レジェンド－テツ君の思い出

 

セイカーハヤブサ　「テツ」君

 

富士花鳥園がバード部門を作り、バードショー開催に着手したのは1998年頃でした。そして20年以上の時を経るうち、スタッフと苦楽を共にし、数々のレジェンドとなった鳥たちがいました。このクラウドファンディングの機会を借りて、彼らのことをお伝えしたいと思います。記事は、テツ君の長年のパートナーであった宮本正明副園長が書いてくれました。

 

＜セイカーハヤブサ「テツ」君　♂＞

２００７年来園、ショーデビュー。

名前の由来は人の手に止まることが好きで、スタッフが「手っちゃん」と呼んでいたことから。初期調教の猛禽は人の手を怖がるが、テツ君は他の子より早く手になれる事が出来た。

ショーではルアーに猛然と襲い掛かる優秀なハヤブサ。

見た目は黒いつぶらな瞳に小ぶりな嘴、どこか優しげで幼い表情。

 

スタッフから見えにくいように、太陽を背に急降下して目くらましをしたり、背の高い植物の陰に隠れるように飛んできたり、敢えてスピードを抑えて近づいて直前にスピードを一気に上げてきたりと、頭脳プレイが得意。

スタッフにとってテツ君とのショーは毎日が真剣勝負。一瞬でも気を緩めると次の瞬間ルアーを仕留められてしまう。

 

 

＜テツ君との思い出＞

トレーニングを開始した当初は、何度か園外に逃走。

その日のうちに見つけられない場合、捜索は翌日に持ち越し。

夜の間に野生動物に食べられていないことを願いつつ、夜明けとともに捜索を再開。

発信機の電波を頼りに森の中を歩き、ついに見つけた時に少しだけホッとする。

直ぐに回収できるわけではなくテツ君がカラスに追われて場所を移動することも珍しくない。

ようやくテツ君が無事戻ってきた時の安堵感は言葉では言い表せない。

 

お昼休憩には毎日ルアーパスの素振りを行った。テツ君が飛んでくるのをイメージしながらこの後行うショーの風向きを考慮しつつ、本番のつもりで練習した。

その甲斐あってかテツ君と私のタイミングが徐々に合うようになった。

テツ君は遠慮なくフェイントを入れてくるが、自分もテツ君もなんとなくお互いの動きが予測できるようになったのではないかと思う。

 

歳を重ねるごとに安定した飛びを見せてくれるテツ君。

でも、飛び方が安定しなくなったきた時、初めて老いを感じた。

 

2018年永眠。もう少し早くにショーを引退させておけば、もっと長生きできたのではないか？無理をさせてしまったのではないか？という後悔の念を持ち続けている。

 

＜社長のひとこと＞

テツ君はショーの時は写真のようにすごくかっこよくて凛としていましたが、終わるととたんに宮本副園長に羽と体を寄せて甘えており、2人？の間には強い絆があるんだな、と感心することがよくありました。テツ君は確かに虹の橋を渡って行きましたが、私たちの心の中では永遠に大空を羽ばたいています。

 

クラウドファンディング第2弾を開始して今日で20日、おかげさまで目標金額の60%を超える額をご支援いただいています。折からの寒波で例年より重油の使用量が上がる中、皆様のご支援は本当にありがたいです。これからもどうぞよろしくお願いします。

 

富士花鳥園

スタッフ一同