登別にも雪が積もりました！…その時クマは…

　11月27日、日に日に寒さが厳しくなっていく北海道で、のぼりべつクマ牧場にもついにまとまった雪が降り積もりました。まだ積雪20cmといったところですが、雪が降るとクマたちはどんな反応を見せてくれるのでしょうか。

 

　野生のヒグマでは「冬眠（冬ごもり）」の生態が良く知られています。のぼりべつクマ牧場で飼育しているクマたちも、秋には皆の体格が良くなり丸々と太って、毛はふわっふわのモコモコの姿になっていきます。そして、気温の低下とともに動きがゆっくりになり、寝る時間が増えていきます。なかには、野生ヒグマの冬眠と同じように２か月ほど飲まず食わずでぐっすりと寝ているクマもいます。

 

　しかし、皆がそうなるわけではありません。寝たいクマもいれば、遊びたいクマ、ダラダラしたいクマと、餌資源が確保された飼育環境ではクマによって冬の過ごし方も様々です。のぼりべつクマ牧場では、それぞれのクマが望む環境を整えるべく、可能な限り個々のクマに合わせて飼育管理を調整しています。

 

　特に若いクマたちは分かりやすく遊びたがりです。雪が降った日には、「はしゃぐ」という言葉がとても似合います。雪の中に顔をつっこんだり、雪を蹴散らしながら追いかけっこをしたり、雪を食べて遊んだりとまるでにぎやかな運動会のようです。冬眠の生態で知られるヒグマですが、「冬は眠くなってきて…」という感じはなく「疲れたから寝るよ！」というようなまさに人間の子供のような過ごし方をします。

 

　お年寄りのおじいちゃん、おばあちゃんクマたちは、分かりやすく寝たがりです。消防ホースのハンモックやワラの中でスヤスヤと皆で集まって寝ています。ヒグマの正常な冬眠期の変化として呼吸数も低下してくるため、観察時には少しドキドキしてしまいます。
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　また、雪はエンリッチメントとの相性も抜群です。コンクリートの飼育場ではありますが、雪が降り積もるとクマは地面の雪を掘ることもできるようになります。また、雪の中に餌を入れて隠した「雪まんじゅう」を無限にプレゼントすることもできます。

 

　餌資源が確保された安全な環境では、必ずしも「冬眠」だけがクマたちの選択肢ではなくなるようです。ヒグマが餌資源に乏しくなる冬に冬眠するというのは、厳しい環境を生き抜くための超絶な適応能力であり、この能力はいざという時に発揮されるスゴ技だというのを改めて感じさせてくれます。やはりクマたちの適応能力はすごいですね。

 

季節や状況によって変わっていくクマの個々のニーズに合わせた管理ができるように頑張っていきたいと思います。引き続き、応援何卒宜しくお願い致します！

 

※最後に、少しマニアックな話ですが、雪が積もると尿の色が簡単に分かるようになります。腎臓の異常などが分かる貴重な尿の色調。冬は確認しやすくなる重要な季節でもあります。