そして私は、    作:新(あら) 器量
                        
この物語は、第五福竜丸事件のドキュメントを元にし、自らも福竜丸の
乗組員であった佐吉(架空の人物)の平和への願いの物語です。後戻りの
できない原子力の時代に、佐吉の目を通して皆で平和を考える為の物語です。
第1章「荒祭り」
ヤレキター!の声に祭りの神輿が大きく煽(あお)られる。照りつける太陽を潮風が横凪にし、担ぎ手の体から汗が散る。28歳の海で鍛えられた筋肉は、太陽の光を浴びて赤銅色(しゃくどういろ)に輝いている。8月の半ば、焼津荒祭りの神輿の担ぎ手である佐吉は、身を清めるための白装束をまとい屈強の男達と共にいた。今年もまた、妻のみすすずは佐吉のその姿を、取り囲む群衆の中から嬉しそうに見つめていた。「アンエーットン アンエーットン!」のかけ声と共に、神輿は大きくうねりを見せる。 
                 ~荒祭り~    
 1、男神輿(おとこみこし)が うねりを見せりゃ 浜の若衆に 汗の華
       今日は吉日 東海荒祭り 真夏の陽射しに 潮風吹けば  男人情ひとすじに

     2、女神輿(おんなみこし)に心をかさね 高草山に 駿河の海に
       神よおわせと 御神子(いちこ)がいのる 
この日良き日に すべての人の世に  女純情ひとすじに

「愛吉(あいきっ)さ~ン、正月開けのマグロ漁はまた一緒だなあーぇ。愛吉さんが一緒にいてくれりやぁーな、今度(こんだ)も大漁間違いねぇだ。ちいせえ時っから海のこたぁ、何でも教わってきたし、愛吉(あいきっ)さんと一緒なら、俺あ(おらぁ)安心して船に乗ってられらーぇ。これっからもよろしくたのまあーぇなぁー」。39歳になった愛吉は答える「おう!ほうだなぁ。佐吉、お前(おめぇ)もはあ一人前(めぇ)の漁師じやぁねーか。一緒に頑張らざぁー。楽しみだぁなあーぇ」。
そして佐吉は遠くのうみを見つめるように嬉しそうに言う、「日本中みんなが腹(はらぁ)空(す)かいて、「たんぱく質がたりねぇよ」なぁんてぇなのが流行り言葉になるくれえだで、俺(おらん)大漁の魚もってきてな、みんなに栄養つけてもらわにゃ~ン」・・・・・続く、

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