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被災した人たちへ、楽しい思い出を写真集にして配布したい

智田邦徳

智田邦徳

被災した人たちへ、楽しい思い出を写真集にして配布したい
支援総額
692,000

目標 610,000円

支援者
61人
残り
終了しました
プロジェクトは成立しました!
3お気に入り登録3人がお気に入りしています

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2015年11月20日 08:41

「糸」中島みゆき

 INTERMEZZOでも書きましたが、有名漫画家の西原理恵子さんがご自身のブログで「被災地では手芸活動を行う仮設住民がたくさんいて、材料を欲している」と取り上げてくれたのを契機に、我が家に全国から大量の(部屋が埋まるほどの)段ボール箱が送られてきて、一年半をかけて中身の手芸用品を仕分けしながら、細々と仮設へ運んでいた時期がありました。細々、と言っても一度に運びこむ量は結構なものでした。自宅で趣味の手芸を嗜んでいる人、カーテンやテーブルクロスなど生活必需品として作成したい人、とにかく配付されている支援物資はもらっておこう!というたくましい人が、我々の来訪を待って自分の欲するアイテムを物色し、持ち帰っていました。配付はあくまで音楽療法のついで、という位置づけを自分の中にしていたので、大抵は音楽療法の活動前にそのような時間を設けて、配付を終えたらすぐに音楽療法の活動を開始しました。物資目当ての人はさっさと自室に戻り活動には参加しませんでした。

 

「私、ミサンガを作っているんです」

 

 そう言って活動後に残った女性は、我々の後片付けを手伝いながら小声で話しかけてきました。私と同世代くらいの小柄な方で、高齢の参加者に混じって楽しそうに歌を歌っている姿が印象的でした。事前に行う手芸用品の配付では、自ら手を伸ばさず、そこにいる誰がどんな手芸を行っていて、何を欲しているのかを的確に判断し、配付を上手に進行する手伝いをしてくれました。自分は何も欲しく無い人なのかな?と怪訝に思っていたので、私はいつも助けてもらっている御礼に、次回の訪問時にはミサンガの材料を見繕って運びます、と約束しました。

 

「すいません、何だか結局一番図々しいこと言ってしまって。でもよろしくお願いします、楽しみにしています」

 

 駐車場から我々の車が走り出すのを、飼っている老犬(歩行がもうおぼつかないようでした)を傍らに従えて、手を振りながら毎回見送ってくれました。

 

 私は盛岡市に戻ってから、ミサンガの材料であるヘンプ(麻)糸を探しましたが、何個も段ボール箱を開封してやっと十数本が見つかる程度でした。これだと足りないんじゃないかなあ、と心配していたのですが、仕事先である病院の作業療法士さんによれば、ミサンガの材料はヘンプに限定しているわけではない、刺繍糸でも遜色はないとのことでした。刺繍糸なら、お店が開けるほど大量にあったので、ミサンガの材料用に袋詰をしました。

 

 翌月の訪問日、彼女は集会所で数名の子どもたちを一緒にミサンガを作っていました。彼女の子どもではなく、放課後どこにも遊び場が無い子どもたちを自発的に預かって、面倒を一人で見ていると言われました。子どもたちは皆、彼女を心から慕っている様子でしたが、活動時間の直前になって他の大人たちが入ってくると、急に顔色を変えてそそくさと集会所を出ていきました。その女性も、さっきまでの穏やかな顔とはうって変わって、強張った表情で無口になりました。

 

「歌の先生、今日は何を持ってきてくれたの」

 

 私の来訪を知った皆さんは、まず運び込んだダンボールの近くに集まり、めいめい物色し始めました。荷物の配付を喜んでくれるのは私も嬉しかったのですが、反面ちょっとマズイかもしれない‥という危惧がありました。音楽療法の支援として震災直後から入っていた私は、他のサロンと違ってお茶もお菓子も提供せず、生活用品の配付も長らく行って来なかったのですが、それは参加する皆さんに提供するのはあくまで歌と体操を通した憩いの時間のみ、というコンセプトを遵守していたからです。私の来訪イコール、何かもらえるかもしれないという図式は、将来的に物資を持たずに来訪した際の失望や怒りに変わるかもしれないのです。一度きちんと、これは副次的で暫定的な配付であること、主たる目的は音楽療法であることを皆さんに説明すべきだと思いました。

