肺線維症・肝硬変など、線維化による病気に対する治療薬開発を進めたい

　今日は、育てている抗体について少しだけ説明させてください。抗体は全て何か標的をもっており、結合して標的のもつ働きを変えます。働きを抑制する場合に、その抗体は「中和抗体」と呼ばれますが、この名前は新型コロナ感染症で、有名になりました。

　　体の中にぎっしり詰まった細胞と細胞の間は、細胞外マトリックスと呼ばれる充填物により埋められています。それには多くの種類があり、細胞社会の治安状況により種類は変化します。細胞は周辺が平和かどうか知るために、どのようなマトリックスに囲まれたり接したりしているかを分からなければなりません。そのため、細胞は表面にマトリックスのレーダーを持っており、そのレーダーこそが私たちの抗体の標的でインテグリンと呼ばれる分子なのです。私たちの抗体も中和抗体であり、インテグリンのレーダー機能を抑えます。

　では、レーダーの働きをさえぎるとどうして「線維化」を防ぐことができるのか、これはまたの機会にお話しさせていただこうと思います。