1932年、カナダ聖公会によって新生療養所が誕生しましたが、第二次世界大戦開始を受け、カナダ聖公会は日本から総引き上げを決定します。

 

戦時中の新生療養所は、金属供出で鉄製のベッドやドアノブまで失い、患者への栄養補給も満足にできない苦境にあいながら、職員たちの努力によって命脈を保っていました。結核にかかった海軍士官によってベッドが埋め尽くされた状態で、敗戦を迎えた療養所。そんなとき、カナダ聖公会から大量の食料が贈られました。これに職員一同は心を強くし、そこに込められた志を誠実に受け止めて、自分たちはそれをいっさい口にせず、患者たちに供したそうです。

 

 

食べることがままならなかった時代。栄養のある食事が必要だった患者たちに、このカナダからの食料は本当に励みになったことだと思います。戦後間もない1947年には、ミス・パウルをはじめ、カナダ聖公会の人々が再び小布施の町に戻ったことからも、彼らが戦時中もいかに新生療養所のことを気にかけてくれていたかがよくわかります。

 

(新生療養所の宿舎を背に立つミス・パウル)

 

 

「世界一のパン〜チェルシーバンズ物語」のルポパートには、こうした歴史がしっかりと記されています。豊かになった現代では、忘れてしまいそうな物語ですが、決して忘れてはならない物語です。

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