女子が「見えない弱者」になる前に。緊急支援基盤の強化を急げ。

ご支援いただいている皆さま、ありがとうございます。

今回は、ケア・インターナショナル ジャパンが過去に行ってきた緊急復興支援事業の紹介として、ネパールの事例を取り上げたいと思います。

 

ネパール地震被災者緊急支援事業

2015年4月25日、震源の深さ15km、マグニチュード7.8の地震が、首都カトマンズの北西、中国との国境の南に位置するネパールのラムジュン郡を襲いました。この大地震で、全国75郡のうち、カトマンズ渓谷のある西部及び中心部に位置する35の郡が被災しました。自治省によると、死者は8,604人にのぼり（5月18日時点）、負傷者は1万7,000人を超えたとの報告がありました（この死者数には、5月12日に発生した地震による148人の死者も含まれる）。また、全壊した家屋は48万8,789棟にのぼりました。

 

 

CAREは発災直後から被災地にスタッフを派遣し人道的ニーズに応えた支援を行いました。被害の大きかったゴルガ郡、ラムジュン郡等の地域で、食糧と生活物資の配布、緊急シェルターキットの提供、生活再建のための現金支給や妊産婦を対象とした緊急産科ケアサービス等の支援をしました。CAREは下位のカーストに属する世帯、社会的に周縁化された女性や女子、HIVエイズ感染者・患者、障がい者、子ども、高齢者等の災害の影響を受けやすい弱い立場に置かれた人々に確実に支援が届くように活動を展開しました。

 

この事業の目標は、「被災したコミュニティ（男性、女性、男子、女子）が緊急・復興活動をとおしてより安全な地域の再建を果たし、地域のレジリエンス（災害対応能力）を向上させる」ということでした。

 

そこで、CAREは支援期間を以下の３つの段階に分けました。

 

(1)緊急支援期（3ヶ月間：2015年4月～2015年7月）

震災直後は、最も脆弱性の高い人々に対して食糧、生活物資及び安全な飲料水の提供や、緊急シェルターの確保を行い、妊産婦に対して適切な産科ケアの確保を行いました。

(2)初期復興支援期（9ヶ月間：2015年7月～2016年4月）

その後、最も脆弱性の高い人々に対して、シェルターの自主再建支援、現金支給やマーケット研修等の生業支援、性差に基づく暴力を防止するための啓発活動を実施しました。

(3)中長期復興支援期（2年間：2016年4月～2018年4月）

 

 

ケア・インターナショナル ジャパンとしては、以下の活動より、延べ39,638世帯、196,125人の被災者に支援を届けることができました(2016年度事業報告書より)。

 

①     シェルター：138,776人

例）貯水や給水場などの整備による安全な水提供 8,594 世帯

②     水と衛生：128,513人

例）貯水や給水場などの整備による安全な水提供 8,594 世帯

③     食料・生計向上：109,396人

例）生活に最低限必要な現金支給 2,535 世帯

④     母子保健：13,605人

例） 出産に必要な医療器具等の提供 出産施設30ヵ所

⑤     ジェンダーに基づく暴力：39,348人

例）女性にやさしい居場所提供 3,209 人

 

上記の他にも、復興支援としてCARE は震災で崩壊した生計を立て直すための援助を行いました。ネパールの80%の人々は農業で生計を立てています。しかし、震源地に近い村落では、農地はもちろんのこと作物や種子など全てを失いました。そこでCAREはコミュニティに作物の種子を配布しました。いつもなら隣人から種子を借り、収穫したら同額分の作物を隣人に返礼しなければなりません。しかしCAREから受け取った種子は全て受益者の方のものになるため、収穫した分だけ収益に反映されます。そのため、こうしたCAREの支援は、被災者の自立支援及び生計向上という側面において大きく貢献するとともに、被災者の未来に希望を与えるものとなりました。

 

 

自然災害による被災者への被害は一時的なものではなく、被災者の生計をも崩壊させてしまうことから更なる生活への圧迫が生じ、長期的な被害を受けることになります。そのため、長期的な視点の持った継続的な支援が必要不可欠です。CAREはこうした支援をどの緊急復興支援にも取り入れて活動してきました。これからも、いつ起こるか分からない災害に対して迅速かつ中長期的な支援策を講じていけるよう尽力します。

そのためには皆さまの皆さまのご協力が必要です。ご支援のほど何卒よろしくお願い致します。