プロジェクト、無事終了いたしました!
ご報告遅くなりましたが、セロ・ウァチパ ペルー公演プロジェクト、無事に終了しましたことをご報告します。
リマ訪問は短い期間でしたが、とても中身の濃いものとなりました。ご支援いただき、本当にありがとうございました。
以下は、現地を訪問したすずきこーたからの報告です。
============================
Cerro Huachipa en Lima 2019 活動報告
2019年3月、私たちはペルーのリマを 訪れました。
最初に私たちはリマ市北部に位置するwarmi huasiを訪ねました。ここはメンバーの池田セサルの娘の大学時代の友人が働く、児童のための施設です。リマは、貧しい人たちは山の斜面にどんどん家を自分たちで建てていきます。この地区も同様で、父親と同居せず母子だけで暮らす家庭が多い地域です。
自分たちで新しく家を建てていくため、公立の学校などの整備が追いついていません。キリスト教系の学校はありますが、十分とは言えません。warmi huasiは児童養護施設というか、地域の学校や学童のような側面も持った施設です。家を失った人や、ここを訪れた人たちのためのベッドルームや、図書室も併設しています。
まず「漂流者たち」という2003年に創った演劇を上演しました。嵐に巻き込まれて難破した船から無人島にたどり 着いた、ペルー人と日本人の物語です。互いに言葉は通じ ませんが、島を巡って争いが起ります。島を半分に区切っ て、その線を「国境」といい、相手に入ってこさせない、 飲み水を掘り当てたペルー人に、無人島では使えないお金 を渡して水を分けてもらおうとする、釣った魚の所有権を争ったり、貝をみつけた土地を、これまた使えないクレジットカードで買おうとしたりします。コミカルですが、小さ い子どもたちも「分け合うと良いのではないか」という意見を言ってくれました。
2つめは「リマのドン・キホーテ」を上演しました。この作品は、2ヶ所目に訪れるMANTHOCという、働く子ども たちの団体で上演するために主には創りました。最初はドン・キホーテのオリジナルの作品にそって進みますが、リ マで働く少年から搾取する物語に変わっていきます。少し難しいかもしれないかと思いましたが、子どもたちは真剣 に見てくれました。
子どもたちに劇中に参加してもらう場面があるのですが、「自分もやりたい!」と多くの子どもたちが参加してくれました。大人が子どもを殴る場面があるのですが、その場面に なったときに、会場が静まり返ってしまったのがとても 印象的でした。そして「暴力はいけない」という言葉を 多くの子どもたちが繰り返し言っていました。暴力的な ことに対して子どもたちは敏感だったのでしょう。施設 のスタッフは、フラッシュバックを起こすようなことではなく、演劇として理解していたし、私たちのメッセージは伝わったのではないかとおっしゃって下さいました。
次に訪れたのは、MANTHOCという働く子どもたちの 権利を守る団体です。「子どもは働かないで学校で勉強 しろ」というのは簡単だが、自分たちも働かないと死んでしまう。働かずに勉強しろと言うのは実情に合っていない。それよりも働く子どもたちから搾取するのをやめてほしいと訴えています。支える大人たちはいますが、 子どもたち自身の手で運営されていて(16歳になると卒業になります)、代表も毎年選挙で決めているそうです。 立候補する人が何故自分が立候補するのかを話すのは勿論ですが、選挙権を持つ何人かの代表者たち(主に何年 もMANTHOCで活動している子どもたち)も、なぜその人に投票しようと思うのかという意見を述べてから投票をするそうです。
ここでは毎日昼食を格安で提供しています。子どもは 1.5ソル(50円位)、大人は3ソル(100円位)で提供しているのですが、その昼食の前に演劇を見てもらおうと いうものでした。
まず「リマのドン・キホーテ」を上演しましたが、さすがに日頃から考えているだけあって、「子どもを殴ってしまう大人が悪い」「大人を騙した雇い主が悪い」「飢えが悪い」「このようなシステムが悪い」というような 意見が活発に出てきました。
