認定NPO法人 野生生物保全論研究会、事務局長の鈴木希理恵です。

 

絶滅のおそれのある野生生物と消費の関係は、直接利用する場合と、商品を通じて間接的に悪い影響を与えてしまう場合の二つに分けられます。


直接利用の例としてウナギが挙げられます。ニホンウナギは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストと、日本の環境省のレッドリストの両方で絶滅危惧種に指定されています。かば焼きとして売られている多くのウナギは養殖ですが、養殖に使う稚魚は海から捕ってきています。そして日本でとれるウナギの稚魚だけでは足りないので輸入をしています。

それにもかかわらず、スーパーで山積みにして売られているかば焼きが売れ残り、大量に処分されていることが、国際環境NGOグリーンピースの大手スーパーへのアンケート調査で明らかになりました。

さらに日本の河口で捕っているウナギの稚魚の中には、漁業者が必要な届け出をしていなかったり、暴力団が資金源にするために関わっていたりするものがあります。また輸入の多くは香港からですが、香港にはウナギの稚魚が捕れる川がなく、台湾からの密輸が疑われています。このような違法取引には、人身売買や違法薬物の売買なども行っている国際犯罪組織が関わっているといわれています。つまり、素性の明らかではないウナギを食べることは「犯罪組織を食べて応援」してしまうことになるのです。

現状では「確実に違法ではないウナギ」を消費者が選んで買うことは難しいのですが、企業の中には調達を見直し、持続可能な漁業によるウナギに切り替えていこうとする動きがあります。
「企業のエシカル通信簿」はこのような絶滅危惧種に配慮する企業の動きを応援する働きがあります。今年度は外食産業を調査します。

(図 日本のシラスウナギの輸入 『ニホンウナギの生息状況と日本におけるウナギ養殖・販売の現状』より

 

次に間接的な悪影響の例として、携帯電話に使われるレアメタルのタンタルが挙げられます。タンタルは、アフリカ中央部の紛争が続くコンゴ民主共和国が多くを産出しています。今年のノーベル平和賞は、戦時下の性暴力との闘いが評価され、コンゴ民主共和国のムクウェゲ医師が受賞しました。この国の武装組織の資金源の一つがタンタルです。タンタルの鉱山はゴリラの生息地にあり、鉱夫が野生動物を食料とし、ときにはゴリラも食用にします。森の木の実を食べる動物は糞と一緒に種をまき散らし、新たな芽生えに重要な役割を果たしています。これらの動物がいなくなると森を構成する木の種類が変わってしまいます。またゴリラが生息するヴィルンガ国立公園は、レンジャーの殺害や観光客の誘拐事件があったため来年1月まで閉鎖され、観光による収入が断たれています。

もし、武装組織が支配する鉱物を買わなければ、人間も自然も傷つけている武装組織の弱体化につながるでしょう。そのために紛争に関与するリスクのある鉱物の調達を避けたり、修理やリサイクルがしやすい製品を開発したりなど、企業ができることがあります。
 

今年の「企業のエシカル通信簿」では、家電業界も調査します。ぜひご支援をお願いします。


また10月25日(木)は19:00-20:30に、東京・青山にある国連大学ビル1階の「地球環境パートナーシッププラザ」で、「ワシント条約(絶滅のおそれのある動植物種の国際取引に関する条約)常設委員会 参加報告会」を開催します。当日でもご参加いただけます。詳しくはこちら

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