水がめが並んだタイトル写真にも記載している「あまみず社会」。

プロジェクト概要でも少し説明をしていますが、今回はもう少し詳しくお話をしたいと思います。

 

都市には、水害、渇水、地震時など被災時の水不足、河川環境の劣化など様々な水の問題があります。しかし、普段、このような問題を意識して生活している方はどれほどいらっしゃるでしょうか?

 

学校からも多くの水があふれる
左:学校のグランドは土だけれども水は浸透しづらい 右:雨水管から雨水があふれている

 

都市に雨が降ると、どうなるのでしょう。

まず水管理システムをみてみましょう。

 

分流式下水道

都市に雨が降ると、雨水桝や道路排水側溝を通り、速やかに雨水管や下水管に排出される仕組みとなっており、やがて川へ流出します。しかし、雨量が多いと、一気に大量の雨水が雨水管や川へ流れ込むことになり、雨水管の容量を超えるとマンホールから水が噴き出します。近年の気候変動によってこのような様子をしばしば目にします。

 

加えて、都市化によって雨水を浸透できる緑地や農地が減少し、川へ流出する量が多くなっています。

もともと、土壌には雨水を浸透させる力があります。

自然の森は1時間に200mmの雨を浸透させる力があるとされています。

しかし、都市はこのような浸透できる場所は減少しています。

また、上の写真のように、学校のグランドは土で、一見雨水をよく浸透させるように思われますが、締め固められた土は1時間に7mmしか浸透されないという結果もあります。つまり、100mmの大雨が降ると、そのうち、93mm分は流出してしまうということです。滝のようですね、恐ろしい!

 

都市の水の流れはすべて地下に潜っています。上水も、下水も、時には川も、地下を流れ、普段の生活の中であまり意識する機会は少なくなっています。水の循環を意識しづらい社会です。水害時や渇水時になると、急に水の問題が顕在化し、驚くことになります。

どんどん水空間は無機質化し、緑や生物を減少させ、水への愛着をさらに失わせるという悪循環を生んでいます。

 

私たちは都市の水問題を解決するための都市ビジョンとして「あまみず社会」の考え方をプロジェクトを通して示したいと思っています。

 

あまみず社会

 

色々な場所で雨水を貯留し、浸透させる。屋根に降った水はいったん貯留し、トイレの水、植物への散水、車の洗浄などに使う。地震時など緊急時に上水道が止まった時の緊急用水として使う。利水システムの自立と分散です。

これらは、都市の景観向上、生物多様性の保持、河川の水質改善、健康の増進など都市の環境や価値の向上に寄与することができると思います。

 

また、あまみずを貯めて使う、雨を浸透させる植栽空間(雨庭)をつくる過程で多くの人がかかわりを持ち、有機的で持続的な社会がつくれると思っています。

そのような社会を「あまみず社会」と呼んでいます。

気象の激化が進み、人口も減少する中、重要な都市ビジョンだと考えています。

島谷研究室 田浦

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