、30年くらい前に、たしか最初は青森の新聞に載ったのではなかったかしら。私が、一番最初に読んだ蝦名さんの詩でした。なんて不思議な詩だろうと思いました。その不思議さに惹かれつづけてきました。いつまでも解けない宿題のように。カムパネルラは、生涯の終わりに近いころの短歌にも、あらわれます。きっと、いつも蝦名さんの詩歌の傍らにいたんでしょう。
この「カムパネルラ忌」の詩のこと、亡くなる前に、すこし気にかかっていたようです。「直したいところもある気がするけど、このままでもいいのかな」というふうに。30年前の詩のことを。
詩を読むひと、書く人にも、応援していただきました。無事、歌集が刊行できたら、遠くないいつか、蝦名さんの詩集も出したいと、ひそかに思っています。

 

 

  カムパネルラ忌  伊丹イタリア(蝦名泰洋)

 

 王国を見にいくと言い残して

 もどらない彼のことを

 パンを食べているとき忘れていた

 食べるときは忘れているのだ

 たえまなく浸食される時間の痛みの中で

 わたしも一筋の傷口である

 黒パンには塩分が含まれており

 沁みる

 王国はどうだったの?

 と、もどって来たら訊いてみよう 

 

   だれもいなかったよ

   王もいない

   どの部屋も空っぽ

   ただ玉座に

   四季の収穫だけが飾られていた

 

 黒パンには

 両眼から落下する石と同じ成分が含まれており

 噛むと顎がふるえるのをとめられない

 海の方角にあるはずの

 だれもいない国を想い描いた

 

 旅路で

 もし死んでいなければ

 彼は

 カムパネルラと同じ年だ

 いいえ

 もし生まれていたらの話だ

 そうしたことも

 食べるときは忘れている

 

 もう一度

 始発からかぞえてみよう

 わたしがいることと

 彼がいないことの闇をつないでいる

 駅の数を

 

リターン

3,000+システム利用料


完成した歌集1冊

完成した歌集1冊

完成した歌集『ニューヨークの唇』一冊をお送りします。

申込数
23
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2023年7月

5,000+システム利用料


完成した歌集1冊と、私家版の冊子

完成した歌集1冊と、私家版の冊子

完成した歌集『ニューヨークの唇』一冊をお送りします。
未発表両吟の私家版冊子をお送りします。

申込数
34
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2023年7月

3,000+システム利用料


完成した歌集1冊

完成した歌集1冊

完成した歌集『ニューヨークの唇』一冊をお送りします。

申込数
23
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2023年7月

5,000+システム利用料


完成した歌集1冊と、私家版の冊子

完成した歌集1冊と、私家版の冊子

完成した歌集『ニューヨークの唇』一冊をお送りします。
未発表両吟の私家版冊子をお送りします。

申込数
34
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2023年7月
1 ~ 1/ 10


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