
支援総額
目標金額 800,000円
- 支援者
- 95人
- 募集終了日
- 2023年3月6日
空に還った皇子さまのお話(後編)

私が2020年に保護した子猫のえんちゃんは、私の家で2か月ほど過ごした後、新たな里親さんの下へと旅立っていきました。
しかし、そのわずか1年半後に里親さんから、えんちゃんが亡くなったという知らせが届いたのです。
それまでえんちゃんが病弱だという話は聞いていましたが、まだ2歳にもなっていないうちに亡くなってしまうのは、本当に信じられない思いでした。
むしろ、病気がちだったえんちゃんをむざむざと死なせてしまった里親さんに対し、少なからず責める気持ちがあったほどです。
すくすく育ってくれていた。
とりあえず、私はえんちゃんを火葬したペット霊園の場所を聞き、次の日にお参りへ行くことにしました。
えんちゃんが眠るペット霊園は、市街地から離れた山の中にある静かなところでした。
私はお花とお線香を備え、えんちゃんの冥福を祈りました。
お参りの際にペット霊園の人にえんちゃんの話を聞いたのですが、亡骸は綺麗な状態だったそうなので、虐待死や脱走による事故死などでは無いことが確認できました。
里親さんのことを疑うのはどうかと思いましたが、えんちゃんが非業の死を遂げていないか確かめるのは私の役目だと思ったのです。
ケージの中でも走り回っていた。
そしてお参りから数日後、里親さんから連絡があり、えんちゃんが使っていたケージを譲ってもらうことになりました。
ケージは私の家まで届けてくれることになったため、その際にえんちゃんのことを色々と話を聞くことができます。
そして、1週間ほど経った後、里親さんが私の家へやってきました。
そこで、ひと通りえんちゃんが亡くなった経過を聞いたのですが、やはり納得できない部分は残りました。
里親さんの話を要約すると、以下のような感じです。
・えんちゃんは亡くなる1か月ほど前に体調を崩し、そこで病院へ連れていったところ肺炎と診断された。
・肺炎の症状は重く余命わずかなので、家で看取るように医師から勧められた。
・その後えんちゃんは体調を持ち直し、1か月ほど元気に過ごしていた。
・ある日突然えんちゃんが食欲を失い、病院へ連れて行こうとした次の日の朝に冷たくなっていた。
里親さんの話の整合性はともかくとして、えんちゃんが肺炎と診断された後に自宅に戻ってきたのは、どうにも腑に落ちません。
抱っこの途中で寝てしまうことも。
猫の肺炎は入院が必要なほど重い症状ですが、適切な治療を受ければ回復の見込みはあります。
何より、医師に看取るよう勧められたとしても、何とか命を助けるために他の病院でセカンドオピニオンを取らなかったのは、えんちゃんに対してきちんと愛情を持っていたのか疑問に感じてしまいます。
私は里親さんを責める言葉が喉元まで出かかりましたが、里親さんと一緒にいた2人の小さな子どもたちを見て、かろうじて思いとどまりました。
それに、どんなに里親さんを責めたとしても、えんちゃんはもう戻ってきません。
わずか1年半ほどの短い期間ではありましたが、里親さんの家族にえんちゃんが可愛がられたうえで、短い生涯を駆け抜けてしまったと考えるしかないのです。
さすがのえんちゃんもお風呂は嫌だったらしい。
私は里親さんにえんちゃんの看病やお世話のお礼を伝え、えんちゃんが使っていたケージを受け取りました。
家に里親さんから受け取ったケージを運んだ後、私はえんちゃんの死について考えていました。
もしえんちゃんの死が避けられないものだとしても、私なら最後まで諦めずに治療を受けさせていたと思います。
しかし、里親さんは猫を飼うのが初めてとのことですので、えんちゃんの症状に対してセカンドオピニオンを取るような発想が無かったのでしょう。
こう考えると、安易に自宅の看取りを勧めた医師にも、少なからず責任がある気がします。
里親さんと医師のどちらも悪意があってえんちゃんを死なせたわけではありませんが、どちらもベストな選択肢を採ったとは言えないと思うのです。
ただ、えんちゃんを譲渡してしまった以上は、病院や治療内容の選択は完全に里親さんへ委ねることになります。
つまり、飼育放棄や虐待などよほど酷い事態にならない限りは、えんちゃんの生き方に私の意思の入る余地はありません。
猫を譲渡するというのはこういうことなのだと、私は自分に何度も言い聞かせました。
その一方で、もし自分の手元にえんちゃんを残していれば、何としてでも死なせなかった、という思いが芽生えていたのも事実です。
何をしても可愛い盛りだった。
しかし、えんちゃんを譲渡せずに家の子として迎えていたら、その後のカンナちゃんの保護は無理だったでしょう。
しかも、カンナちゃんは本当に素敵な里親さんに出会い、幸せな暮らしを送っています。
逆に考えれば、えんちゃんの譲渡が引き金になって、その後のカンナちゃんの幸せに繋がったとも考えられます。
私は考えれば考えるほど、猫の譲渡が良いことなのか悪いことなのか、分からなくなってしまいました。
ただひとつ言えるのは、えんちゃんの譲渡は後悔が残る結果でしたが、カンナちゃんの譲渡はベストな結果になったということです。
こうして私が辿りついたのが、後悔するくらいなら譲渡しない、という結論です。
これから保護する猫が増えたとしても、譲渡することなく自分で最後まで責任を持つようにすれば、少なくとも後悔することはありません。
保護猫シェルター作りに際して終生飼育を原則としたのも、えんちゃんのことが少なからず影響しています。
意外と気が合うようだった。
私はえんちゃんの短すぎる一生に思いを馳せるのと同時に、現世で短命だったのは理由があったのだと考えるようになりました。
おそらくえんちゃんは、猫の天国で重要な立場にあって、現世にはいられなくなってしまったのでしょう。
私の想像だと、えんちゃんは猫の天国の皇子で後継者として選ばれた、という感じです。
そんなえんちゃんは、短い現世で過ごす時間の一部に、私を選んでくれました。
そして短い一生の中で、私へ猫の譲渡にリスクがあることを教えてくれたのです。
こうして皇子のえんちゃんは、1年半の現世の暮らしを終えて空に還っていきました。
私と過ごしたのはたった2か月ほどですが、えんちゃんのことは一生忘れることはありません。
そして、えんちゃんとの出会いで得た教訓は、これからの保護猫活動に必ず活かしていこうと決意を新たにしたのです。
(おわり)
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