遺歌集『ニューヨークの唇』について

応援ありがとうございます！

達成率50％を越えました。

蝦名泰洋さんは歌人でもあります。

遺歌集『ニューヨークの唇』は、死後、クラウドファンディングで資金を募り、去年刊行することができました。応援くださった方も多いと思います。本当にありがとうございました。

蝦名さん自身が、末期がんの痛みと闘いながら、「ニューヨークの唇」180首をまとめ終えたのは、亡くなる1か月前でした。ほかに生前唯一の歌集『イーハトーブ喪失』（1993年）、野樹との短歌両吟から選歌構成した「カンパネルラ」を収めています。
ほかに、蝦名さんの短歌観を伝える書簡も収録。曰く。

「詩でないものは短歌ではないのであり、詩への憧れをもっていない短歌は、まちがっている短歌より罪は重い」等。

詩への憧れ。蝦名さんの詩と短歌に流れる、清冽な何かです。

「ニューヨークの唇」の冒頭の一首。

　・月を追う途中の子どもにあいさつをさよならみたいな青いハローを

帯の5首

　・落ちている海かと思うあおむけの君がまぶたをひらいた瞳

　・抱きあげるするとわたしも何者かに抱きあげられていることを知る

　・夕焼けがより濃い席で答えなき答えあわせを待つ女の子

　・この鍵はどこのドアにも合わないが永久があるから失くしたくない

　・全校の運動会に人が消えひとりで踊るオクラホマミキサー

「この鍵は」「全校の」は最晩年、亡くなる数か月前の歌です。

『ニューヨークの唇』歌集評から