師匠【アディ・バーデンホースト】

ワインビストロを渋谷区神泉で経営していましたが、『もっとワインを知りたい。ブドウ畑で働いてみたい。』という思いが強くなり店を閉め、その秋にはヨーロッパ各地、そして南アフリカを訪れました。

 

南アフリカワイン発祥の地コンスタンシア、ワイン産業をけん引するステレンボッシュ、そして世界がもっとも注目する産地として名高いスワートランドを訪れました。

 

そこで出会ったのが、アディ・バーデンホーストです。南アフリカワインの今の象徴的スワートランド・レボリューションの立役者であり、スワートランド・インディペンデント・プロデューサーズを、数人の仲間たちと立ち上げた張本人。そんな雲の上の存在。

 

アポイントを取り、ワイナリーを訪れた時のことは今でも忘れません。忘れることができません。

 

※2016年秋、僕が初めてアディを訪れた時に撮った写真

 

開口一番に『日本人が何しに来た？！』と。

僕はなぜか「ワインが造りたい……」と、口にしていました。

 

そしてブドウ畑を見ながらコーヒーを飲み、たわいもない話をしたら、『収穫は1月中旬からだからな！』と、握手をし去っていくアディ。

 

テイスティングは？ワインの説明とかは？、そういうの期待してきたんだけど……。

滞在時間数分。俺ここに何しに来たんだ。

帰りの車を運転しながら、狐につままれた？この話は本当か？ワインってそんな簡単に造らせてもらえるの？

何が何だか、ひたすら自問自答。

 

でも、『もし本当なら、こんなチャンスはない！』と思い、次の瞬間にはアディに電話していました。

 

「本気なら、待ってるから来いよ」

 

この言葉は、今もこれからも僕の宝物です。

 

100年以上前に建てられたA.A. Badenhorst Family Winesのセラー