大規模火災が起きたセブ島スラム街に2千人の命をつなぐ道路を

火事発生10日後。

被災地である不法居住地の中央部は、まだまだ瓦礫でいっぱいでした。

 瓦礫の中にはガラス瓶の破片や古釘なども混在しており、スニーカーを履いている私たちでさえまともに歩けないようなところです。

 

支給したブルーシートが少しでも役に立っているようです。

 

 

壁に赤いペンキでBangon Paradiseと書かれています。Bangonはセブの言葉で【再建】という意味で、Paradiseはこの地区の名前です。パラダイスが一夜にして地獄と化してしまったわけですが、住民はまたここに住み続けるしかありません。

 

対岸にはオイルの貯蔵施設、そしてきれいな海が広がっているのが対照的で、涙無くしてこの光景を見ることはできませんでした。

手前のブルーシートの建物は、元チャペルのあった場所です。たまたま誰もおらず、中のものは何一つ持ち出すことが出来なかったと、年老いた神父様が目に涙をいっぱい溜めて思いの丈を語ってくれました。とてもカメラを向けられる状況ではありませんでした。彼は10年以上前からこの地区に通いながら少しずつ廃材や信者のわずかな寄付でチャペルをやっと完成させたそうです。

 

 もう料理をすることもないであろうキッチンの残骸が痛々しい光景もありました。

海に突き出た最先端の小屋はかろうじて残っていましたが、そこへ続く竹の小さな橋は途中で焼け落ちていました。この時、小屋には年老いた夫婦がいたそうですが、逃げることもままならず火災が鎮火するまでずっと肩を寄せ合い絶えていたとのこと。その恐怖は到底想像しがたいものです。幸いケガもせず今は避難所で暮らしているとのことです。

 

今回、プロジェクトの依頼をした、ここの地区を含め、バランガイ(フィリピンの最小行政地区)を統括しているチャン氏です。この日は彼と一緒に被災地全体を周り、どこに道路を建設するか、予算をどのくらいずつ出し合うかなどの相談をすることが出来ました。

 

こんなに大変で怖い思いをしたのに、子供たちは元気でした。人懐っこく私のそばに寄ってきて、「写真撮って！」と何度もせがんできました。みんな屈託のない笑顔の素敵な子供たち。とても貧困エリアで生まれ育ったようには思えない子供たちばかりでした。

わずかばかりのお菓子と衣類を持参したら、元気いっぱいのサンキューをもらいました。

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