Episode08【テーマ4 七夕という約束の日に】

《静脈街区》が開催される7月7日は、みなさんご存知、七夕です。

舞台となる銀座通り周辺は、かつて1年に1度、豪華絢爛な七夕飾りに彩られ、それは賑わっていたといいます。街一番の商店街のかつての栄華を象徴するその日は、私の父親世代にとっては懐かしい思い出として、私にとっては遠い昔話として、その認識には大きな隔たりがあります。

そんな、かつての賑わいを取り戻す、とまでは言いませんが、また別の形で、七夕という約束の日に街を彩りたい。そう思ったのです。かつて町が一番色づいたその日に、今度はアートでその景色を取り戻す。そんな意味合いを込められたら良いな、と、私の父親世代の方々の話を聞く中で思うようになりました。

残念ながら、その日を初めから狙っていたわけではありません。ただの偶然です。マーケットとの同時開催が最優先事項ですので、7月7日にたまたまマーケットが開催されるから、それに合わせた。それだけのことです。

もっと言えば、本庄市の七夕は、新暦の七夕。すなわち、8月7日頃に行われていました。ですから、正確に言えば当時のそれとは時期が違うのです。

しかし、ほのかに七夕への意識を持つことは重要であると考えています。全てが新しくなり、上書きされれば良い、なんてことはありません。この街の今があるのは、この街の歴史を紡いできた過去があるからであり、それは安易に切り離せるものではありませんし、それは我々が望むことではありません。本プロジェクトの立ち上がり当初から抱く、「変わる景色に光を当てる」という目的のためにも、この街の過去に、しっかりと向き合っていきたいと考えています。

七夕という約束の日。

学生とアートという新たな酸素が萌芽し、少しだけ街が彩られます。