【活動報告】パレスチナでの2021年度の活動の成果

「未来を決める力をすべての人に！JVCfuturePJ2021」の活動報告、今回はパレスチナ事業についてご紹介します。

 

■□パレスチナの状況と活動概要□■

 

東エルサレムの一部地域ではイスラエル占領下や閉鎖的な部族社会という点から、女性たちは男性からの暴力、家庭外活動の制約などの困難に直面しています。そのような女性たちが自らの力で意思決定し、社会的・経済的に自立できるよう職業訓練やジェンダーなどの研修を行っています。

 

一方、ガザの封鎖は15年目となり、新型コロナウイルス感染症の影響も強く残る中、5月に再び大規模な空爆の被害に遭いました。人々はこれまでの空爆よりも死を身近に感じ、大変な心理的ダメージを受けました。年々厳しさを増すガザ、その中で子どもたちの健康な成長を地域で守る活動を継続しました。

 

■□2021年度の活動概要□■

 

 

■女性の生計向上とエンパワメント事業（東エルサレム） ■

 

【活動概要】

収入を得る手段の獲得によって女性たちの自尊心が向上することを目標に、職業技術訓練、人権などの研修や経験交流ツアーを行い、女性49人、男性51人、青少年50人が参加しました。

 

各研修により知識やスキルを獲得、バザーで実践を行い、さらに他団体からの助成金を得て小ビジネスの準備を開始した女性もいます。加えて研修に参加した男性や青少年を含む地域の人たちが基本的人権を理解することにより、地域における女性の意見や社会進出への理解が促進されました。それらの成果や課題をふまえて、2年目の事業を開始しています。

 

 

【活動地で生まれた変化】

研修前後に行ったアンケートの結果、ほとんどの参加者が人権やジェンダーに対する誤った認識に気づき、改める姿勢がみられました。参加型の研修を通じて、他の意見に耳を傾け、活発な意見交換を通じて自分の考えを深めることができた表れともいえます。

 

また、職業技術訓練では多忙な中で研修参加の時間をやりくりした女性も多く、研修修了が自信になり、仲間とともに新たな学びを得た経験は、獲得した知識やスキル以上に各自の貴重な財産になりました。一部の女性は助成金を獲得し、小ビジネスの立ち上げに向けた準備を始めています。 

 

 

■子どもの栄養失調予防と改善支援（ガザ地区）■ 

 

【活動概要】

ガザ地区中部にて、パートナー団体AEIの保健師、地域のボランティア女性20名とともに、5歳以下の子どもを対象とした健診、栄養失調や発達障がい、その他の疾患が発見された場合の再検査や専門機関への紹介、各保護者への子育てカウンセリング、保護者や妊産婦への各種講習を行いました。

 

さらに2021年はガザ地区で5月に大規模な空爆があり、通常の活動に加えて緊急支援として、もともと困窮状態にあったうえ空爆の影響で家屋の一部が破損した世帯などへの食料と衛生用品の配布、リハビリ病院への医薬品と医療資材の提供、そして、パートナー団体スタッフとボランティアの方々を対象とした心のケア研修を実施しました。

 

 

【活動地で生まれた変化】

感染予防のため、以前のように講習を大人数で開催することはできませんでしたが、講習を受けた保護者が子育てについて悩んでいる他の保護者の相談にのる、ボランティアに依頼して講習を開催するなど、裨益者自身の関心の高まりと広がりが見えています。

 

また、何人かのお母さんたちからは、知識を身につけたことで人から頼りにされることが増えた、家族から「ドクトーラ（女性の医者という意味）」と呼ばれるようになってうれしいという声などが聞かれ、お母さんたちの自信にもつながっています。

 

■□活動地からの声□■

 

■ファッションデザイン研修に参加したウッラーさん■

 

 

 

「人生でミシンを使うのは初めてなの」と洋裁・ファッションデザイン研修の初日に、はにかみながら縫った手提げ袋を掲げたウッラーさん。そんな彼女も120時間におよぶ研修の最終日には、手作りのズボンを自信満々の笑みで見せてくれました。

 

ほかの女性たちも各職業訓練やジェンダーなどの研修を終えた後、「人前で話せなかったのに、バザーで自分がつくったものが売れたなんて信じられない」「修了証をもらって自信がついた」と話してくれました。

 

職業訓練では技術の習得だけではなく、仲間や講師との会話を通じて自己認識を新たにし自身が前向きに変わっていく、その変化に気づいた家族が応援してくれるようになったという声も聞こえます。一人一人の変化の積み重ねが「女性たちが活躍できる地域」への小さな一歩となることが期待されています。  

 

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パレスチナでの2021年度の活動の様子をお届けしました。

占領や閉鎖、それに伴う女性に対する圧迫など、難しい状況が続くパレスチナ。それでも日々を懸命に生きる現地の女性や子どもたちからは、本当に大きなパワーを感じます。

 

2022年、JVCのパレスチナ事業は開始から30年を迎えました。そこで、活動のこれまでを振り返ったり、関係者からのメッセージをお届けする特設ページをつくったので、併せてご覧いただけると幸いです！

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