口腔内ポリープの再発を繰り返す保護猫の治療費にご協力をお願いします

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支援総額

240,000

目標金額 140,000円

支援者
61人
募集終了日
2022年2月28日

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2022年01月26日 12:08

猫を看取るということ

今回は保護猫活動を行うなかで、避けては通れない看取りの問題について書いてみようと思います。


長く重苦しい話になるかと思いますが、できるだけ多くの人に読んで頂ければ幸いです。

 

ちょうど1年ほど前のある日、私が野良猫をお世話している場所に茶白柄のオス猫が現れました。


ガリガリに痩せていて毛並みはボロボロ、顔は目ヤニと鼻水で黒く汚れていました。


見るからに衰弱しきっている様子でしたので、私は急いで暖かいウェットフードと猫用スープをお皿に入れて近くに置いてあげました。


その猫はよほどお腹が空いていたのか、近くで私が見ているにもかかわらず一心不乱にお皿のご飯を平らげたのです。


食べ終わった後も動かずに待っていたので、手元にあるウェットフードを全てお皿に入れました。

 

結局、その猫は3人前のウェットフードを平らげ、近くの茂みの中へと消えていきました。

 

流れてきた当時の寅次郎
流れてきた当時の寅次郎

 

初めて会った次の日から、その猫は私が来る夕方の時間になると、お皿の前でご飯を待つようになったのです。


毎日のように3人前のご飯を完食し、そして茂みへ消えていく日々が続きました。


この子は今まで生きてきた中で、美味しいご飯を満足に食べられたことが無かったのでしょう。

 

その反動で驚くほどの食欲を発揮していたのかもしれません。


長く過酷な野良猫生活を過ごしてボロボロになりながら、ようやく流れ着いたのが私がいる地域だったのだと思います。


私はその猫に「寅次郎(とらじろう)」という名前をつけて、しばらく様子を見ることにしました。

 

寅次郎はボロボロの身体と汚い顔で決して可愛い猫ではありませんでしたが、弱り切った身体で静かにご飯を待つ姿が人々の同情を惹いたのか、次第にご飯をくれる人が増えるようになりました。


なかには人間のご飯が置かれている日もあったため、私は周辺の掃除をしながら寅次郎にご飯をあげるのが日課となったのです。

 

毎日ご飯をあげるようになってから1か月もすると、寅次郎はふっくらとした身体つきになり、自分で毛づくろいをするくらいに元気を取り戻しました。


少し小綺麗になった寅次郎を良く眺めてみると、やはり相応の年齢なのか毛ヅヤはあまり良くなく、野良猫として暮らした日々の長さを感じさせました。


だいぶ元気になってきたこともあり、春の発情期を迎える前にTNRするべきだと考えるようになりました。

1か月が経ったころの寅次郎
1か月が経ったころの寅次郎。少し身体がふっくらと。

 

しかしそれから数週間が経ったころ、寅次郎はぱったりと食欲を失ってしまいました。


大好きなスープやウェットフードにも口をつけず、ただ静かに私の前で座り込むだけの状態でした。


猫が急激に食欲を失うのは何らかの病気の可能性が高いため、私は保護猫活動の仲間である友人へ寅次郎の状態について相談してみました。


友人には猫が急激に食欲を失って数日が経つと黄疸の危険性があると言われたため、寅次郎は急遽その友人に保護してもらうことになったのです。

 

しかし、友人の家にも保護猫がいるため、長く保護してもらうことはできません。
そのため、友人宅で2週間を目途に寅次郎を療養させて、体調が整ったらリリースすることになりました。

 

保護されてからの寅次郎は次第に食欲を取り戻してくれて、当初の予定通り2週間でリリースしました。


リリースされた後の寅次郎は2週間前と比べるとだいぶ体調が良さそうで、食欲も戻っているようでした。


再び私は寅次郎にご飯をあげる毎日となり、しばらくは平穏な日々が続きました。

リリース後の寅次郎
療養生活を経てリリース後の寅次郎。一番元気だった頃。

 

しかし、それから1か月が経ったころ、寅次郎が再び食欲を失ってしまいました。


少しでも栄養を摂取するために高カロリー食を与えていたのですが、やはり食欲が無いせいか口を付けようとはしません。


食欲を失った寅次郎を心配した友人が保護を申し出てくれたため、再度療養をお願いすることになりました。

 