 

「もし良かったら、皆さんが取り組んでいる手芸の種類や、必要な材料を細かく教えていただけませんか?」

 

 段ボール箱の真ん前に陣取っていた数名の方に、私は問いかけてみました。

 

「何で?」

 

 一番年配の方が怪訝そうな顔で私を見ました。

 

「これ、被災地の人向けに集まったものでしょう。別にそんなこと言わなくても、もらっていって良いんじゃないの?面倒くさいこと言うわね」

 

「確かに、送られてきた物資はたくさんありますが、出来れば細かく誰が何を作っていて、何が足りないとか、ニーズに合った配付を行いたいんです。送ってくださった方の気持ちも考えて。例えば、あそこの女性はミサンガを作っていて‥」

 
私がそう口走った途端、ミサンガの女性は険しい顔をして私に向かって首を振りました。声には出さず、唇だけを動かして何かを訴えています。

 

“お願いだから、私を引き合いに出さないで!”

 

 それを見た私は言葉を失い、黙りこみました。他の人たちはじっと私の顔を見た後、何事も無かったように段ボール箱の前から離れ、大半は集会所を出て自室に戻り、数名は用意した椅子に座ってその後活動に参加しました。ミサンガの女性は固まったまま、部屋の隅っこでうつむいたままでした。

 

 一週間後、私の携帯電話にミサンガの女性からショートメールが届きました。

 

“先日はごめんなさい、私のせいで変な空気になってしまいましたね”

 

 私は急いで返事を送りました。

 

“いえいえ、気にしないで下さい。私の方も色々と不用意なことを言って、かえって申し訳無かったです。また刺繍糸を持っておじゃましますね”

 

 この出来事以来、私は仮設で手芸用品以外の支援物資(タオルなどの生活用品や文房具、衣類など)を住人の皆さんに配付する際は均等に袋に入れて平等な配分を心がけるようにしました。被災地の皆さんが喜ぶための物資が原因で、逆に関係性がぎくしゃくしては本末転倒だと思ったからです。しかし、スマートな渡し方にたどりつくまでには、何度も紆余曲折があり、細かいトラブルや失敗を繰り返しました。

 

 ある日、同じ仮設に支援のイベントで入っている方と偶然お会いする機会があり、お互いの活動についてのやりとりをしていた時、ミサンガの女性についての話題が出ました。

 

「実はその方、我々も気になっていたんです。イベントの際は住人の方にまんべんなく告知をして、活動前には戸別訪問などもしていたのですが、ミサンガの女性は頑なに拒絶し続けていたので。でも、噂によると音楽療法にだけは参加するってうかがっていたんです」

 

 私はミサンガの女性が何故、他のイベントを拒絶していたのかを、その方から詳しく聞きました。
(続く)

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リターン

3,000

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①お礼状(ポストカード)

支援者
31人
在庫数
制限なし
発送予定
2016年2月

10,000

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①お礼状(ポストカード)

②写真集1冊

③当法人ホームページへお名前の記載
(掲載を希望されない場合はご連絡下さい)

支援者
20人
在庫数
制限なし
発送予定
2016年2月

30,000

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①お礼状(ポストカード)

②写真集1冊

③「三陸ことば絵本」1冊

④オリジナルエコバッグ1枚

⑤当法人ホームページへお名前の記載
(掲載を希望されない場合はご連絡下さい)

⑥仮設住民がヘンプもしくは刺繍糸で編んだミサンガ、フクロウなどのマスコット、布製小物など5点セット
(色や模様、種類は在庫により変更がございます、あらかじめご了承ください。)

支援者
8人
在庫数
2
発送予定
2016年2月

50,000

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①お礼状(ポストカード)

②写真集1冊

③「三陸ことば絵本」1冊

④オリジナルエコバッグ1枚

⑤当法人ホームページへお名前の記載
(掲載を希望されない場合はご連絡下さい)

⑥仮設住民がヘンプもしくは刺繍糸で編んだミサンガ、フクロウなどのマスコット、布製小物など5点セット
(色や模様、種類は在庫により変更がございます、あらかじめご了承ください。)


⑦仮設住民と一緒に「歌と体操のサロン」体験にご招待
(2016年9月まで有効、現地までの交通費は自己負担となります)

支援者
3人
在庫数
完売
発送予定
2016年2月

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