「カシューナッツ12帖演劇祭」実行委員の河野です。
いよいよ残り10日となってしまいました。
こういうご支援をいただくのは生まれて初めてのことばかりで、ただただ感謝の日々です。

 

 今日は、少し別の視点から書きたいと思います。

「元気になった頃に、演劇が変わらずある街でありたい」みたいなことを以前書きましたが、
私たち小劇場演劇はどんな場所でも演劇空間を作る仕事をしているので、あとは劇団員の事情さえゆるせば、まぁどこかしこで公演をしているわけです。県外にも行きますし、小さな使用できる会場でもやっております。

 

今、3ヶ月前の地震直後のことを思い返すと、
花習舎のある東区・健軍周辺は、やはりというか、真っ先に「自粛ムード」を感じたことは否めませんでした。近所の健軍商店街にオープンしたばかりのアートスペースも、頑張ればイベント開催できるけど、近隣の方の心情を考慮して…という話になったとも聞きました。

 

 8月〜9月くらいから、ボチボチと市内のいわゆる「劇場」が、再開しそうです。
そのために、各文化施設の職員さんが日々汗を流されていることを、私はとてもよく知っています。
 私自身も熊本の劇場職員のひとりです。
前震の翌日、気になって普段よりもずっと早めに劇場に出勤すると、出勤予定ではなかった職員も自宅の被害は後回しに出てきていて、我々はヘルメットを被りすぐに舞台の点検をしました。後でいろんな劇場の方に聞いても、どこのホールもそうだったそうです。それが仕事なので、当然と言えば当然ですが。職員さん方は舞台が好きな人ばかりで、自分の危険を顧みずに点検や作業をします。建築の専門家ではないので、地震後にどの壁が大丈夫なのか、どのキャットウォーク(高い場所にある細い足場)が安全なのかなんてわかりません。「自分が落ちたら、安全じゃなかった、ってことでよろしくお願いします」みたいなやり取りを僕らは何度したんだろう。みんな笑顔でしたけど。

自分たちで修理できるような軽微な損傷はいいんですが、建物の構造自体をやられてしまったところ、簡単に換えの利かない部品がダメになってしまったところ、観客を迎え入れる肝心な客席やロビーに大きなダメージを負ったところ…劇場ごとに、その被害は様々です。
また、劇場はその多くが公民館でもあります。つまり公共の施設であることが多い(熊本は民間ホールはさほど多くない地方です)。税金での修繕となると、いろいろと難しい問題は山積みです。人命が先だから支援物資や仮設住宅に財源は回すべきです。…そうなんですが、工期は延びるばかり…

 

一日も早く、劇場を開きたい。

 

そんな各劇場の職員さんの努力の末、劇場が再開します。

(4月15日、ホールのスライド式の窓をテープで応急処置した)

 


(熊本市内にある劇場の屋上から周囲を見た/被害の比較的多くない熊本市中央区でもまだまだブルーシートが見えます)

 

ようやく、一般の方の思うところの「演劇」が観られるようになるんじゃないかと思います。
実際は、地震のあった4月から現在7月下旬までに予定されていた劇場公演はことごとく中止になったり、急遽市外のホールに会場を移して行われたりしていました。
音楽やダンスの催事が怒濤のように、再開したホールで行われていくでしょう。

演劇は、制作に時間がかかる舞台芸術です。
1年前から制作がはじまっている作品があるとして、それが4〜7月上演予定だったとしたら、その公演は上記の通り、別の会場に移るか、あるいは中止になってしまいました。
「8月からホールが使えるようになる」という情報が出てきますと、それから演劇の製作は始まるでしょう。あるいは、もう制作開始している作品を、復興支援という名目で熊本会場をツアーに急遽組み込むみたいなことはひょっとしたら出来るのかもしれません。それでも、まぁ頑張ってもすぐにはたくさんの演劇は楽しめないかもです。
地震直後に、僕が個人的に懸念したこの「すぐに以前のような上演数にはならない」問題は、実際にその様相を見せています。必死で各劇場やプロモーターなどの関係者が熊本での上演を画策していることでしょう。それでもぼんやりと穴は開いてしまいました。仕方がないことです。

 

僕ら地方小劇場演劇界ができることは、これまでのように演劇活動をやっていくことです。
それは、僕ら自身でやっていきます。
どうかその周辺を、地域を、観客(の一部)を、ご支援いただければと思います。
よろしくお願い申し上げます。

 

河野ミチユキ

 

「あと10日!」

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