2度目の療養生活では食欲不振が長引いたこともあり、病院で検査を受けることにしました。


検査の結果では肝臓の数値が極端に悪く、投薬治療が必要になりました。


投薬治療に際して必要な検査は全て受けたのですが、FIPは陰性、猫エイズは陽性、猫白血病は陰性でした。


その後1か月におよぶ投薬治療を続けていた寅次郎ですが、体調の方は一進一退という感じで完治が望める状態にはなりませんでした。

寅次郎の検査結果。肝臓の数値が極端に悪かった。

 

さらに寅次郎は猫エイズが発症しているせいで、右手にある傷が膿んでしまい壊死が始まっていたのです。


2度目に保護する際に右手の傷に気付いて治療を受けていたのですが、猫エイズが発症していたせいか治りが悪かったようでした。


そこに肝不全の症状が重なったこともあり、寅次郎は自力で食べる力すら失ってしまったのです。

 

再三に及ぶ通院で獣医師の先生からは、右手の壊死が進行していることと、肝不全と腎不全を併発している可能性があることから、入院を勧められました。


ただし、入院して治療を受けても完治する可能性は20%以下と言われました。


それでも、私と友人は相談のうえ、入院とさらなる検査をお願いしたのです。

 

入院して2日目に先生から告げられたのは、完治の見込みがほとんどないとのことでした。


このまま入院を続けても完治は難しく、何よりも進行している病状を考えれば寅次郎は相当に苦しんでいるはずと言われました。


いわばゴールの無い延命治療を行うのは猫の苦しみを無駄に引き延ばすだけなので、安楽死も視野に入れるべきとアドバイスされたのです。

 

先生の名誉のために書いておきますが、決して「安楽死」を積極的に勧められたわけではありません。


治る見込みがほとんどない状態まで悪化しているのだったら、余分な苦しみを与えない選択肢を取るのも飼い主としての責任のひとつではないか、という内容でした。


もし私たちが納得するまで入院治療を希望するなら、先生も最後まできちんと診てくれると言ってくれました。


ただ、安楽死を視野に入れるほど、寅次郎の病状は深刻な段階にきていることを私たちに理解して欲しかったようです。

 

私と友人はこの話を聞いて、絶句してしまいました。


末期状態の寅次郎を安楽死で苦しみから解放してあげるべきなのか、それとも命ある限りは治療を続けるべきなのか、お互いに考えていることを話し合ったのです。

 

私と友人の間でその日のうちには結論へと達しず、友人と別れた後の私はひとりでどうするべきなのか、本当に悩みました。


寅次郎は猫ですから、自分で死を選ぶことはできません。


どんなに苦しくても、動物の本能として最後まで生きようとするはずです。


しかし、末期の段階にまで病状が進行して苦しむ寅次郎を見続けるのは、私にとっても耐え難い苦しみでした。


だからと言って、どんなに苦しんでいたとしても、私に寅次郎の命を断ち切る権利があるとは思えません。

 

私にとって、安楽死させて寅次郎を苦しみから救うというのは、人間のエゴのように感じられたのです。


と同時に、最後まで苦しむ寅次郎を私たちの一存で延命治療させるのも、また人間のエゴに思えました。


安楽死を選ぶのと、安楽死を選ばないのは、どちらが人間のエゴなのか。
私は寅次郎にとって最善の道が何なのか、一生懸命に考え続けました。

 

そして結論として選んだのが、もう3日間だけ再入院して治療を続けることでした。


先生からは完治の見込みはほとんど無いと言われましたが、だからと言って易々と安楽死を選ぶことが私たちにはできなかったからです。


それに、もしかしたら再入院して治療を受けるなかで、僅かでも症状が改善する余地が見られるかもしれないと思ったのです。


私たちの気持ちを汲んでくれたのか、先生は寅次郎のために酸素室を空けて再入院させてくれました。

酸素室に再入院した寅次郎
酸素室に再入院した寅次郎。だいぶ意識が薄れているようだった。

 

その当時、私は少し私用が立て込んでいて、寅次郎を再入院させてから3日目を迎えるまでは地元を離れる予定でした。


そのため、タイムリミットである再入院3日目に戻ってきて、寅次郎の行く末を見守る約束になっていたのです。


しかし、急な予定のキャンセルが入り、寅次郎を再入院させた次の日の朝には地元へ戻ってくることになりました。

 

