3月23日、プッチーニ《ラ・ボエーム》公演にご来場いただいた皆様、そして本クラウドファンディングにてご支援いただいている皆様に、この場を借りまして改めて感謝申し上げます。

 

 昨年3月に指揮の澤村くんに「ボエームをやろう!」と声を掛けてもらってから、あっという間の1年。制作代表の市川さんを含め3人で動きだしたこのプロジェクトも、気づけば100人越えの大所帯になっていました。大学卒業という節目に、人生2度目の演出でこの大作を、これだけ大きな規模でやらせていただけたことが、今でもまだ夢のようです。「演出」というには不慣れで実力不足すぎる自分を、澤村くん、市川さんはじめ本当に沢山の方々に支えていただきました。

 

 

 プログラムにも書きましたが、本オペラに登場するボヘミアン仲間たちには、「自分がこの世界の主人公なんだ。」「いつかきっと成功する。」、ざっくり言うと「私は(私たちは)特別。」というふわふわした感覚が心の奥底にあります。このオペラは単なるセンチメンタルな恋物語ではなく、「私は特別。」という感覚が現実にさらされる、とてもシビアな物語という側面を持っています。

 

 そして、そんなシビアな物語を、実は私たちの誰もが共有しているからこそ、《ラ・ボエーム》は心に響くんだと思います。自分はこの現実社会のなかで、ほんの脇役に過ぎないんじゃないかという焦燥感や、絶えずつきまとう生活の不安。特に、卒業を迎え改めて「現実」に向き合うことになったこの時期、この物語はとても「リアル」なものでした。そんな「リアル」に取り組んでいくうえで、ボヘミアン仲間たちを通して、「芸術」が「私は特別。」という感覚の拠り所になること、そして「芸術」によって「現実」に向き合えることを実感することができました。終演後のロビーで、仕事で忙しいなか来てくれた同い年の友人に「このオペラ観られて、なんだか私も特別なんだって思い直せたよ。」と言ってもらえたこと、きっといつまでも忘れません。

 

 

 いま、ここで、このメンバーと、この作品ができたこと、この先ボエームに触れるたびに、卒業アルバムを見るような気分になるんだと思います。それだけ本当に「特別」な公演でした。ご支援頂いた御礼に、この卒業アルバムを少しでも皆様と共有させていただければ、これほど嬉しいことはありません。本クラウドファンディングも残りわずかの期間となりましたが、今後とも温かいご支援をどうぞよろしくお願い致します。   演出 角直之

 

※ボヘミアン:芸術家や作家など、世間の慣習や伝統にとらわれず自由に生活する人々のこと。

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