東日本大震災の被災動物の保護・譲渡を行った当時のこと

今から１０年前の２０１１年３月11日東日本大震災発生後、仙台市動物管理センター（被災動物救護センター）では、ただちに被災動物の保護・収容を開始。津波で家屋や財産、仕事を失った家族によって連れてこられた犬・猫のほか、地震でパニックになり家を飛び出して行方不明になったとみられる猫たちが相次いで保護されました。

 

首輪をするなど、明らかに飼い猫とみられる母親と子猫がいっしょに保護されるようになったのは、震災から２カ月を過ぎたころからです。不妊手術を受けていなかった猫が放浪中に産んだ子猫とみられます。被災動物救護センターの猫舎は、収容された猫たちでたちまち満杯となってしまいました。成猫については、元の飼い主が必死で探している可能性が高く、新しい飼い主を探して譲渡することはできません。

 

「子猫の譲渡を手伝ってもらえないでしょうか」

仙台市から千代田区に支援の要請があったのは６月のことでした。千代田区は、ちよだニャンとなる会と連携・協力して、被災地への動物愛護（動物福祉）支援を始めました。区が仙台からの輸送費と健康診断等の医療費を負担し、当会が子猫の預かりと譲渡先探しを行って、それにかかる費用を負担することとなったのでした。

 

２０１１年７月21日、仙台から子猫15頭がプロジェクトに協力する赤坂動物病院（港区）に到着。柴内晶子副院長（当時）をはじめとする医療スタッフが健康診断を行った後、当会ボランティアが１～３頭ずつ家庭に連れて帰りました。テレビや新聞などマスメディアによる報道のおかげで譲渡先も次々と決まり、保健所とボランティアが協働で家庭にお届けしたのでした。

仙台市からは、第２便として９月26日に子猫と若い猫の計16頭、第３便では２０１２年２月14日に成猫７頭、第４便では９月20日に子猫と若い猫の計７頭を受け入れました。

 

福島第一原発から20キロ圏内の警戒区域では、家族と暮らしていた猫・犬が残されました。人の世話を受けなくなった動物たちは次々と命を落としていきましたが、生きのびた猫・犬もいます。しかし、不妊・去勢手術が行われていなかったものが多く、原発による被災猫２世、３世、４世と、世代を超えて猫たちが生まれては死んで行く状態が続いていたのでした。当会では、２０１２年６月21日、福島から子猫６頭を受け入れました。環境省が20キロ圏内で保護し、福島県動物救護本部のシェルターに収容されていた猫たちでした。

 

「災害時は動物愛護（動物福祉）の試金石」。小さな命を見捨てないことが人にもやさしい社会への第一歩になるのではないでしょうか。

 

※写真は、首都圏で今も幸せいっぱいに暮らすふくちゃんが仙台市で収容されていた当時のものです。