実は道が非常に混んでいたため、1時間近く遅れてしま いました。しかしもう一つぜひ見たいというので「漂流者たち」も上演しました。こちらの方も非常に楽しんで見て くれました。
上演後、子どもたちと一緒に食事をしましたが、食べた後は自分で食器を洗ったり、その後会議をしたり と、自主的な運営の一部を見ることができました。
最後に訪れたのは、Teatro Arena y Esterasという劇場で す。アテンドして下さった写真家の義井豊さんが、 MANTHOCの子どもたちと一緒に訪れたのがきっかけで、 私たちに紹介して下さいました。
砂漠だった場所に自主運営の町を作ったのが始まりだそうです。雨 の少ないリマでは、家を造ると言うときも壁からつくり、 貧しい人たちは特に屋根は後から付けることもあるそうです。Arena(砂)とEsteras(よしず・マット)というのは、そのような地区の子どもたちにも文化的なことに親しんでもらおうと創られたそうです。演劇はもちろんですが、サーカスなども多く行われているそうです。
この劇場も、横の家を買い足すなどして、段々と大きくなっていったそうです。ペルーや他の国の人たちにも来てほしくて、食堂や稽古場、ミーティングルームなども併設しています。
普段は分からないのですが、私たちの上演の時は無料で、どんな子どもも気軽に来てもらえるような雰囲気が町にあり、町の放送でも公演のことを流してくれました。
大人も子どもも一緒に見てくれて、また、劇の途中から応援というか意見を出してくれて、上演している私たちにも力を与えてくれ ました。
終わった後に、 リマのドン・キホー テはもちろんだが、15 年前につくった漂流者たちは、全然古くない、今の私たちの問題だ、と言って下さった保護者の方がいました。演劇は、見て終わりではなく、そこから議論が始まったり、その後の生活を考え直すきっかけにもなってくれるものだと改めて思いました。
リーターンのお土産ですが、ポストカードは、Teatro Arena y Esterasのものです。劇場や関わった子どもたちの写真を使ったポストカードです。ミサンガは、MANTHOCの子どもたちが手づくりし たものです。サイフ(小銭入れ)は、お土産屋さんでお手伝いをし ていた子どもたちから買いました。働く子どもといっても、自分たちで誰かに雇われてお金を得ている場合もありますが、親の手伝い で商売をするということが多いようです。
リマの「ペルー新報」という日系人のための新聞にも、私たちのことが載りま した。公演の時には残念ながら取材には来ていただけませんでしたが、日本からペルー に移民していった人たち、その子どもや孫にあたる方たちには知っていただけたよう です。
この報告書に載せている写真を撮って下さり、MANTHOC、Teatro Arena y Esterasを紹介して下さった写真家の義井豊さんが「ペ ルーにある問題を扱っている演劇で、次回は日本人協会などでも上演すると良いと思います」と言って下さいました。 いつになるかは未定ですが、 今回は参加できなかったメンバーとともに、再びペルーで演劇を 通した交流をしたいと思っています。
【収支報告】
<収入>
クラウドファンディング ¥255,000
<支出>
各団体への寄付 計 ¥81,500
現地滞在費
(ポケットwif、現地お礼等) ¥19,644
海外保険 ¥8,520
リターンお土産
(ミサンガ 、ポストカード、サイフ)
¥20,720
リターン送料 ¥5,000
ready for手数料 ¥33,048
稽古場代 ¥3,000
旅費の一部 ¥83,568
計 225,000
【報告会とリターンの発送について】
●報告会
2019年5月6日 世田谷区烏山区民センター3階 第4会議室
http://www.city.setagaya.lg.jp/shisetsu/1202/1235/d00004109.html
13:00~16:00(予定)
リマでの上演風景など、ビデオで観ていただき、プロジェクトのお礼とご報告をさせていただきます。クラウドにご支援いただいた方には、リターンの品を手渡しさせていただきます。
●リターン発送
報告会にお出でいただけなかった方には、のちほど郵送などでお送りいたします。だいたい5月中を予定しています。