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2021年04月07日 06:34

(上)『ホタテと瓢箪』。その22。「精神のリレー」

 テーマはひと言で云えなければダメ。
 スペインの歌と踊りに接した時には何時も楽しく嬉しくもあった。出逢えた喜びを感じていた。…そう喜びなんだ…。『喜び』を表現。これが今のわたしに相応しい。分り易いテーマは悪くない。こんな簡単な二文字に辿り着くまでに、音楽と踊りの原点に思いを馳せたり、歌と踊りの一致を考えたり、自分の歌と踊りを想い浮かべたり、書くと云う表現の普遍性すら考えた。それで結論が出るはずがない。だいたい今まで何かを決める時、理屈で決めたことなど一度も無い。その時々の勢いと気合いで決めてきた。それで後悔したことは無い。それなのに重要を決めなければならぬ局面では理屈にならぬ理屈をこねてしまう。そして理屈とは縁遠い結論を導いてしまう。 

 

 わたしは頭が悪い。

 

   テーマを際立たせるモチーフは思いつくままで良いはずが無い。Sketchには思いつくままが列記されている。Sketchならこれで良い。支社長もそう言うに違いない。わたしは何故Sketchしたのだろう。卒論のリベンジ。これだけでは曖昧。テーマの『喜び』に辿り着いたけれどSketchの動機が分からない。
 ハッキリ言えば好奇心の赴くままだった。もう少し何とかならないものか。好奇心が満たされた時には確かに『喜び』が込み上げてくる。好奇心が満たされなくともガッカリしない。湧き上がる次の好奇心の到来を待つだけ。やはり好奇心だけではもの足りない。好奇心だけなら遊んでいるように思われかねない。感じたままをSketchした『アルハンブラ宮殿』を開いた。

 

■私も感動への自己責任から逃れられそうにない。精神のリレーは、人それぞれの、感動への自己責任無くして成立しない。直ぐに感動してしまう私は古今東西の精神を受け継いでいる。その私がバトンを誰かに渡せるのだろうか。このままでは受け継ぐばかりで、誰にも渡せず、性と生を終えてしまうのかも知れない。そうであるなら私の裡に根づいている数多くの感動は、誰にも継承されずに、朽ち果ててしまう。朽ち果てるとは何も無かったのと同じ。                                                                                                              

 

…そんなことを考える必要はない…との声が頭上から聴こえた。
…例え君が受け継ぐ専門であったとしても精神のリレーは途絶えない。君の知らぬ世界中の沢山の誰かが、君の感動の数々を時空を超えて確実に受け継ぎ、それらを中心に据えて表現に挑むだろう。それが表現の魔力と底力。芸術の奥深さと言い切っても良い…

 

  受け継ぐ専門はイヤだ。見知らぬ誰かに、断片でも構わない、確かに受け継いでもらいたい。バトンを渡せないリレーのランナーはピッチに立てない。ピッチに立てぬなら私は惨めだ。  

   アルハンブラ宮殿は、まさしく精神のリレーによって、今も建ち、多くの人たちの力を得て、自らの時間を刻み、価値を更新している。
 この宮殿を訪れる前はタージ・マハールと同じく、時の権力者が愛する女性のために造営したと思っていた。まったく違った。宮殿は切り立った丘の馬の背を活用した城砦。カトリック教徒の反撃からイスラムの教えを守る拠点として造られたのが起源。それがレコンキスタの進攻によって約七〇〇年後の一四九二年に陥落。堅固な砦は残った。以降スペイン王朝によって宮殿に造り換えられ、水を湛えた庭園には噴水も。そして今に至る。

 

 私は想う。

 

 イスラム教徒がアルハンブラ宮殿を訪れた時には複雑な想いを抱えて家路に着いたのだろう…と。イスラム教徒が、この宮殿を目前にするとスペインを侵略した自分達が敗れた歴史を直視させられる。そして自分達が築いた城砦が、今は美しい宮殿として受け継がれている。スペイン国王の狙いは此処なのでは…。
 タージ・マハールとの共通項は水の庭園。宮殿の維持には大量の水が必需であり、水が敷きつめられた広い庭園は、中世に暮らした庶民にとっては垂涎で在ったに違いない。

 ギターの名曲『アルハンブラ宮殿の想い出』は全編がトレモロ。トレモロがメロディを奏でる。宮殿の美しさに吸い込まれた人々の心根を静かに謳い上げる。私も吸い込まれた。
 スペインはギターが似合う。
 グラナダの丘を照らす陽の傾きは少しずつ水平に近づく。地平線に沈み込もうとする夕陽は力強い。夕陽に輝く壁と、貯えられた水面に映る壁を、同じ色に照らす。風もなく、音もない。庭園に留め置かれた者たちは息を潜め、明るさが燃え尽きるまで動かない。動けない。静寂とは心に響く無の音。これを音楽で表現するならトレモロ以外在り得ない。考えられない。夕陽が地平線に沈み込むと何処からともなく拍手が。拍手は伝搬して鳴りまない。次から次へと拍手が繋がる。終わりが見えない拍手のリレー。

 私は、次にこの丘に登った時には、庭園の水際に立ち、アンダルシアの夕陽を一心に浴び、中学のスクバンで鍛え抜いたイングリッシュホルンで、『アランフェス協奏曲第二楽章』を吹こうと決めた。これが私なりのリレー。私は『

アルハンブラ宮殿』とアンダルシアの夕陽のバトンを受け継ぎ走る。これなら出来る。でも私からのバトンを受け取ってくれる人は何処に居るのだろう■

 

 

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(上)『ホタテと瓢箪』。その21。「五里霧中」(上)『ホタテと瓢箪』。その23。「入り江のざわめき」
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