そこで、私は再入院2日目の昼間に寅次郎のお見舞いへと出かけました。


もう声を出すことも身体を動かすこともできない寅次郎でしたが、私の姿を見るとパタンと尻尾を左右に動かしたのです。


おそらく寅次郎なりに私への挨拶として、尻尾を振ってくれたのでしょう。


かろうじて意識を保っている寅次郎を見て少し希望が湧いたのですが、やはり症状が好転するような状態には見えませんでした。

 

そして、その日の夜に、寅次郎の容態が悪化したと病院から連絡が入りました。


私が病院へ駆けつけると、友人はすでに酸素室の前で寅次郎の手を握っていました。


先に着いた友人から話を聞くと、私が着くほんの少し前に寅次郎は身体を波打つように動かしたそうです。


多くの猫を看取ってきた友人に説明されたのですが、猫は命の灯が消える直前に身体を一瞬だけ波打つように動かすことがあるそうで、寅次郎もおそらくお迎えが来ていると言われました。


私が声を掛けながら手を握ると、寅次郎は薄く開いた目を私に向けてくれました。


光を失いかけたその目は、何かを訴えるようにも、お別れの挨拶をしているようにも、苦しみから解放された安堵の気持ちにも、旅立つ寂しさを語っているようにも、とにかくいろんな感情が入り混じった寅次郎からのメッセージのように感じられました。


そして、寅次郎は最後に口を少し開いてからゆっくりと目を閉じ、静かに息を引き取りました。


結局、寅次郎は安楽死を選ぶことなく、自らの寿命を全うして天国へと旅立っていったのです。

 

私が寅次郎の最後に立ち会えたのは、予定がキャンセルされた偶然によるものです。


本来なら私用で地元を離れていたはずなので、予定どおりなら寅次郎の最後に立ち会うことはできなかったのです。


もしかしたら、寅次郎が最後は私に看取って欲しくて、私のことを呼び戻してくれたのかもしれません。


そんな妄想をしてしまうくらい、寅次郎の最後は私にとって衝撃的な出来事でした。


そして、次の日に寅次郎を火葬して見送った後、私はこれからも多くの猫を看取っていこうと決心しました。

寅次郎と最後のお別れ。友人と3人でお見送りした。

 

今まで多くの猫の葬儀に立ち会ってきましたが、目の前で看取ったのは寅次郎が初めてでした。


獣医師から安楽死が提案されるほど末期症状だった寅次郎が自らの命に幕を引く姿は、私から見ると非常に気高く尊いものだったのです。


もし自分が居ない間に寅次郎が息を引き取っていたり、再入院せずに安楽死を選んでいたりしたら、今回のように命の尊厳に触れることは無かったと思います。


しかし、ほんの偶然とは言え予定が変更になって寅次郎の最後に立ち会えたのは、私がこれから進むべき道を後押ししてくれたようにも感じられました。

 

寅次郎との付き合いは僅か6か月ほどでしたが、いろいろな面で考えさせられることの多い6か月でした。

 

特に最終局面でもある安楽死については、5年間の保護猫活動を経験していても考えたことがなかったため、私にとってのターニングポイントになりました。

 

安楽死は辛い選択肢ですが、猫を好きだからこそ選ばなくてはいけない時がある。

それは頭の中では理解できていました。

 

でも、寅次郎のことが好きだから、少しでも長い時間を共に過ごしたい。

でも、自分のわがままで寅次郎を苦しませ続けたくはない。

でも、自然の摂理に反する死を与える権利が私にあるのだろうか。

でも、末期症状から寅次郎を解放するのは安楽死以外にない。

 

いくつもの「でも」が私の中で葛藤し続け、明確な答えを出すのは難しいことでした。

 

それは今でも変わらず、もし将来的に他の猫が寅次郎と同じ状況を迎えることになった際に私が最善の決断をできるかどうか、未だに自信はありません。

 

「生きて欲しいという願い」と「苦しみから解放してあげたい想い」が、「延命治療」と「安楽死」という二律背反になっていて、どうしても私の中ではっきりとした答えにならないのです。

 

ですが、私が好きな猫を救うために安楽死という選択肢を選ばなくてはいけない時が、きっとやってくるはずです。

 

そして、その時に後悔しないためにも、日々の猫との関わり合いには全力を尽くすべきだと思いを新たにしました。


このように寅次郎の看取りを通じて、私は保護猫活動の意味についても、改めて見つめ直すきっかけになりました。


これから先、何匹の猫を看取っていくことになるか分かりませんが、自分でできる限りのことをしていきたいと考えています。
 

※場所の特定を防ぐため画像の一部を加工しています。ご了承ください。

 

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